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=== XBOOTLDR を使用したインストール === |
=== XBOOTLDR を使用したインストール === |
2023年12月3日 (日) 17:17時点における版
systemd-boot (旧名 gummiboot。ドイツ語で「ゴムボート」)は、 設定された EFI イメージを実行するシンプルな UEFI ブートマネージャーです。デフォルトのエントリは設定されたパターン (glob) または矢印キーで操作する画面上のメニューによって選択されます。systemd に含まれており、Arch システムにデフォルトでインストールされます。
systemd-boot は EFI 実行可能ファイル (EFISTUB、UEFI シェル、GRUB、Windows ブートマネージャ) のみを起動できることに注意してください。
サポートされているファイルシステム
systemd-boot はファイルシステムのサポートを ファームウェア から引き継ぎます (少なくとも FAT12、FAT16、FAT32) さらに、esp/EFI/systemd/drivers/
にある UEFI ドライバ を全てロードします。
インストール
systemd-boot は、base メタパッケージの依存関係である systemd パッケージとともに出荷されるため、追加のパッケージを手動でインストールする必要はありません。
EFI ブートマネージャのインストール
systemd-boot の EFI ブートマネージャをインストールする場合、まず UEFI モードでシステムが起動しているかどうか、UEFI 変数 が利用できるかどうか確かめてください。efivar --list
コマンドを実行することでチェックできます。または、efivar がインストールされていない場合は、ls /sys/firmware/efi/efivars
を実行してください (ディレクトリが存在する場合、システムは UEFI モードにブートされます)
このページでは ESP のマウントポイントを esp
として表します (大抵の場合は /efi
か /boot
です) これは、システムのマウントポイントに chroot していることを前提としています。
bootctl(1) を使用して EFI システムパーティションに systemd-boot をインストールします:
# bootctl install
これにより、systemd-boot UEFI ブートマネージャーが ESP にコピーされ、その UEFI ブートエントリが作成され、UEFI ブート順序の最初に設定されます。
- x64 UEFI では、
/usr/lib/systemd/boot/efi/systemd-bootx64.efi
はesp/EFI/systemd/systemd-bootx64.efi
とesp/EFI/BOOT/BOOTX64.EFI
にコピーされます。 - IA32 UEFI では、
/usr/lib/systemd/boot/efi/systemd-bootia32.efi
はesp/EFI/systemd/systemd-bootia32.efi
とesp/EFI/BOOT/BOOTIA32.EFI
にコピーされます。
UEFI ブートエントリは "Linux Boot Manager" と呼ばれ、UEFI のビット数によって、ESP 上の EFI}systemd-bootx64.efi
か EFI}systemd-bootia32.efi
を指します。
インストールを完了するには、systemd-boot を設定します。
XBOOTLDR を使用したインストール
カーネルと initramfs を ESP から分離するために、"Linux extended boot" タイプ (XBOOTLDR) の別の /boot パーティションを作成することができます。これは、既存の ESP が小さすぎる Windows と Arch のデュアルブート 時に特に役立ちます。
通常どおり ESP を作成し、同じ物理ドライブに XBOOTLDR 用の別のパーティションを作成します。XBOOTLDR のパーティションタイプ GUID は "bc13c2ff-59e6-4262-a352-b275fd6f7172
である必要があります。XBOOTLDR パーティションのサイズは、インストールする全てのカーネルを収納できる 十分な大きさが必要です。
インストール中に、ESP を /mnt/efi
にマウントし、 boot
を /mnt/boot
にマウントします。
chroot になったら、次のコマンドを使用します:
# bootctl --esp-path=/efi --boot-path=/boot install
インストールを完了するには systemd-boot を設定します。
EFI ブートマネージャの更新
systemd-boot の新しいバージョンがある場合は、ユーザーが任意でブートマネージャを再インストールできます。手動で実行することも、pacman フックを使用して更新を自動的にトリガすることもできます。その後、2つのアプローチについて説明します。
手動で更新
bootctl を使用して systemd-boot を更新:
# bootctl update
自動で更新
systemd サービス
バージョン 250 以降、systemd には systemd-boot-update.service
が同梱されています。このサービスを 有効 にすると、次回の起動時にブートローダーが更新されます。
Pacman フック
systemd-boot-pacman-hookAUR パッケージは systemd がアップグレードされる度に実行される pacman フックを追加します。
