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デフォルトでは、このデーモンは利用可能な CPU デジタル温度センサーを使って CPU 温度を監視し、ハードウェアが積極的な補正動作を行う前に CPU 温度を制御下に維持します。thermal sysfs に皮膚温度センサーがある場合、皮膚温度を 45C 以下に保とうと試みます (訳注: ここでの皮膚温度 (skin temperature) とは、ユーザがデバイスを持ったときに感じる温度のことです)。 |
デフォルトでは、このデーモンは利用可能な CPU デジタル温度センサーを使って CPU 温度を監視し、ハードウェアが積極的な補正動作を行う前に CPU 温度を制御下に維持します。thermal sysfs に皮膚温度センサーがある場合、皮膚温度を 45C 以下に保とうと試みます (訳注: ここでの皮膚温度 (skin temperature) とは、ユーザがデバイスを持ったときに感じる温度のことです)。 |
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=== i7z === |
2023年10月1日 (日) 23:25時点における版
CPU パフォーマンススケーリングにより、オペレーティングシステムは消費電力の削減やパフォーマンスの向上のために CPU の周波数を上げ下げすることができるようになります。スケーリングは、システムの負荷に応じて自動的に行ったり、ACPI イベントに応じて調整したり、ユーザスペースのプログラムで手動で変更したりできます。
Linux カーネルは CPUFreq サブシステムを通して CPU パフォーマンススケーリングを提供します。このサブシステムには2つの抽象化レイヤが定義されています:
- スケーリングガバナーは、望ましい CPU 周波数を計算するアルゴリズムを実装します。システムのニーズに基づいている可能性があります。
- スケーリングドライバは、直接 CPU と対話し、現在のガバナーの要求する望ましい周波数に変更します。
デフォルトのスケーリングドライバとスケーリングガバナーは自動的に選択されますが、cpupower や acpid、Laptop Mode Tools、デスクトップ環境によって提供されている GUI ツールなどのユーザスペースのツールでも高度な設定をすることができます。
目次
ユーザースペースツール
thermald
thermald は、Intel CPU のオーバーヒートを防止するために使用される Linux デーモンです。このデーモンは P-state、T-state、および Intel power clamp ドライバを使用してサーマルパラメータを積極的に制御します。最新のドライバが利用できない場合、デーモンはシステムの冷却を制御するために x86 モデル固有のレジスタと Linux の "cpufreq サブシステム" に戻り、システムの冷却を制御します。
デフォルトでは、このデーモンは利用可能な CPU デジタル温度センサーを使って CPU 温度を監視し、ハードウェアが積極的な補正動作を行う前に CPU 温度を制御下に維持します。thermal sysfs に皮膚温度センサーがある場合、皮膚温度を 45C 以下に保とうと試みます (訳注: ここでの皮膚温度 (skin temperature) とは、ユーザがデバイスを持ったときに感じる温度のことです)。
Tiger Lake ラップトップ (例: Dell Latitude 3420) では、このデーモンは、他の方法で利用できるものよりも 多くのパフォーマンスを解放する と報告されています。
関連する systemd ユニットは thermald.service
です。このサービスは 起動 され、かつ 有効化 されている必要があります。
i7z
i7z は Linux 向けの i7 (現在は、i3、i5、i7、i9) CPU レポートツールです。i7z
コマンドでターミナルから実行することができ、GUI は i7z-gui
で起動できます。
turbostat
turbostat は最近の Intel と AMD の CPU の周波数、消費電力、アイドル状態、その他の統計情報を表示することができます。
cpupower
cpupower は CPU 周波数スケーリングを補助するように作られたユーザースペースのユーティリティの集まりです。このパッケージがなくてもスケーリングを使うことはできますが、便利なコマンドラインユーティリティや起動時にガバナーを変えるための systemd のサービスが入っているためインストールすることが推奨されています。
cpupower の設定ファイルは /etc/default/cpupower
です。この設定ファイルは /usr/lib/systemd/scripts/cpupower
内の bash スクリプトによって読み込まれます。bash スクリプトは cpupower.service
と systemd によって有効にされます。ブート時に起動するには cpupower.service
を有効化してください。
cpupower-gui
