「スワップ」の版間の差分
細 |
Kusanaginoturugi (トーク | 投稿記録) (関連記事を追加) |
||
(6人の利用者による、間の69版が非表示) | |||
1行目: | 1行目: | ||
[[Category:ファイルシステム]] |
[[Category:ファイルシステム]] |
||
+ | [[de:Swap]] |
||
[[en:Swap]] |
[[en:Swap]] |
||
[[es:Swap]] |
[[es:Swap]] |
||
[[fr:Swap]] |
[[fr:Swap]] |
||
− | [[ |
+ | [[hu:Swap]] |
[[pt:Swap]] |
[[pt:Swap]] |
||
− | [[ |
+ | [[ru:Swap]] |
+ | [[zh-hans:Swap]] |
||
{{Related articles start}} |
{{Related articles start}} |
||
− | {{Related3|Swap on video ram|ビデオ ram にスワップ}} |
||
{{Related|fstab}} |
{{Related|fstab}} |
||
+ | {{Related|ハイバネート}} |
||
+ | {{Related|zswap}} |
||
+ | {{Related|zram}} |
||
+ | {{Related|ビデオメモリにスワップ}} |
||
+ | {{Related|ZFS#スワップボリューム}} |
||
+ | {{Related|Dm-crypt/スワップの暗号化}} |
||
{{Related articles end}} |
{{Related articles end}} |
||
− | このページでは GNU/Linux でのスワップとページングを紹介します。また、スワップパーティションとスワップファイルの作成と有効化について説明しています。 |
||
+ | このページでは GNU/Linux での[[Wikipedia:ja:ページング方式|スワップ領域とページング]]を紹介します。また、スワップパーティションとスワップファイルの作成と有効化について説明しています。 |
||
− | [http://www.linux.com/news/software/applications/8208-all-about-linux-swap-space All about Linux swap space] より: |
||
+ | [https://www.linux.com/news/all-about-linux-swap-space/ All about Linux swap space] より: |
||
− | :''Linux は物理 RAM (random access memory) をページと呼ばれるメモリのかたまりに分割します。スワッピングとは、メモリを開放するために、ページがスワップ領域という名の事前設定領域にコピーされることを言います。物理メモリとスワップ領域の合計が利用できる仮想メモリのサイズになります。'' |
||
+ | |||
+ | :''Linux は物理 RAM (random access memory) をページと呼ばれるメモリのかたまりに分割します。スワッピングとは、メモリを解放するために、ページがスワップ領域という名の事前設定領域にコピーされることを言います。物理メモリとスワップ領域の合計が利用できる仮想メモリのサイズになります。'' |
||
+ | |||
+ | スワップのサポートは Linux カーネルにより提供され、ユーザスペースのユーティリティは {{Pkg|util-linux}} パッケージに存在します。 |
||
== スワップ領域 == |
== スワップ領域 == |
||
− | スワップ領域は普通ディスクパーティションとして作られますが、ファイルにすることもできます。Arch Linux のインストール中にユーザーはスワップ領域を作成することができ、場合によっては後でそれが必要になるでしょう。スワップ領域は一般的に RAM が 1GB より少ないユーザーに推奨されます、PC に物理メモリが余分にあるならスワップ領域を作るかは好みの問題になります (ただ suspend-to-disk をするには必要になります)。 |
||
+ | スワップ領域は普通ディスクパーティションとして作られますが、ファイルにすることもできます。Arch Linux のインストール中にユーザーはスワップ領域を作成することができ、必要であればインストール後でも作成できます。スワップ領域を作成する理由は2つあります: 仮想メモリを拡張して、搭載している物理メモリ(RAM)より多くするためと、[[電源管理/サスペンドとハイバネート|suspend-to-disk(ハイバネート)]] をするためです。 |
||
− | スワップの状態を確認するには、次を実行: |
||
− | $ swapon -s |
||
+ | スワップを使って仮想メモリを拡張することが利益になるかどうかは搭載している物理メモリの容量により異なります。必要なプログラムをすべて実行するのに必要な量の物理メモリを搭載していないのであれば、スワップを作成することは''おそらく''利益となるでしょう。これにより、[[Wikipedia:Out of memory|out of memory(メモリ不足)]] を避けることができます。Out of memory とは、Linux カーネルの OOM killer という仕組みが自動的にプロセスを kill してメモリの空き領域を作ろうとしている状態のことを言います。仮想メモリの容量を必要な量まで増やすには、足りない分をスワップ領域として追加してください。 |