systemd-boot-pacman-hook をインストールするのではなく、次のファイルを /etc/pacman.d/hooks/
に手動で配置することをお勧めします:
/etc/pacman.d/hooks/95-systemd-boot.hook
[Trigger] Type = Package Operation = Upgrade Target = systemd [Action] Description = Gracefully upgrading systemd-boot... When = PostTransaction Exec = /usr/bin/systemctl restart systemd-boot-update.service
セキュアブート を有効にしている場合は、パッケージのアップグレードのたびにブートマネージャーに自動的に署名する pacman フックを追加するとよいでしょう:
/etc/pacman.d/hooks/80-secureboot.hook
[Trigger] Operation = Install Operation = Upgrade Type = Path Target = usr/lib/systemd/boot/efi/systemd-boot*.efi [Action] Description = Signing systemd-boot EFI binary for Secure Boot When = PostTransaction Exec = /bin/sh -c 'while read -r i; do sbsign --key /path/to/keyfile.key --cert /path/to/certificate.crt "$i"; done;' Depends = sh Depends = sbsigntools NeedsTargets
/path/to/keyfile.key
と /path/to/certificate.crt
をそれぞれ署名鍵と証明書に置き換えてください。このフックのより良い理解については、sbsign(1) を参照してください。
設定
ローダー設定
ローダーの設定は esp/loader/loader.conf
ファイルに保存されます。詳細は、loader.conf(5) § OPTIONS を参照してください。
ローダーの設定例を以下に示します:
esp/loader/loader.conf
default arch.conf timeout 4 console-mode max editor no
ローダーの追加
bootctl は esp/loader/entries/*.conf
からブートメニューのアイテムを検索します – 各ファイルにそれぞれひとつだけローダーを記述してください。利用可能なオプション:
title
– オペレーティングシステムの名前。必須。version
– カーネルバージョン、同じ title のエントリが複数存在する場合にのみ表示されます。任意。machine-id
–/etc/machine-id
のマシン識別子、title と version が同じエントリが複数存在する場合にのみ表示されます。任意。efi
– 起動する EFI プログラム、ESP (/boot
) からの相対パス。例:/vmlinuz-linux
。このオプションかlinux
(下を参照) のどちらか一方が必須です。options
– EFI プログラムに渡すコマンドラインオプションまたはカーネルパラメータ。任意ですが、Linux を起動する場合initrd=efipath
とroot=dev
が最低限必要になります。
Linux を起動する場合、efi
と options
を使う代わりに以下のオプションが使用できます:
linux
とinitrd
で ESP の適切なファイルの相対パスを指定します。例:/vmlinuz-linux
。この値は自動でefi path
とoptions initrd=path
に翻訳されます – この文法は利便性のためにサポートされており機能に違いはありません。
arch_os というラベルが付いたパーティションから Arch を起動して Intel CPU のマイクロコードをロードするローダーファイルの例:
esp/loader/entries/arch.conf
title Arch Linux linux /vmlinuz-linux initrd /intel-ucode.img initrd /initramfs-linux.img options root="LABEL=arch_os" rw
esp/loader/entries/arch-fallback.conf
title Arch Linux (fallback initramfs) linux /vmlinuz-linux initrd /intel-ucode.img initrd /initramfs-linux-fallback.img options root="LABEL=arch_os" rw
bootctl は自動的に "Windows Boot Manager" (/EFI/Microsoft/Boot/Bootmgfw.efi
), "EFI Shell" (/shellx64.efi
), "EFI Default Loader" (/EFI/BOOT/bootx64.efi
) をチェックします。また、/EFI/Linux
にカーネルファイルが存在しないかもチェックされます。これらが検出された場合、自動的に適切なエントリが生成されます (auto-windows
, auto-efi-shell
, auto-efi-default