cpupower-guiAUR は CPU 周波数のスケーリングを支援するために設計されたグラフィカルなユーティリティです。GUI は GTK をベースにしており、cpupower と同じオプションを提供することを意図しています。 cpupower-gui は各コアの最大/最小の CPU 周波数とガバナーを変更することができます。このアプリケーションは polkit を通して特権付与を行い、wheel
ユーザグループのログイン済みユーザであれば誰でも周波数とガバナーを変更することができます。
gnome-shell-extension-cpupower
gnome-shell-extension-cpupower-gitAUR は、CPU 周波数の最大値と最小値を変更し、周波数ブーストを有効化/無効化することのできる GNOME シェル拡張です。
auto-cpufreq
auto-cpufreqAUR は、Linux 用の CPU 速度と電源の自動オプティマイザです。ノート PC のバッテリー状態、CPU 使用率、CPU 温度、そしてシステムの負荷をアクティブに監視します。
power-profiles-daemon
power-profiles-daemon の powerprofilesctl コマンドラインツールは power-profiles-daemon
サービスを通して電源プロファイル (バランス、パワーセーバー、パフォーマンスなど) を扱います。GNOME と KDE もプロファイル切り替えのための グラフィカルインターフェイス を提供しています。以下を参照してください:
使い方や使用例、類似プロジェクトとの比較などについては、プロジェクトの README を参照してください。
power-profiles-daemon
サービスを起動/有効化してください。powerprofilesctl が起動されると、サービスも起動しようとすることに注意してください (dbus.service
のユニットステータスを見てください)。
スケーリングドライバ
スケーリングドライバは、ガバナーによって指定された周波数を設定する CPU 固有の詳細を実装します。厳密に言えば、ACPI 標準は、P0 で始まって徐々に低パフォーマンスになる power-performance states (P-states) を要求しています。この機能は、Intel では SpeedStep と、AMD では PowerNow! と呼ばれています。
とはいえ実際には、プロセッサは固定の P-state に制限するどころか、特定の周波数を指定する方法を提供しています。スケーリングドライバは周波数の指定を処理します。
cpupower は、ネイティブな CPU の制限を調べるためにドライバを必要とします:
ドライバ | 説明 |
---|---|
intel_pstate | このドライバは、Intel Core (Sandy Bridge 及びそれ以降) プロセッサの内部ガバナーでスケーリングドライバを実装しています。 |
amd_pstate_epp | この "active" ドライバは、AMD Ryzen (一部の Zen 2 及びそれ以降) プロセッサの内部ガバナーでスケーリングドライバを実装しています。 |
acpi_cpufreq | ACPI Processor Performance States を使用する CPUFreq ドライバ。このドライバは Intel Enhanced SpeedStep もサポートします (以前は、非推奨の speedstep-centrino モジュールによってサポートされていました)。AMD Ryzen においては、このドライバは 3 つの周波数状態のみを提供します。 |
intel_cpufreq | カーネル 5.7 から、intel_pstate スケーリングドライバは、hardware-managed P-states (HWP) をサポートしない CPU (つまり、Intel Core i の第5世代及びそれ以前) においては "passive mode" (別名 intel_cpufreq) を選択します。このドライバは、Intel CPU で ACPI ドライバと似たように動作します。ただし、ACPI の 16-pstate の制限は存在しません。 |
amd_pstate | このドライバは AMD Ryzen において acpi_cpufreq よりも遥かに多くの P-state を公開します。ただし、governing は引き継ぎません。 |
cppc_cpufreq | ACPI CPPC システム (以下を参照) をベースとした CPUFreq ドライバ。AArch64 システムにおいては共通のデフォルトです。最近の x86 においても動作しますが、上記 2 つのベンダー固有の選択肢の方が優れています。 |
speedstep_lib | Intel SpeedStep 対応プロセッサ (主に Atom と古い Pentium) 用の CPUFreq ドライバ。 |
powernow_k8 | K8/K10 Athlon 64/Opteron/Phenom プロセッサ用の CPUFreq ドライバ。Linux 3.7 から、より最近の AMD CPU においては 'acpi_cpufreq' が自動的に使用されます。 |
pcc_cpufreq | このドライバは、Hewlett-Packard と Microsoft Corporation による Processor Clocking Control インターフェイスをサポートします。一部の ProLiant サーバにおいて便利です。 |