||
− | もしくは: |
||
+ | |||
− | $ free -m |
||
+ | スワップを有効にすることの最大の欠点はパフォーマンスが低下することです([[#パフォーマンス]] セクションを見てください)。それゆえ、スワップを有効化するかどうかは個人の好みの問題となります。スワップを有効化するよりメモリが枯渇したときにプロセスが kill されるほうが良いという人もいますし、メモリが枯渇したときにシステムが低速化するがスワップを有効化したほうが良いという人もいます。 |
||
+ | |||
+ | スワップの状態を確認するには、次を実行: |
||
+ | $ swapon --show |
||
+ | もしくは、以下を実行して物理メモリとスワップの使用状況を表示: |
||
− | {{Note|スワップファイルとパーティションにパフォーマンスの違いはありません、どちらも同じように扱われます。}} |
||
+ | $ free -h |
||
== スワップパーティション == |
== スワップパーティション == |
||
− | ほとんどの GNU/Linux パーティションツール |
+ | ほとんどの GNU/Linux の [[パーティショニング#パーティショニングツール|パーティショニングツール]] でスワップパーティションの作成ができます。スワップパーティションのタイプは、MBR で {{ic|82}}、GPT で {{ic|0657FD6D-A4AB-43C4-84E5-0933C84B4F4F}} が割り当てられています。 |
− | Linux のスワップ領域をセットアップする時には、{{ |
+ | Linux のスワップ領域をセットアップする時には、{{man|8|mkswap}} コマンドが使われます。例えば: |
+ | |||
− | # mkswap /dev/sda2 |
||
+ | # mkswap /dev/sd''xy'' |
||
{{Warning|指定したパーティションに保存されている全てのデータが消失します。}} |
{{Warning|指定したパーティションに保存されている全てのデータが消失します。}} |
||
− | |||
− | ''mkswap'' ユーティリティはデフォルトでパーティションの UUID を生成します。特定の UUID を指定したい場合は {{ic|-U}} フラグを使って下さい: |
||
− | # mkswap -U ''custom_UUID'' /dev/sda2 |
||
デバイスのページングを有効にするには: |
デバイスのページングを有効にするには: |
||
− | # swapon /dev/sda2 |
||
+ | # swapon /dev/sd''xy'' |
||
− | 起動時にスワップパーティションを有効にするには、エントリを [[fstab|fstab]] に追加します: |
||
− | /dev/sda2 none swap defaults 0 0 |
||
+ | 起動時にスワップパーティションを有効にするには、エントリを {{ic|/etc/fstab}} に追加します: |
||
− | {{Note|TRIM をサポートした SSD を使っている場合、スワップのための正しいマウントオプションは discard です。手動でスワップを作成するとき、-d や --discard を使うことで同じことができます。discard などのマウントオプションの詳しい情報は、swapon の man ページを見て下さい。}} |
||
+ | UUID=''device_UUID'' none swap defaults 0 0 |
||
− | == スワップファイル == |
||
+ | {{ic|''device_UUID''}} の部分はスワップ領域の [[UUID]] に変更してください。 |
||
− | パーティションを作るかわりに、オンザフライでサイズを変えたり簡単に削除できるものとしてスワップファイルが選択肢になりえます。特にディスク容量が貴重な場合 (例: 小容量の SSD) はこちらが理想的でしょう。 |
||
+ | ファイルの構文については [[fstab]] を見てください。 |
||
− | {{Note|今のところ BTRFS ファイルシステムはスワップファイルをサポートしていません。このことに気をつけておかないとファイルシステムの破壊をもたらす可能性があります。ただし loop デバイスを使ってマウントしている場合 btrfs でもスワップファイルを使うことが可能です。この方法は多少スワップのパフォーマンスが落ちます。}} |
||
+ | {{Note|GPT を使用しているデバイス上にスワップパーティションを配置した場合は fstab のエントリを作成するかどうかは任意です。[[#systemd による有効化]] を見てください。}} |
||
− | === スワップファイルの作成 === |
||
+ | {{Warning|swapon を使用している場合、mdadm を使用する RAID セットアップで discard を有効にすると起動時や起動中にシステムがフリーズします。}} |
||
