「カーネルパラメータ」の版間の差分
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{{ic|-n}} オプションは {{ic|/etc/mtab}} へのマウントの追加をスキップするため、root が読み取り専用でマウントされていても機能します。{{ic|cat /proc/cmdline}} を実行することでカーネルパラメータが変更されたか確認できます。 |
{{ic|-n}} オプションは {{ic|/etc/mtab}} へのマウントの追加をスキップするため、root が読み取り専用でマウントされていても機能します。{{ic|cat /proc/cmdline}} を実行することでカーネルパラメータが変更されたか確認できます。 |
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| − | ==パラメータ一覧== |
+ | == パラメータ一覧 == |
| + | 以下のリストは完全ではありません。全てのオプションの一覧は、[https://docs.kernel.org/admin-guide/kernel-parameters.html カーネルのドキュメント]を見て下さい。 |
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| − | パラメータは {{ic|parameter}} か {{ic|1=parameter=value}} という形式です。全てのパラメータは大文字・小文字を区別します。 |
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| − | {{Note|リストの全てのオプションが使えるとは限りません。ほとんどのパラメータはサブシステムと連携していて、カーネルをサブシステムと一緒に動作するよう設定した時にだけ働きます。また、特定のハードウェアに依存しているパラメータもあります。}} |
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| − | 以下のリストは完全ではありません。全てのオプションの一覧は、[https://www.kernel.org/doc/html/latest/admin-guide/kernel-parameters.html カーネルのドキュメント]を見て下さい。 |
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!パラメータ!!説明 |
!パラメータ!!説明 |
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| + | | init || {{ic|/sbin/init}} ではなく指定されたバイナリを init プロセスとして実行します。{{pkg|systemd-sysvcompat}} パッケージは、{{ic|/usr/lib/systemd/systemd}} へのシンボリックリンクを {{ic|/sbin/init}} に作成して [[systemd]] を使用します。{{ic|/bin/sh}} を指定することで、シェルを起動するように設定できます。 |
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| − | | root= || ルートファイルシステム カーネルがサポートしているデバイス名のフォーマットについては [https://git.kernel.org/pub/scm/linux/kernel/git/torvalds/linux.git/tree/init/do_mounts.c#n192 init/do_mounts.c] を参照してください。 [[initramfs]] と [[udev]] を使用した場合、 [[永続的なブロックデバイスの命名|より多くの名前形式]]がサポートされています |
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| − | | rootflags= || ルートファイルシステムのマウントオプション。リマウント(つまり {{man|8|systemd-remount-fs.service}} によって)適用できないオプションを設定するのに便利です。例えば、[[XFS]] ルートボリュームの {{ic|discard}} オプションなどです。 |
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| + | | initrd || 初期 RAM ディスクの場所を指定します。UEFI [[ブートローダー]] や [[EFISTUB]] の場合、パスの区切り文字にはバックスラッシュ ({{ic|\}}) を使用しなければなりません。 |
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| − | | ro || 起動時にルートファイルシステムを読み取り専用でマウントします (デフォルト<sup>1</sup>) |
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| + | | [[dm-crypt/システム設定#cryptdevice|cryptdevice]] || [[dm-crypt]] で暗号化されたパーティションの場所と[[Wikipedia:device mapper|デバイスマッパー]]名を指定します。 |
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| − | | rw || 起動時にルートデバイスを読み書き可能でマウント |
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| + | | debug || カーネルのデバッグ (イベントログレベル) を有効化します。 |
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| − | | initrd= || initial ramdisk の場所を指定。 UEFI [[ブートローダー]] や [[EFISTUB]] ではファイルパスの区切り文字としてバックスラッシュ ({{ic|\}}) を使用するしなければなりません |
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| + | | lsm || Linux セキュリティモジュールの初期化順を設定します。[[AppArmor]]、[[SELinux]]、[[TOMOYO]] を有効化するために使用されます。 |
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| − | | init= || Initプロセスとして {{ic|/sbin/init}} の代わりに指定されたバイナリを実行します。{{pkg|systemd-sysvcompat}} パッケージは {{ic|/sbin/init}} を {{ic|/usr/lib/systemd/systemd}} にシンボリックリンクし [[systemd]] を使用します。シェルを起動するには、{{ic|/bin/sh}} に設定します。 |
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+ | | maxcpus || SMPカーネルが起動時に使用するプロセッサーの最大数を指定します。 |
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+ | | mem || 指定された量のメモリを強制的に使います |
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| + | | netdev || ネットワークデバイスのパラメータ。 |