p4_clockmod | Intel Pentium 4/Xeon/Celeron プロセッサ用の CPUFreq ドライバ。クロックをスキップすることで CPU 温度を下げます。(代わりに speedstep_lib を使用したほうが良いかもしれません。)
|
利用可能なモジュールの完全なリストを表示するには、次を実行してください:
$ ls /usr/lib/modules/$(uname -r)/kernel/drivers/cpufreq/
適切なモジュールをロードしてください (詳しくはカーネルモジュールを見て下さい)。適切な cpufreq ドライバーがロードされていれば、次のコマンドで CPU の詳細が表示されます:
$ cpupower frequency-info
最大・最小周波数を設定する
一部のケースで、最大・最小周波数を手動で設定する必要があることがあります。
最大クロック周波数を設定するには (clock_freq
は単位付きのクロック周波数です: GHz、MHz):
# cpupower frequency-set -u clock_freq
最小クロック周波数を設定するには:
# cpupower frequency-set -d clock_freq
特定の周波数で動作するように CPU を設定するには:
# cpupower frequency-set -f clock_freq
あるいは、手動で周波数を設定することもできます:
# echo value | tee /sys/devices/system/cpu/cpu*/cpufreq/scaling_max_freq
利用可能な値は /sys/devices/system/cpu/cpu*/cpufreq/scaling_available_frequencies
などで調べられます。[3]
周波数ブーストを設定する
一部のプロセッサでは、適切な温度条件下で短時間、周波数を通常の最大値以上に上げることができます。これは、Intel プロセッサでは Turbo Boost と、AMD プロセッサでは Turbo-Core と呼ばれています。
sysfs から設定する (intel_pstate)
intel_pstate には、プロセッサがターボ P-State に入ることを禁止するための、ドライバ固有のインターフェイスが存在します:
# echo 1 > /sys/devices/system/cpu/intel_pstate/no_turbo
sysfs から設定する (古いスケーリングドライバ)
intel_pstate
より古いスケーリングドライバにおいては、ドライバがブーストをサポートしている場合、/sys/devices/system/cpu/cpufreq/boost
属性が存在し、これを使ってブーストを無効化/有効化することができます:
# echo 0 > /sys/devices/system/cpu/cpufreq/boost
x86_energy_perf_policy から設定する
Intel プロセッサにおいては、x86_energy_perf_policy を使ってターボブーストを設定することもできます:
# x86_energy_perf_policy --turbo-enable 0
amd_pstate
amd_pstate
には 3 つのオペレーションモードが存在します: CPPC autonomous (active) モード、CPPC non-autonomous (passive) モード、CPPC guided autonomous (guided) モード。active/passive/guided モードは、それぞれカーネルパラメータ amd_pstate=active
、amd_pstate=passive
、amd_pstate=guided
で選択できます。
- Active モード
active
モードはamd_pstate_epp
(Energy Performance Preference) ドライバによって実装されており、カーネル 6.3 及びそれ以降で利用可能です。このモードでは、ソフトウェアが CPPC ファームウェアにパフォーマンス (0x0) または電力効率 (0xff) にバイアスをかけることを要求した場合、amd_pstate_epp
ドライバはハードウェアにヒントを提供します。- Passive モード
passive
モードはamd_pstate
ドライバによって実装されています。このモードでは、ドライバは現在の負荷に基づいて望ましいパフォーマンス (特に、ユーザエクスペリエンスに影響を与えずにどれだけパフォーマンスの低下を許容できるか) を定義します。- Guided モード
guided
モードはamd_pstate
ドライバによって実装されており、カーネル 6.4 及びそれ以降で利用可能です。このモードでは、amd_pstate
ドライバはパフォーマンスレベルの最大と最小をリクエストし、プラットフォームは、現在の負荷において適切なパフォーマンスレベルをその範囲内で自動的に選択します。
スケーリングガバナー
スケーリングガバナーとは、望ましい CPU 周波数を決定するパワースキームです。固定の周波数をリクエストするガバナーもありますし、システムの負荷に応じて動的に調節するアルゴリズムを実装しているものもあります。カーネルに含まれているガバナーは以下のとおりです:
ガバナー | 説明 |
---|---|
performance | 最大周波数で CPU を動作させます。最大周波数は /sys/devices/system/cpu/cpuX/cpufreq/scaling_max_freq で得ることができます。
|
powersave | 最小周波数で CPU を動作させます。最小周波数は /sys/devices/system/cpu/cpuX/cpufreq/scaling_min_freq で得ることができます。
|
userspace | ユーザーが指定した周波数で CPU を動作させます。/sys/devices/system/cpu/cpuX/cpufreq/scaling_setspeed で設定可能です。
|
ondemand | 現在の負荷にあわせて周波数を動的に切り替えます。最大周波数に一気に切り替えたあと、アイドル時間が増えるにつれて周波数がもとに戻る可能性があります。 |
conservative | 現在の負荷にあわせて周波数を動的に切り替えます。ondemand よりも段階的に周波数を切り替えます。 |
schedutil | スケジューラによって CPU の周波数が選択されます [4]、[5]。 |
スケーリングドライバによっては、以下のガバナーのうちどれかがデフォルトでロードされます:
- Linux 4.9.5 以降 では
schedutil
- Intel CPU で
intel_pstate
ドライバを使用する場合、内部のpowersave
ガバナー (上記のノートを参照、schedutil
と等価です)。
特定のガバナーをアクティブ化するには、以下のコマンドを実行してください:
# cpupower frequency-set -g governor
もしくは、CPU ごとにガバナーを手動で有効にすることもできます:
# echo governor | tee /sys/devices/system/cpu/cpu*/cpufreq/scaling_governor
ondemand ガバナーを調整する
詳細はカーネルドキュメントを見てください。
閾値を切り替える
周波数を上げるときの閾値を設定するには:
# echo -n percent > /sys/devices/system/cpu/cpufreq/governor/up_threshold
周波数を下げるときの閾値を設定するには:
# echo -n percent > /sys/devices/system/cpu/cpufreq/governor/down_threshold
サンプリングレート
サンプリングレートは、CPU の周波数を変化させるのにガバナーが確認する頻度を決めます。1 より大きく sampling_down_factor
を設定すると負担評価のオーバーヘッドが減って、負担が高い時に CPU がずっと最高周波数で動作しパフォーマンスが向上します。sampling_down_factor
に設定できる値は 1 から 100000 です。CPU 周波数や負担が低いときの挙動には影響がありません。
値を読み取るには (デフォルト = 1)、次を実行:
$ cat /sys/devices/system/cpu/cpufreq/ondemand/sampling_down_factor
値を設定するには、次を実行:
# echo -n value > /sys/devices/system/cpu/cpufreq/ondemand/sampling_down_factor
変更を永続化させる
Linux 5.9 から、cpufreq.default_governor
カーネルオプションを設定することが可能になりました。[6] スケーリングパラメータをブート時に設定するには、cpupower ユーティリティを設定して、cpupower の systemd サービスを有効化してください。あるいは、systemd-tmpfiles や udev ルールを使用することもできます。
自律的な周波数スケーリング
Intel と AMD は両方とも、(1) システムのパフォーマンスの範囲と、(2) プリファレンスを指定するパフォーマンス/電力のヒントに基づいて CPU に自身の速度を決定させる方法を定義しています。以下の場合に完全自律モードがアクティブ化されます:
amd-pstate
が "active" に設定された場合。手動による設定と、CPU と BIOS の両方に CPPC サポートが必要です。intel-pstate
が "active" に設定され、かつ、ハードウェア P-state (HWP) が利用可能である (つまり、Sandy Bridge 以降) 場合。設定無しで動作します。
能動的な governing の最も重要な特徴は、2つのガバナー (powersave
と performance
) のみが利用可能であるように見えることです。これらは通常のガバナーのようには動作しません。これらのレベルは、CPU の内部ガバナーの Energy Performance Preference ヒントに変換されます。結果として、これらは両方、動的スケーリングを提供します。schedutil
や ondemand
に似ていますが、主にレイテンシが異なります。performance