− | root 権限で {{Ic|fallocate}} を使ってあなたが決めたサイズでスワップファイルを作成します (M = メガバイト, G = ギガバイト) ({{Ic|dd}} を使うこともできますが作成時間は長くなります)。例えば、512 MB のスワップファイルを作成するなら: |
||
+ | === systemd による有効化 === |
||
− | # fallocate -l 512M /swapfile |
||
− | または |
||
− | # dd if=/dev/zero of=/swapfile bs=1M count=512 |
||
+ | [[systemd]] は2つの異なる仕組みを使ってスワップパーティションを有効化します。どちらも実行可能ファイルは {{ic|/usr/lib/systemd/system-generators}} にあります。ジェネレータは起動時に実行され、マウントごとにネイティブの systemd ユニットを作成します。まず {{ic|systemd-fstab-generator}} が fstab を読み込んでユニットを生成します (スワップのユニットも)。次に {{ic|systemd-gpt-auto-generator}} が root ディスクを調査してユニットを生成します。後者は GPT ディスク上でのみ動作し、パーティションのタイプ GUID を見てスワップパーティションかどうかを識別します。さらなる情報については [[systemd#GPT パーティションの自動マウント]] を見てください。 |
||
− | 正しいパーミッションを設定します (スワップファイルを全てのユーザーが読めるようにすると深刻な脆弱性になります) |
||
+ | === スワップの無効化 === |
||
− | # chmod 600 /swapfile |
||
+ | 特定のスワップ領域を無効にするには: |
||
− | 正確なサイズのファイルを作成した後、ファイルをスワップにフォーマット: |
||
− | # |
+ | # swapoff /dev/sda2 |
+ | もしくは {{ic|-a}} スイッチを使って全てのスワップ領域を無効化することもできます。 |
||
− | スワップファイルを有効に: |
||
+ | スワップは systemd によって管理されているため、次の起動時にスワップが自動的に有効化されてしまいます。検出されたスワップ領域を自動的に有効化する機能を恒久的に無効にするには、{{ic|systemctl --type swap}} を実行して問題の ''.swap'' ユニットを確認して[[マスク]]してください。 |
||
− | # swapon /swapfile |
||
− | + | == スワップファイル == |
|
+ | パーティションを作るかわりに、臨機応変にサイズを変えたり簡単に削除できるものとしてスワップファイルが選択肢になりえます。特にディスク容量が貴重な場合 (例: 小容量の SSD) はこちらが理想的でしょう。 |
||
− | /swapfile none swap defaults 0 0 |
||
+ | {| class="wikitable sortable" |
||
− | === スワップファイルの削除 === |
||
+ | ! ファイルシステム |
||
+ | ! スワップファイルのサポート |
||
+ | |- |
||
+ | | [[Bcachefs]] |
||
+ | | {{No|https://github.com/koverstreet/bcachefs/issues/368}} |
||
+ | |- |
||
+ | | [[Btrfs]] |
||
+ | | {{G|[[Btrfs#Swap file|Yes]]}} |
||
+ | |- |
||
+ | | [[F2FS]] |
||
+ | | {{Yes}} |
||
+ | |- |
||
+ | | [[ext4]] |
||
+ | | {{Yes}} |
||
+ | |- |
||
+ | | [[JFS]] |
||
+ | | {{Yes}} |
||
+ | |- |
||
+ | | [[Wikipedia:NILFS|NILFS2]] |
||
+ | | {{No}} |
||
+ | |- |
||
+ | | [[NTFS3]] |
||
+ | | {{Yes}} |
||
+ | |- |
||
+ | | [[Wikipedia:ReiserFS|ReiserFS]] |
||
+ | | {{Yes}} |
||
+ | |- |
||
+ | | [[XFS]] |
||
+ | | {{Yes}} |
||
+ | |- |
||
+ | | [[ZFS]] |
||
+ | | {{No}} |
||
+ | |} |
||
+ | === スワップファイルの作成 === |
||
− | {{Warning|スワップは systemd によって管理されているため、後でまた有効になります。}} |
||
+ | {{Note|[[Btrfs]] については、以下の手順ではなく [[Btrfs#スワップファイル]] で説明されている手順に従ってください。}} |
||
− | スワップファイルを削除するには、現在使っているスワップファイルを無効にしなければなりません。 |
||
+ | {{man|8|mkswap}} を使用して、選択したサイズのスワップ ファイルを作成します。たとえば、4 GiB のスワップ ファイルを作成します: |