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| − | | resume= || [[サスペンドとハイバネート|ハイバネート]]のために使うスワップデバイスを指定します |
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| − | | nomodeset || [[Kernel Mode Setting]] を無効化します |
+ | | nomodeset || [[Kernel Mode Setting]] を無効化します。 |
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| + | | panic || カーネルパニック時に自動的に再起動するまでの時間。 |
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| − | | zswap.enabled || [[Zswap]]を有効化します |
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+ | | resume || [[ハイバネート]]から復帰するときに使用するスワップデバイスを指定します。 |
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+ | | ro || 起動時にルートデバイスを読み取り専用でマウントします (デフォルト<sup>1</sup>)。 |
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| + | | root || ルートファイルシステム。カーネルのサポートされているデバイス名形式については [https://git.kernel.org/pub/scm/linux/kernel/git/torvalds/linux.git/tree/init/do_mounts.c#n254 init/do_mounts.c] を見てください。[[initramfs]] と [[udev]] を使用する場合、[[永続的なブロックデバイスの命名|さらに多くのデバイス名形式]]がサポートされていることに注意してください。 |
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| − | | mem= || 指定された量のメモリを強制的に使います |
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| + | | rootflags || ルートファイルシステムのマウントオプション。再マウント (つまり、{{man|8|systemd-remount-fs.service}}) によって適用できないオプションを設定するときに便利です。例えば、[[XFS]] ルートボリュームの {{ic|discard}} オプションがあります。 |
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| − | | maxcpus= || SMPカーネルが起動時に使用するプロセッサーの最大値を指定します |
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| + | | rw || 起動時にルートデバイスを読み書き可能でマウントします。 |
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| − | | selinux= || SELinuxを有効もしくは無効にします |
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| + | | systemd.unit || [[systemd#ターゲット|指定されたターゲット]]を起動します。 |
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| − | | netdev= || ネットワークデバイスのパラメータを指定します |
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| − | | video |
+ | | video || フレームバッファビデオのデフォルト値を上書きします。 |
|} |
|} |
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| − | <sup>1</sup> [[ブートローダー]]によって {{ic|rw}} と {{ic|ro}} のどちらも設定されていないときは |
+ | <sup>1</sup> [[ブートローダー]]によって {{ic|rw}} と {{ic|ro}} のどちらも設定されていないときは、[[mkinitcpio]] は {{ic|ro}} をデフォルト値として使用します。ブートローダーがこの値を設定することがあります。例えば、GRUB はデフォルトで {{ic|rw}} を使用します ({{Bug|36275}} を参照)。 |
==関連項目== |
==関連項目== |
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2022年11月6日 (日) 01:18時点における版
カーネルにオプションを渡してその動作を制御するには、3つの方法があります。
- カーネルを構築するとき、カーネルの
configファイルで。詳しくは カーネル#コンパイルを見てください。 - カーネルを起動するとき-コマンドラインパラメータを使う (通常はブートローダを使う)。
- 実行時に
/proc/sys/にあるファイルを通して実行する。(参照 sysctl) と/sys/があります。
この3つの方式では、設定可能なオプションの有無、名称、指定方法が異なります。このページでは 2 番目の方法 (カーネルコマンドラインパラメータ) についてのみ説明し、Arch Linux で最もよく使われるカーネルパラメータの一覧を示します。
ほとんどのパラメータはサブシステムに関連しており、カーネルがそれらのサブシステムを組み込んで設定されている場合にのみ機能します。また、それらが関連するハードウェアの存在にも依存します。
カーネルコマンドラインパラメータは parameter または parameter=value というフォーマットで表されます。
目次
設定
カーネルパラメータを設定するには、ブートメニューが出た時にそのメニューを編集して一時的にセットするのと、ブートローダの設定ファイルを修正する方法があります。
ここでは Syslinux, systemd-boot, GRUB, GRUB Legacy, LILO のそれぞれの場合に quiet と splash パラメータを加える方法を説明します。
Syslinux
- メニューが表示されたら
Tabを押してパラメータを文字列の最後に加える:
linux /boot/vmlinuz-linux root=/dev/sda3 initrd=/boot/initramfs-linux.img quiet splash
Enterを押して加えたパラメータを使って起動します。
- 再起動後も変更を持続させるには、
/boot/syslinux/syslinux.cfgを開き、パラメータをAPPEND行に加えます:
APPEND root=/dev/sda3 quiet splash
Syslinux の設定について、詳しくは Syslinux を見て下さい。
systemd-boot
- メニューが表示されたら
eを押して一番末尾にパラメータを追加してください:
initrd=\initramfs-linux.img root=/dev/sda2 quiet splash
Enterを押すと編集したパラメータで起動が開始されます。
- 再起動後も変更を永続的に適用するには、
/boot/loader/entries/arch.conf(ビギナーズガイドの指示通りに EFI System Partition と設定ファイルを設定した場合) を編集してoptions行に以下を追加してください:
options root=/dev/sda2 quiet splash
systemd-boot に関する詳細は systemd-boot の記事を見て下さい。
GRUB
- メニューが表示されたら
eを押しパラメータをlinux行の後ろに加えます:
linux /boot/vmlinuz-linux root=UUID=978e3e81-8048-4ae1-8a06-aa727458e8ff quiet splash
bを押して加えたパラメータを使って起動します。
- 再起動後も変更を持続させるには、
/boot/grub/grub.cfgを開いて上と同じ行を編集することもできますが、初心者におすすめの方法は:
/etc/default/grubを開きカーネルオプションをGRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT行に追加:
GRUB_CMDLINE_LINUX_DEFAULT="quiet splash"
- そして
grub.cfgファイルを自動生成します:
# grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
GRUB の設定について、詳しくは GRUB を見て下さい。
GRUB Legacy
- メニューが表示されたら
eを押しパラメータをkernel行の後ろに加えます:
kernel /boot/vmlinuz-linux root=/dev/sda3 quiet splash
bを押して加えたパラメータを使って起動します。
- 再起動後も変更を持続させるには、
/boot/grub/menu.lstを開いて上と同じようにkernel行にパラメータを追加します。
GRUB Legacy の設定について詳しくは GRUB Legacy を見て下さい。
LILO
- パラメータを
/etc/lilo.confに追加します:
image=/boot/vmlinuz-linux ... quiet splash
LILO の設定については LILO により多くの情報があります。
rEFInd
- 再起動後も変更を適用するには、
/boot/EFI/arch/refind_linux.confを編集して、パラメータを全ての(もしくは必要な)行に追加してください、例えば:
"Boot to X" "root=PARTUUID=978e3e81-8048-4ae1-8a06-aa727458e8ff ro rootfstype=ext4 quiet splash
- rEFInd で OS の自動検知を無効にしていて、代わりに
/boot/EFI/refind/refind.confで OS を定義して OS をロードしている場合、以下のように編集することができます:
menuentry "Arch" { loader /EFI/arch/vmlinuz-arch.efi options "quiet splash ro root=PARTUUID=978e3e81-8048-4ae1-8a06-aa727458e8ff"
rEFInd でカーネルパラメータを設定する方法についての詳しい情報は以下を見て下さい
EFISTUB/efibootmgr
EFISTUB#ブートマネージャを使わずに直接起動する を見て下さい。
dracut
dracut はカーネルパラメータを initramfs に埋め込むことができるので、ブートローダの設定から省略することができます。dracut#カーネルコマンドラインオプション を参照してください。
cmdline をハイジャック
ブートローダーにアクセスすることすらできない場合でも、(root 権限があれば) カーネルパラメータを変更してデバッグを有効にできる可能性があります。その方法とは、カーネルパラメータが保存されている /proc/cmdline を上書きすることです。/proc/cmdline は root でも書き込むことができないので、バインドマウントを使ってパスをマスクすることでハイジャックします。
まず、使用したいカーネルパラメータを記述したファイルを作成してください:
/root/cmdline
root=/dev/disk/by-label/ROOT ro console=tty1 logo.nologo debug
次に、バインドマウントを使ってパラメータを上書きします:
# mount -n --bind -o ro /root/cmdline /proc/cmdline
-n オプションは /etc/mtab へのマウントの追加をスキップするため、root が読み取り専用でマウントされていても機能します。cat /proc/cmdline を実行することでカーネルパラメータが変更されたか確認できます。
パラメータ一覧
以下のリストは完全ではありません。全てのオプションの一覧は、カーネルのドキュメントを見て下さい。
| パラメータ | 説明 |
|---|---|
| init | /sbin/init ではなく指定されたバイナリを init プロセスとして実行します。systemd-sysvcompat パッケージは、/usr/lib/systemd/systemd へのシンボリックリンクを /sbin/init に作成して systemd を使用します。/bin/sh を指定することで、シェルを起動するように設定できます。
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| initrd | 初期 RAM ディスクの場所を指定します。UEFI ブートローダー や EFISTUB の場合、パスの区切り文字にはバックスラッシュ (\) を使用しなければなりません。
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| cryptdevice | dm-crypt で暗号化されたパーティションの場所とデバイスマッパー名を指定します。 |
| debug | カーネルのデバッグ (イベントログレベル) を有効化します。 |
| lsm | Linux セキュリティモジュールの初期化順を設定します。AppArmor、SELinux、TOMOYO を有効化するために使用されます。 |
| maxcpus | SMPカーネルが起動時に使用するプロセッサーの最大数を指定します。 |
| mem | 指定された量のメモリを強制的に使います |
| netdev | ネットワークデバイスのパラメータ。 |
| nomodeset | Kernel Mode Setting を無効化します。 |
| panic | カーネルパニック時に自動的に再起動するまでの時間。 |
| resume | ハイバネートから復帰するときに使用するスワップデバイスを指定します。 |
| ro | 起動時にルートデバイスを読み取り専用でマウントします (デフォルト1)。 |
| root | ルートファイルシステム。カーネルのサポートされているデバイス名形式については init/do_mounts.c を見てください。initramfs と udev を使用する場合、さらに多くのデバイス名形式がサポートされていることに注意してください。 |
| rootflags | ルートファイルシステムのマウントオプション。再マウント (つまり、systemd-remount-fs.service(8)) によって適用できないオプションを設定するときに便利です。例えば、XFS ルートボリュームの discard オプションがあります。
|
| rw | 起動時にルートデバイスを読み書き可能でマウントします。 |
| systemd.unit | 指定されたターゲットを起動します。 |
| video | フレームバッファビデオのデフォルト値を上書きします。 |
1 ブートローダーによって rw と ro のどちらも設定されていないときは、mkinitcpio は ro をデフォルト値として使用します。ブートローダーがこの値を設定することがあります。例えば、GRUB はデフォルトで rw を使用します (FS#36275 を参照)。