アルゴリズムは、Intel HWP に古い ondemand ガバナーよりも優れた省電力機能を提供するはずです。
Intel active、非 HWP
紛らわしいことに、intel-pstate ドライバには、CPU の能動的な決定を必要としない "active" モードがあります。カーネルコマンドラインによって "active" モードが強制されたが、HWP が利用できないか無効化されている場合に、このモードはオンになります。powersave
と performance
しか提供しませんが、ドライバ自体は schedutil
や performance
に似た方法で governing を行います (つまり、最大の P-state のままになります)。能動的な intel-pstate に比べて、このモードに実際の利点はありません。
EPP を設定する
sysfs インターフェイスが利用可能である場合、中間的なヒントを選択することができます。インターフェイスは AMD と Intel で同じです。/sys/devices/system/cpu/cpu*/power/energy_performance_preference
ファイルは現在のプリファレンスを記述し、/sys/devices/system/cpu/cpu*/power/energy_performance_available_preferences
は利用可能なプリファレンスのリストを提供します。また、0 (パフォーマンス優先) から 255 (省電力優先) までの間の数値を渡すことができます。EPP がない Intel CPU にはフォールバック実装が提供されています。文字列 を EPB レベル (次のセクションで説明) に変換しますが、数値では失敗します。
x86_energy_perf_policy は、Intel CPU に対してのみ、--hwp-epp
スイッチによる EPP ヒントの設定をサポートしています。これは、Intel と AMD で異なるマシン固有のレジスタ (MSR) への直接アクセスにより機能します。このプログラムは、周波数乗数の範囲を使って HWP 周波数の範囲を制限することもできます。
Collaborative processor performance control
最近の CPU の電力消費量は、もはや単純に周波数や電圧設定に依存していません。必要に応じて切り替え可能なモジュールが存在しているからです。Collaborative Processor Performance Control (CPPC) は、ACPI 5.0 で提供されている P-state の置き換えです。静的な周波数レベルのテーブルを定義する代わりに、プロセッサは多くの抽象的なパフォーマンスレベルを提供し、オペレーティングシステムはこれらのレベルの中から選択します。これには2つの長所があります:
- 16個の P-state エントリという制限がない。典型的な CPU では数百ものレベルの中から選ぶことができます。
- CPU は、特定の部品 (例えば、ベクトル FPU) が使用されていない時に、より高い周波数を提供できます。
一方、柔軟な周波数は、schedutil
による高速な周波数変更において重要な周波数不変の使用率追跡を破壊します。CPPC において周波数を静的にするために多くのベンダ固有の方法が取られてきましたが、ほとんどの成功例は arm64 におけるものです。
cppc_cpufreq
は汎用の CPPC スケーリングドライバです。amd_pstate
も、Zen 3 MSR が利用できない場合に、ACPI CPPC を使用して CPU の周波数を管理します。この方法 ("共有メモリ" とも呼ばれる) は、MSR よりも高レイテンシです。
Intel performance and energy bias hint
Intel performance and energy bias hint (EPB) は、ユーザスペースが電力とパフォーマンスのトレードオフを自由に指定できるようにするための Intel CPU によって提供されているインターフェイスです。0 (最高のパフォーマンス) から 15 (最高の省電力) のスケールで指定できます。FPB レジスタは、周波数スケーリングとは独立して機能する、パフォーマンス管理のもう一つのレイヤーです。P-state と C-state の選択がどの程度積極的に行われるかに関与し、エネルギー消費量に影響を与える内部のモデル固有の決定に影響を与えます。
以下は一般的な値とそれぞれのエイリアスです (sysfs と x86_energy_perf_policy によって認識されます):
EPB 値 | 文字列 |
---|---|
0 | performance |
4 | balance-performance |
6 | normal, default |
8 | balance-power |
15 | power |
sysfs から設定する
EPB は sysfs 属性を用いて設定できます:
# echo epb | tee /sys/devices/system/cpu/cpu*/power/energy_perf_bias
x86_energy_perf_policy から設定する
x86_energy_perf_policy を使って:
# x86_energy_perf_policy --epb epb
cpupower から設定する