||
− | root 権限で: |
||
+ | # mkswap -U clear --size 4G --file /swapfile |
||
− | # swapoff -a |
||
− | スワップファイル |
+ | スワップファイルを有効化してください: |
− | # |
+ | # swapon /swapfile |
+ | 最後に、fstab 設定を編集してスワップファイルのエントリを追加してください: |
||
− | == USB デバイスとスワップ == |
||
+ | {{hc|/etc/fstab| |
||
− | Linux によるモジュール性のおかげで、私達は他のデバイスにわたる複数のスワップパーティションを使うことができます。あなたがひとつの完全なハードディスクを持っている場合、USB デバイスを一時パーティションとして使うことができます。ただしこのメソッドにはいくつか欠点も存在します: |
||
+ | /swapfile none swap defaults 0 0 |
||
− | * USB デバイスはハードディスクより低速です。 |
||
+ | }} |
||
− | * フラッシュメモリには書き込み回数の上限があります。スワップパーティションとして使うと急速に書き込み可能回数を消費します。 |
||
− | * 他のデバイスをコンピュータに接続したときに、スワップが使われません。 |
||
+ | 追加の情報については [[fstab#使用法]] を見てください。 |
||
− | USB デバイスをスワップに加えるには、まず USB フラッシュをスワップパーティションとしてパーティショニングします。Gparted などのグラフィカルツールや fdisk などのコンソールツールが使えます。パーティションテーブルを書き込む前にパーティションをスワップとしてラベル付けすることを忘れないで下さい。 |
||
− | {{Warning|パーティションの書き込み先のディスクが正しいか確認しましょう!}} |
||
+ | {{Note|スワップファイルは、UUID や ラベルではなくファイルシステム上の位置により指定されなければなりません。 |
||
− | 次に {{Ic|fstab}} を編集します |
||
+ | }} |
||
+ | ==== スワップファイルの削除 ==== |
||
− | # nano /etc/fstab |
||
− | + | スワップファイルを削除するには、まずスワップファイルを無効にしなければなりません。その後、スワップファイルを削除できます: |
|
+ | # swapoff /swapfile |
||
− | UUID=... none swap defaults,pri=10 0 0 |
||
+ | # rm -f /swapfile |
||
+ | 最後に {{ic|/etc/fstab}} から該当するエントリを削除してください。 |
||
− | UUID は次のコマンドの出力から決めて下さい |
||
+ | == RAM 内の圧縮ブロックデバイス == |
||
− | ls -l /dev/disk/by-uuid/ | grep /dev/sdc1 |
||
+ | スワップファイルやスワップパーティションを使用している場合、[[zswap]] がデフォルトで利用可能になっていますが、[[zram]] を使用して RAM 内で圧縮ブロックデバイスを使うことにより、スワップファイルやスワップパーティションの使用を完全に避けることができます。[[zram]] と [[zswap]] の違いについての詳細は [[パフォーマンスの向上#Zram または zswap]] を参照してください。 |
||
− | sdc1 をあなたの新しい USB スワップパーティションに置き換えます。 {{Ic|sdb1}} |
||
+ | == スワップの暗号化 == |
||
− | {{Tip|他のデバイスをコンピュータに接続するとデバイスの順番が狂うことがあるので UUID を使っています}} |
||
+ | [[dm-crypt/スワップの暗号化]]を見て下さい。 |
||
− | 最後に、''元の''スワップエントリに |
||
+ | == パフォーマンス == |
||
− | pri=0 |
||
+ | 通常、スワップに対する操作は RAM 上のデータに対する直接アクセスよりも断然遅くなります。しかし、パフォーマンスを向上させようとしてスワップを全体的に無効化するとパフォーマンスの劣化を招くことがあります。スワップを無効化すると仮想ファイルシステム(VFS)のキャッシュに利用できるメモリが減り、コストの高いディスクへのアクセスが増加するからです。 |
||
− | を加え、fstab に USB がいっぱいの時はハードディスクのスワップのみ使うように知らせます。 |
||
− | |||
− | このガイドは SD カードなどの他のメモリでも使うことができます。 |
||
− | |||
− | == パフォーマンスチューニング == |
||
スワップ値を変えることでパフォーマンスを向上できるかもしれません。 |
スワップ値を変えることでパフォーマンスを向上できるかもしれません。 |
||
131行目: | 167行目: | ||
=== Swappiness === |
=== Swappiness === |
||
