Parallels Desktop

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Parallels Desktop は Mac OSX のハイパーバイザーであり、様々なオペレーティングシステムを"仮想マシン" (ゲスト) としてホストシステムにインストールすることができます。これによって複数のマシンを物理的に管理する手間が省けます。仮想化に関する詳しい説明は Wikipedia を見て下さい。執筆時点での Parallels Desktop のバージョンは9であり、Linux のメインラインカーネルは 3.15-rc5、安定版は 3.14.4 となっています。

Arch をゲストとしてインストール

Parallels Desktop は最初から Linux ゲストをサポートしていますが、公式にサポートしている Linux ディストリビューションは限られます。Arch Linux はその中に含まれていません。つまり、メーカーによる Parallels Tools のインストールのテストは行われておらず、Arch の下で動作させるには手動でいくつか設定が必要になります。Parallels Tools を使わないときは、新しい仮想マシンを作成するときに "other linux" を選択して、後は実際のマシンにインストールする時と同じようにインストールすることができます。

Parallels Tools

概要

ホストのオペレーティングシステムとゲストのオペレーティングシステムの相互運用性を増すために、Parallels は "Parallels tools" という名前のパッケージを提供しており、カーネルモジュールとユーザースペースユーティリティが含まれています。Parallels Tools の特徴は こちら に記載があります。

この記事ではこのツールをフルに活用して、Xorg の設定まで行います。ヘッドレスサーバーの場合、X に関連するセクションはスキップできます。

parallel tools のバージョンを表記するときは <Parallels.Version>.<Tools Version> という形式を使います。例えば: 9.0.24237.1028877 は Parallels バージョン 9.0.24237 + tools バージョン 1028877 を意味します。

必要なカーネルと Xorg のバージョン

場合によって tools インストーラで使われているバイナリが Arch リポジトリに入っている最新の Xorg やカーネルに対応していない可能性があります。

バージョンと必要なソフトウェアの対応:

  • 9.0.24229.991745 は 3.13.8 (もしくは 3.13.y) (3.14 では黒画面が表示されシステムがフリーズします) と xorg 1.15.y 以下を必要とします。
  • 9.0.24237.1028877 は Arch の 3.14.15-1-lts (新しいバージョンでも動作するかもしれません) と xorg 1.15.y 以下で動作します。

古いカーネルや Xorg を取得する方法:

  • linux 3.13.8 は Arch Rollback Machine から取得できます。
  • linux 3.14.15 は現在の linux-lts なので、インストールして grub の設定を再生成するだけで OK です。
  • xorg 1.15.y は AMD Catalyst に書かれている方法で取得できます。

/etc/pacman.conf のリポジトリ設定 (3.13.8):

[core]
#Include = /etc/pacman.d/mirrorlist
SigLevel = PackageRequired
Server = http://seblu.net/a/arm/2014/04/09/$repo/os/$arch
[extra]
#Include = /etc/pacman.d/mirrorlist
SigLevel = PackageRequired
Server = http://seblu.net/a/arm/2014/04/09/$repo/os/$arch

(arch のインストールでロールバックマシンを使うのではなく) カーネルをダウングレードする場合、次を実行:

#pacman -Syy
#pacman -S linux

Xorg の設定

Parallels tools インストーラは Xorg の設定についても管理するので、Xorg の記事に書かれている手順に従って適切なパッケージをインストールしてください。xf86-video-vesa ビデオドライバを使う必要があります:

# pacman -S xf86-video-vesa

依存パッケージの準備

インストールスクリプトは init スクリプトを /etc/init.d/ から探そうとするので、存在しない場合インストールが失敗します。Arch は systemd を使っているため、systemd の scripts ディレクトリへのシンボリックリンクを作成して def_sysconfdir 変数を設定してください:

# ln -sf /usr/lib/systemd/scripts/ /etc/init.d
# export def_sysconfdir=/etc/init.d

また、インストールスクリプトは /etc/X11/xorg.conf ファイルも使用します。空のファイルを作成することで、インストーラによって自動的に設定が行われます:

# touch /etc/X11/xorg.conf

最後に、ビルドに必要な標準ユーティリティと python2、カーネルヘッダをインストールしてください:

#pacman -S base-devel python2 linux-headers # linux-lts-headers
#ln -sf /usr/bin/python2 /usr/bin/python

Parallels tools のインストール

"Virtual Machine" メニューから "install Parallels Tools" を選択してください。Parallels Tools は cd イメージ上にあり、そこから仮想マシンに接続されます。最初にイメージをマウントする必要があります:

# mount /dev/cdrom /mnt/cdrom

それから以下のようにインストールスクリプトを使って Parallels tools のインストールに進みます:

# cd /mnt/cdrom
# ./install

Systemd の設定

Parallels tools デーモンはブート時に起動しないため、以下のようにサービスファイルを作成してください:

/usr/lib/systemd/system/parallels-tools.service
[Unit]
Description=Parallels Tools
[Service]
Type=oneshot
ExecStart=/usr/lib/systemd/scripts/prltoolsd start
ExecStop=/usr/lib/systemd/scripts/prltoolsd stop
RemainAfterExit=yes
[Install]
WantedBy=multi-user.target

そしてサービスを有効化してください:

# systemctl enable parallels-tools.service

これで、システムを再起動すると Parallels tools がインストールされ動作し始めます。

Tools の使用

フォルダの共有

ホスト側で "virtual machine > configuration > sharing" からゲストと共有するフォルダを指定することができます。設定したら以下のように共有フォルダをマウントします:

# mount -t prl_fs name_of_share /mnt/name_of_share

Dynamic Display Resolution

prlcc という便利なツールが存在します。ウィンドウのサイズを変更したときに (ゲストの) ディスプレイの解像度を自動的に変更します。このツールを実行していないと、ウィンドウの中身が伸び縮みしてしまいます。prlcc は基本的に自動的に実行され、バックグラウンドで動作します。動作しない場合、以下を実行してください (もしくは /etc/X11/xinit/xinitrc.d/90-prlcc のように設定ファイルに記述してください):

$ prlcc &

インストール後

通常、linux カーネルや Xorg などのシステムパッケージをアップデートすると Parallels tools が破壊されてしまう可能性があり、そうなると再インストールが必要になります。ときどき、tools が新しいパッケージに未対応で動作を停止するので、そのような場合、新しくインストールしたパッケージをロールバックして、Parallels が新しい製品をリリースするのを待ってから (それによって互換性の問題が解決されたら) ゲストのアップデートをしてください。