)。これらのエントリを手動でローダー設定する必要はありません。ただし、(rEFInd など) 他の EFI アプリケーションは自動検出されないため、Linux カーネルを起動するには、手動で設定してエントリを作成する必要があります。
EFI シェルや他の EFI アプリ
EFI シェル と 他のEFIアプリケーション を ESP にインストールした場合は、次のスニペットを使用できます。
カスタム UEFI シェルローダーのロード例:
esp/loader/entries/uefi-shell-v1-x86_64.conf
title UEFI Shell x86_64 v1 efi /EFI/shellx64_v1.efi
esp/loader/entries/uefi-shell-v2-x86_64.conf
title UEFI Shell x86_64 v2 efi /EFI/shellx64_v2.efi
別のディスクから起動
systemd-boot は ESP や XBOOTLDR パーティション以外のパーティションからバイナリを起動することはできませんが、外部スクリプトを実行して起動することは可能です。
まず、edk2-shell をインストールする必要があります。(使用するインタプリタ) をインストールし、EFI シェル (上記で説明) を使用して、map コマンドで FS alias (例: HD0a66666a2) と保存先の EFI ファイルのフルパス (例:EFIMicroBoot\Bootmgfw.efi) を控えておきます。
その後、'exit' コマンドを使用して、Linux にブートバックし、新しいエントリを作成することができます。 これを行うには、まずマウントポイント esp のルートに、FS alias、コロン、EFI パスを含む .nsh ファイル名を作成する必要があります(例)
esp/windows.nsh
HD0a66666a2:EFI\Microsoft\Boot\Bootmgfw.efi
このファイルを作成したら、スクリプトを実行するためのローダーエントリの作成に進むことができます。
esp/loader/entries/windows.conf
title Windows efi /shellx64.efi options -nointerrupt -noconsolein -noconsoleout windows.nsh
efi パスが esp パーティション内の edk2-shell がコピーされた場所と一致し、オプションの最後の引数が esp パーティションのルート内の .nsh ファイル名と一致することが重要です。また、edk2-shell の EFI ファイルを移動して、 systemd-boot のエントリ自動作成を回避できることにも注意してください。
EFI ファームウェア・セットアップの起動
EFI ブート用に設定されたほとんどのシステムファームウェアは、UEFI ファームウェアセットアップでブートするために独自の efibootmgr エントリを追加します。
ハイバネーション
サスペンドとハイバネートの記事を参照してください。
パスワードで保護されたカーネルパラメータエディタ
password
設定オプションをサポートしている systemd-boot-passwordAUR をインストールすることもできます。sbpctl generate
を使ってオプションで指定する値を生成できます。
systemd-boot-password は以下のコマンドでインストールしてください:
# sbpctl install esp
カーネルパラメータを編集する前にパスワードの入力が求められるようになります。
ヒントとテクニック
ブートメニューで使用できるキー
ブートメニューで使用できるキー割り当てについては、systemd-boot(7) § KEY BINDINGS を参照してください。
再起動後の起動対象を選択する
ブートマネージャーは systemctl コマンドに統合されており、再起動後に起動させるオプションを選択できます。例えば、カスタムカーネルのエントリファイルが esp/loader/entries/arch-custom.conf
にあるとき、次のようにするとデフォルト設定はそのままにカスタムカーネルが起動します:
$ systemctl reboot --boot-loader-entry=arch-custom
マザーボードのファームウェアを起動させるときは次のようにします:
$ systemctl reboot --firmware-setup
Unified Kernel Image を使う
systemd-boot は esp/EFI/Linux/
内の unified kernel image を検索します。
unified kernel image はカーネル、initrd、カーネルのコマンドライン、/etc/os-release
およびスプラッシュスクリーンを単一ファイルに格納したもので、セキュアブート のための署名が容易に可能です。
作成するには、カーネルコマンドラインを指定した上で次のようにします:
$ objcopy \ --add-section .osrel="/usr/lib/os-release" --change-section-vma .osrel=0x20000 \ --add-section .cmdline="kernel-command-line.txt" --change-section-vma .cmdline=0x30000 \ --add-section .splash="/usr/share/systemd/bootctl/splash-arch.bmp" --change-section-vma .splash=0x40000 \ --add-section .linux="vmlinuz-file" --change-section-vma .linux=0x2000000 \ --add-section .initrd="initrd-file" --change-section-vma .initrd=0x3000000 \ "/usr/lib/systemd/boot/efi/linuxx64.efi.stub" "linux.efi"