+ | メモリ使用量が特定の閾値に達すると、カーネルはアクティブなメモリを調べ、何を解放できるかを確認し始めます。ファイルデータは (変更されている場合) ファイルシステムに書き出して、アンロードし、後で再ロードすることができます。他のデータは、アンロードする前にスワップに書き込まなければなりません。 |
||
− | ''swappiness'' [[sysctl|sysctl]] パラメータはカーネルのスワップ領域の優先(もしくは回避)を表しています。Swappiness は 0 から 100 の間の値にすることができます。このパラメータを低い値に設定すると RAM からのスワッピングが減り、多くのシステムでレスポンスが向上することが知られています。 |
||
+ | ''Swappiness'' [[sysctl]] パラメータは、カーネルが書き込み先としてファイルよりもスワップを優先する度合いを表します。Swappiness は 0 から 200 の間の値にすることができます (Linux < 5.8 では 100 が最大)。デフォルトの値は 60 です。小さい値にすると、カーネルは開いているファイルの解放を優先し、大きい値にすると、カーネルはスワップ領域を使おうとします。100 にすると、IO コストが等しいとみなされます。十分なメモリを積んでいる場合に低い値を使うと、4.0 より前のカーネルを実行しているシステムではレスポンスが向上することが知られています。 |
||
− | {{hc|/etc/sysctl.d/99-sysctl.conf|2= |
||
+ | |||
− | vm.swappiness=1 |
||
+ | {{Note|Swappiness がメモリの閾値に影響を与えたり、スワップ領域を使用させなくしたりするとよく誤解されます。しかし、この値は、スワップとファイルページのどちらを優先して解放するかだけに影響を与えます。より詳細な説明は[https://www.howtogeek.com/449691/what-is-swapiness-on-linux-and-how-to-change-it/ この記事]を、あるいはこの値が使われている[https://github.com/torvalds/linux/blob/v6.2/mm/vmscan.c#L3000-L3014 カーネルのソースコード]を参照してください。}} |
||
− | vm.vfs_cache_pressure=50 |
||
+ | |||
+ | 現在の swappiness 値をチェックするには: |
||
+ | |||
+ | $ sysctl vm.swappiness |
||
+ | |||
+ | 代わりに {{ic|/sys/fs/cgroup/memory/memory.swappiness}} (cgroup v1 固有) や {{ic|/proc/sys/vm/swappiness}} を読むことで生の整数値を得ることができます。 |
||
+ | |||
+ | swappiness 値を一時的にセットするには: |
||
+ | |||
+ | # sysctl -w vm.swappiness=10 |
||
+ | |||
+ | swappiness 値を永続的にセットするには、{{man|5|sysctl.d}} 設定ファイルを作成します。例えば: |
||
+ | |||
+ | {{hc|/etc/sysctl.d/99-swappiness.conf|2= |
||
+ | vm.swappiness = 10 |
||
}} |
}} |
||
+ | [[ブートローダー]]を使ってカーネルのロード時に swappiness を設定するには、[[カーネルパラメータ]]を追加してください。例えば: {{ic|1=sysctl.vm.swappiness=10}}。 |
||
− | テストしたり、なぜこれが働くのか知るには、この [http://rudd-o.com/en/linux-and-free-software/tales-from-responsivenessland-why-linux-feels-slow-and-how-to-fix-that 記事] を見て下さい。 |
||
+ | テストしたり、なぜこれが機能するのか知るには、[https://rudd-o.com/en/linux-and-free-software/tales-from-responsivenessland-why-linux-feels-slow-and-how-to-fix-that この記事]を見てください。より最近の反論は、[https://chrisdown.name/2018/01/02/in-defence-of-swap.html この記事] ([https://chrisdown.name/ja/2018/01/02/in-defence-of-swap.html 日本語訳]) を見てください。 |
||
− | [http://askubuntu.com/questions/103915/how-do-i-configure-swappiness この] Q&A には swappiness について多くの情報が載っています。 |
||
− | === |
+ | === VFS cache pressure === |