cpupower を使って:
# cpupower set -b epb_value
他の x86 エネルギーフラグ
x86_energy_perf_policy でハードウェア P-State を有効化する:
# x86_energy_perf_policy -H 1 # x86_energy_perf_policy -U 1
"default" ポリシーを設定する:
変更は一時的です。詳細は x86_energy_perf_policy(8) を参照してください。
CPU idle ドライバ
intel_idle
CPU idle ドライバは、最近の Intel CPU では acpi_idle
ドライバの代わりに自動的に使用されます。このドライバは現在 Sandy Bridge およびそれ以降の CPU で自動的に使用されます。intel_idle
は BIOS の C-State 設定を無視する場合があります。このドライバを使用中に問題が発生した場合、カーネルラインに intel_idle.max_cstate=0
を追加してください。
ACPI イベントとの対話
AC アダプタを接続したときやノートパソコンのフタを閉じたときなど様々な ACPI イベントによってガバナーを自動的に切り替えるように設定することができます。簡単なサンプルは下にありますが、acpid の記事は全部読む価値があります。
イベントは /etc/acpi/handler.sh
で定義します。acpid パッケージがインストールされていれば、ファイルは既に存在し実行可能になっているはずです。例えば、AC アダプタが切断されたときにスケーリング governor を performance
から conservative
に変更して、またアダプタが接続されたときは戻したい場合:
/etc/acpi/handler.sh
[...] ac_adapter) case "$2" in AC*) case "$4" in 00000000) echo "conservative" >/sys/devices/system/cpu/cpu0/cpufreq/scaling_governor echo -n $minspeed >$setspeed #/etc/laptop-mode/laptop-mode start ;; 00000001) echo "performance" >/sys/devices/system/cpu/cpu0/cpufreq/scaling_governor echo -n $maxspeed >$setspeed #/etc/laptop-mode/laptop-mode stop ;; esac ;; *) logger "ACPI action undefined: $2" ;; esac ;; [...]
トラブルシューティング
BIOS の周波数制限
CPU/BIOS 設定によっては最大周波数までスケールすることができなかったり周波数を上げることが全くできなかったりすることがあります。これは大抵 BIOS イベントが OS に周波数を制限するよう通知しているのが原因であり、結果的に /sys/devices/system/cpu/cpu0/cpufreq/bios_limit
が低い値に設定されます。
BIOS のセットアップユーティリティで特定の設定 (Frequency、Thermal Management など) をしたのに変更できない場合、BIOS にバグが存在したり、BIOS 自体のバージョンが古いのかもしれません。または BIOS に何か理由があって CPU の周波数を制限しているということもあります。
そのような理由として、バッテリーが取り除かれた (またはほとんど死んでいる) ことで AC 電源しか使えないようになっているのが原因だということがあります (使用しているマシンがノートパソコンの場合)。この場合、電力が弱い AC 電源だけではピーク性能を発揮するのに十分な電力が供給されておらず、バッテリーの補助がないとデータを喪失したり、破損したり、または最悪の場合ハードウェアに深刻なダメージを与える可能性があります。
全ての BIOS が CPU 周波数を制限するわけではありませんが、例えば IBM/Lenovo のほとんどの Thinkpad は制限を加えます。詳しくは thinkwiki のトピックを参照して下さい。
変な BIOS の設定がないことを確認して、何をするのかちゃんと理解できているのなら、BIOS の制限を無視するようにカーネルを設定することができます。
特殊なパラメータをプロセッサのモジュールに渡す必要があります。
一時的に変更してみたいときは /sys/module/processor/parameters/ignore_ppc
の値を 0
から 1
に変更してください。
設定を永続化する方法については、カーネルモジュール#モジュールオプションを設定する でいくつか方法が説明されています。例えば、カーネルブートラインに processor.ignore_ppc=1
を追加することもできますし、以下のようなファイルを作成することもできます:
/etc/modprobe.d/ignore_ppc.conf
# マシンの周波数が BIOS によって間違って制限されている場合、これが役に立つはずです options processor ignore_ppc=1