作成した linux.efi
を 署名 することもできます。
linux.efi
を esp/EFI/Linux/
にコピーしてください。
Grml on ESP
Grml は、システム管理とレスキュー用のソフトウェアを集めた小さなライブシステムです。
Grml を ESP にインストールするには、カーネル vmlinuz
、 initramfs initrd.img
、 圧縮イメージ grml64-small.squashfs
を iso ファイルから ESP にコピーするだけです。そのためには、まず [1] ファイルをダウンロードして(マウントポイントは以降 mnt と表記される) ファイルをマウントします。カーネルと initramfs は mnt/boot/grml6 small/
にあり、圧縮されたイメージは mnt/live/grml64-small/
にあります。
次に、Grml 用のディレクトリを ESP に作成します:
# mkdir -p esp/grml
上記のファイルをコピーします:
# cp mnt/boot/grml64small/vmlinuz esp/grml # cp mnt/boot/grml64small/initrd.img esp/grml # cp mnt/live/grml64-small/grml64-small.squashfs esp/grml
最後のステップで、システムブートローダー用のエントリを作成します。 esp/loader/entries
次の内容の grml.conf
ファイルを作成します:
esp/loader/entries/grml.conf
title Grml Live Linux linux /grml/vmlinuz initrd /grml/initrd.img options apm=power-off boot=live live-media-path=/grml/ nomce net.ifnames=0
使用可能なブートオプションの概要については、 cheatcode for Grml
BIOS システムでの systemd-boot
ブートローダーの仕様 に従う BIOS システム用のブートローダーが必要な場合は、 BIOS システムで systemd-boot を押してサービスを開始できます。 Clover ブートローダーは BIOS システムからの起動をサポートし、シミュレートされた EFI 環境を提供します。
トラブルシューティング
BIOS モードで起動後にインストール
BIOS モードで OS を起動したいときも systemd-boot をインストールすることは可能です。ただし、起動時に systemd-boot の EFI ファイルを実行するようにファームウェアを設定する必要があります:
- EFI シェルを使用する。
- ファームウェアのインターフェイスから起動時にロードされる EFI ファイルを設定する。
設定できる場合、インストールは簡単です: EFI シェルやファームウェアの設定インターフェイスを開いて、マシンのデフォルトの EFI ファイルを esp/EFI/systemd/systemd-bootx64.efi
(32ビット環境の場合 systemd-bootia32.efi
) に変更してください。
efibootmgr を使って手動エントリを追加する
bootctl install
コマンドが失敗した場合、efibootmgr ユーティリティを使って EFI ブートエントリを手動で作成することができます:
# efibootmgr -c -d /dev/sdX -p Y -l "\EFI\systemd\systemd-bootx64.efi" -L "Linux Boot Manager"
/dev/sdXY
は EFI システムパーティションに置き換えてください。
Windows の bcdedit を使用した手動入力
何らかの理由で Windows から EFI ブートエントリを作成する必要がある場合は、管理者プロンプトから次のコマンドを使用してください。
# bcdedit /copy {bootmgr} /d "Linux Boot Manager" # bcdedit /set {guid} path \EFI\systemd\systemd-bootx64.efi
{guid}
を最初のコマンドによってリターンされた ID に置き換えます。これをデフォルトのエントリとして設定するには:
# bcdedit /default {guid}
Windows をアップグレードした後にメニューが表示されない
Unified Extensible Firmware Interface#Windows によってブート順序が変わってしまうを見てください。
Windows BitLocker TPM ロック解除のサポートを追加
BitLocker による回復キーの要求を停止するには、次の行を loader.conf に追加します。
esp/loader/loader.conf
reboot-for-bitlocker yes
これにより、BootNext UEFI 変数が設定され、BitLocker が回復キーを必要とせずに Windows ブートマネージャー がロードされます。これは 1 回限りの変更であり、systemd-boot がデフォルトのブートローダーのままです。Windows が自動検出された場合は、エントリとして指定する必要はありません。
これは実験的な機能なので、必ず loader.conf(5) を参照してください。