+ | スワップのパフォーマンスに影響を与えるもう1つの ''sysctl'' パラメーターは {{ic|vm.vfs_cache_pressure}} です。これは、VFS cache のキャッシングに使用されるメモリをページキャッシュとスワップに対して再利用するカーネルの傾向を制御します。この値を増やすと、VFS キャッシュが再利用される割合が上がります[https://web.archive.org/web/20171004100853/http://doc.opensuse.org/documentation/leap/tuning/html/book.sle.tuning/cha.tuning.memory.html#cha.tuning.memory.vm.reclaim]。詳細については [https://www.kernel.org/doc/html/latest/admin-guide/sysctl/vm.html Linux カーネルドキュメント] を参照してください。 |
||
− | 複数のスワップファイルやスワップパーティションを使っている場合、priority 値 (0 から 32767) をそれぞれのスワップ領域に割り当てることを考えて下さい。システムは優先度が低いスワップ領域を使う前に高い優先度が付けられたスワップ領域を使います。例えば、もしあなたが高速なディスク ({{ic|/dev/sda}}) と低速なディスク ({{ic|/dev/sdb}}) を持っている場合、高速なデバイス上のスワップ領域に高い優先度をあててください。priority は fstab で {{Ic|1=pri}} パラメータを使って設定できます: |
||
+ | |||
+ | === 優先度 === |
||
+ | |||
+ | 複数のスワップファイルやスワップパーティションを使っている場合、priority 値 (0 から 32767) をそれぞれのスワップ領域に割り当てることを考えて下さい。システムは優先度が低いスワップ領域を使う前に高い優先度が付けられたスワップ領域を使います。例えば、もしあなたが高速なディスク ({{ic|/dev/sda}}) と低速なディスク ({{ic|/dev/sdb}}) を持っている場合、高速なデバイス上のスワップ領域に高い優先度をあててください。priority は [[fstab]] で {{ic|pri}} パラメータを使って設定できます: |
||
/dev/sda1 none swap defaults,pri=100 0 0 |
/dev/sda1 none swap defaults,pri=100 0 0 |
||
/dev/sdb2 none swap defaults,pri=10 0 0 |
/dev/sdb2 none swap defaults,pri=10 0 0 |
||
− | もしくは swapon の {{Ic| |
+ | もしくは ''swapon'' の {{Ic|--priority}} パラメータを使います: |
+ | |||
+ | # swapon --priority 100 /dev/sda1 |
||
+ | |||
+ | もし2つ以上の領域が同じ priority を持ち、それが一番高い priority の場合、その領域間ではラウンドロビン方式でページが配分されます。 |
||
+ | |||
+ | === ストライピング === |
||
+ | |||
+ | スワップの性能を上げるために [[RAID]] を使う必要はありません。{{ic|/etc/fstab}} ファイルでスワップの優先度が同じに設定されている場合、複数のデバイスにスワップをストライプ処理するのはカーネルだけで行うことができます。詳しくは [http://unthought.net/Software-RAID.HOWTO/Software-RAID.HOWTO-2.html#ss2.3 The Software-RAID HOWTO] を参照してください。 |
||
+ | |||
+ | == 参照 == |
||
+ | * [https://chrisdown.name/2018/01/02/in-defence-of-swap.html In defence of swap: common misconceptions] (日本語訳: [https://chrisdown.name/ja/2018/01/02/in-defence-of-swap.html スワップの弁護:よくある誤解を解く]) |
||
− | # swapon -p 100 /dev/sda1 |
||
+ | {{TranslationStatus|Swap|2024-05-30|809163}} |
||
− | もし2つ以上の領域が同じ priority を持ち、それが一番高い priority の場合、その領域間ではラウンド・ロビン方式でページが配分されます。 |
2024年5月30日 (木) 19:06時点における最新版
このページでは GNU/Linux でのスワップ領域とページングを紹介します。また、スワップパーティションとスワップファイルの作成と有効化について説明しています。
All about Linux swap space より:
- Linux は物理 RAM (random access memory) をページと呼ばれるメモリのかたまりに分割します。スワッピングとは、メモリを解放するために、ページがスワップ領域という名の事前設定領域にコピーされることを言います。物理メモリとスワップ領域の合計が利用できる仮想メモリのサイズになります。
スワップのサポートは Linux カーネルにより提供され、ユーザスペースのユーティリティは util-linux パッケージに存在します。
目次
スワップ領域
スワップ領域は普通ディスクパーティションとして作られますが、ファイルにすることもできます。Arch Linux のインストール中にユーザーはスワップ領域を作成することができ、必要であればインストール後でも作成できます。スワップ領域を作成する理由は2つあります: 仮想メモリを拡張して、搭載している物理メモリ(RAM)より多くするためと、suspend-to-disk(ハイバネート) をするためです。
スワップを使って仮想メモリを拡張することが利益になるかどうかは搭載している物理メモリの容量により異なります。必要なプログラムをすべて実行するのに必要な量の物理メモリを搭載していないのであれば、スワップを作成することはおそらく利益となるでしょう。これにより、out of memory(メモリ不足) を避けることができます。Out of memory とは、Linux カーネルの OOM killer という仕組みが自動的にプロセスを kill してメモリの空き領域を作ろうとしている状態のことを言います。仮想メモリの容量を必要な量まで増やすには、足りない分をスワップ領域として追加してください。
スワップを有効にすることの最大の欠点はパフォーマンスが低下することです(#パフォーマンス セクションを見てください)。それゆえ、スワップを有効化するかどうかは個人の好みの問題となります。スワップを有効化するよりメモリが枯渇したときにプロセスが kill されるほうが良いという人もいますし、メモリが枯渇したときにシステムが低速化するがスワップを有効化したほうが良いという人もいます。
スワップの状態を確認するには、次を実行:
$ swapon --show
もしくは、以下を実行して物理メモリとスワップの使用状況を表示:
$ free -h
スワップパーティション
ほとんどの GNU/Linux の パーティショニングツール でスワップパーティションの作成ができます。スワップパーティションのタイプは、MBR で 82
、GPT で 0657FD6D-A4AB-43C4-84E5-0933C84B4F4F
が割り当てられています。
Linux のスワップ領域をセットアップする時には、mkswap(8) コマンドが使われます。例えば:
# mkswap /dev/sdxy
デバイスのページングを有効にするには:
# swapon /dev/sdxy
起動時にスワップパーティションを有効にするには、エントリを /etc/fstab
に追加します:
UUID=device_UUID none swap defaults 0 0
device_UUID
の部分はスワップ領域の UUID に変更してください。
ファイルの構文については fstab を見てください。
systemd による有効化
systemd は2つの異なる仕組みを使ってスワップパーティションを有効化します。どちらも実行可能ファイルは /usr/lib/systemd/system-generators
にあります。ジェネレータは起動時に実行され、マウントごとにネイティブの systemd ユニットを作成します。まず systemd-fstab-generator
が fstab を読み込んでユニットを生成します (スワップのユニットも)。次に systemd-gpt-auto-generator
が root ディスクを調査してユニットを生成します。後者は GPT ディスク上でのみ動作し、パーティションのタイプ GUID を見てスワップパーティションかどうかを識別します。さらなる情報については systemd#GPT パーティションの自動マウント を見てください。
スワップの無効化
特定のスワップ領域を無効にするには:
# swapoff /dev/sda2
もしくは -a
スイッチを使って全てのスワップ領域を無効化することもできます。
スワップは systemd によって管理されているため、次の起動時にスワップが自動的に有効化されてしまいます。検出されたスワップ領域を自動的に有効化する機能を恒久的に無効にするには、systemctl --type swap
を実行して問題の .swap ユニットを確認してマスクしてください。
スワップファイル
パーティションを作るかわりに、臨機応変にサイズを変えたり簡単に削除できるものとしてスワップファイルが選択肢になりえます。特にディスク容量が貴重な場合 (例: 小容量の SSD) はこちらが理想的でしょう。
ファイルシステム | スワップファイルのサポート |
---|---|
Bcachefs | No |
Btrfs | Yes |
F2FS | Yes |
ext4 | Yes |
JFS | Yes |
NILFS2 | No |
NTFS3 | Yes |
ReiserFS | Yes |
XFS | Yes |
ZFS | No |
スワップファイルの作成
mkswap(8) を使用して、選択したサイズのスワップ ファイルを作成します。たとえば、4 GiB のスワップ ファイルを作成します:
# mkswap -U clear --size 4G --file /swapfile
スワップファイルを有効化してください:
# swapon /swapfile
最後に、fstab 設定を編集してスワップファイルのエントリを追加してください:
/etc/fstab
/swapfile none swap defaults 0 0
追加の情報については fstab#使用法 を見てください。
スワップファイルの削除
スワップファイルを削除するには、まずスワップファイルを無効にしなければなりません。その後、スワップファイルを削除できます:
# swapoff /swapfile # rm -f /swapfile
最後に /etc/fstab
から該当するエントリを削除してください。
RAM 内の圧縮ブロックデバイス
スワップファイルやスワップパーティションを使用している場合、zswap がデフォルトで利用可能になっていますが、zram を使用して RAM 内で圧縮ブロックデバイスを使うことにより、スワップファイルやスワップパーティションの使用を完全に避けることができます。zram と zswap の違いについての詳細は パフォーマンスの向上#Zram または zswap を参照してください。
スワップの暗号化
dm-crypt/スワップの暗号化を見て下さい。
パフォーマンス
通常、スワップに対する操作は RAM 上のデータに対する直接アクセスよりも断然遅くなります。しかし、パフォーマンスを向上させようとしてスワップを全体的に無効化するとパフォーマンスの劣化を招くことがあります。スワップを無効化すると仮想ファイルシステム(VFS)のキャッシュに利用できるメモリが減り、コストの高いディスクへのアクセスが増加するからです。
スワップ値を変えることでパフォーマンスを向上できるかもしれません。
Swappiness
メモリ使用量が特定の閾値に達すると、カーネルはアクティブなメモリを調べ、何を解放できるかを確認し始めます。ファイルデータは (変更されている場合) ファイルシステムに書き出して、アンロードし、後で再ロードすることができます。他のデータは、アンロードする前にスワップに書き込まなければなりません。
Swappiness sysctl パラメータは、カーネルが書き込み先としてファイルよりもスワップを優先する度合いを表します。Swappiness は 0 から 200 の間の値にすることができます (Linux < 5.8 では 100 が最大)。デフォルトの値は 60 です。小さい値にすると、カーネルは開いているファイルの解放を優先し、大きい値にすると、カーネルはスワップ領域を使おうとします。100 にすると、IO コストが等しいとみなされます。十分なメモリを積んでいる場合に低い値を使うと、4.0 より前のカーネルを実行しているシステムではレスポンスが向上することが知られています。
現在の swappiness 値をチェックするには:
$ sysctl vm.swappiness
代わりに /sys/fs/cgroup/memory/memory.swappiness
(cgroup v1 固有) や /proc/sys/vm/swappiness
を読むことで生の整数値を得ることができます。
swappiness 値を一時的にセットするには:
# sysctl -w vm.swappiness=10
swappiness 値を永続的にセットするには、sysctl.d(5) 設定ファイルを作成します。例えば:
/etc/sysctl.d/99-swappiness.conf
vm.swappiness = 10
ブートローダーを使ってカーネルのロード時に swappiness を設定するには、カーネルパラメータを追加してください。例えば: sysctl.vm.swappiness=10
。
テストしたり、なぜこれが機能するのか知るには、この記事を見てください。より最近の反論は、この記事 (日本語訳) を見てください。
VFS cache pressure
スワップのパフォーマンスに影響を与えるもう1つの sysctl パラメーターは vm.vfs_cache_pressure
です。これは、VFS cache のキャッシングに使用されるメモリをページキャッシュとスワップに対して再利用するカーネルの傾向を制御します。この値を増やすと、VFS キャッシュが再利用される割合が上がります[1]。詳細については Linux カーネルドキュメント を参照してください。
優先度
複数のスワップファイルやスワップパーティションを使っている場合、priority 値 (0 から 32767) をそれぞれのスワップ領域に割り当てることを考えて下さい。システムは優先度が低いスワップ領域を使う前に高い優先度が付けられたスワップ領域を使います。例えば、もしあなたが高速なディスク (/dev/sda
) と低速なディスク (/dev/sdb
) を持っている場合、高速なデバイス上のスワップ領域に高い優先度をあててください。priority は fstab で pri
パラメータを使って設定できます:
/dev/sda1 none swap defaults,pri=100 0 0 /dev/sdb2 none swap defaults,pri=10 0 0
もしくは swapon の --priority
パラメータを使います:
# swapon --priority 100 /dev/sda1
もし2つ以上の領域が同じ priority を持ち、それが一番高い priority の場合、その領域間ではラウンドロビン方式でページが配分されます。
ストライピング
スワップの性能を上げるために RAID を使う必要はありません。/etc/fstab
ファイルでスワップの優先度が同じに設定されている場合、複数のデバイスにスワップをストライプ処理するのはカーネルだけで行うことができます。詳しくは The Software-RAID HOWTO を参照してください。