fstab
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fstab(5) ファイルは、ディスクパーティションや様々なブロックデバイス、リモートファイルシステムをどうやってファイルシステムにマウントするかを記述します。
ファイルシステムは一行毎に記述されます。書かれている定義は、起動時やシステムマネージャの設定がリロードされたときに systemd の mount ユニットに動的に変換されます。デフォルトの設定では、マウントを必要とするサービスが起動する前にファイルシステムの fsck とマウントを自動的に実行します。例えば、NFS や Samba などのリモートファイルシステムはネットワークが立ち上がった後に systemd によって自動的にマウントされます。そのため、/etc/fstab
に指定するローカル・リモートファイルシステムのマウントに設定は必要ありません。詳しくは systemd.mount(5) を見て下さい。
mount
コマンドはディレクトリやデバイスがひとつだけ指定された場合、他のパラメータの値を取得するために fstab を使います。このとき、fstab に記述されたマウントオプションも使われます。
使用法
以下は、ファイルシステムの UUID を使用した /etc/fstab
の例です:
/etc/fstab
# <device> <dir> <type> <options> <dump> <fsck> UUID=0a3407de-014b-458b-b5c1-848e92a327a3 / ext4 noatime 0 1 UUID=f9fe0b69-a280-415d-a03a-a32752370dee none swap defaults 0 0 UUID=b411dc99-f0a0-4c87-9e05-184977be8539 /home ext4 noatime 0 2
<device>
には、マウントされるべきブロック特殊デバイスやリモートファイルシステムを記述します。#ファイルシステムの識別 を見てください。<dir>
には、マウントディレクトリを記述します。<type>
ファイルシステムの種類。<options>
関連するマウントオプション。mount(8) § FILESYSTEM-INDEPENDENT_MOUNT_OPTIONS と ext4(5) § MOUNT_OPTIONS を見てください。<dump>
は dump(8) ユーティリティによってチェックされます。このフィールドは通常0
にセットします。0
はチェックを無効化します。<fsck>
は、起動時にチェックするファイルシステムの順番を設定します。fsck(8) を見てください。ルートファイルシステムには1
を設定するべきです。他のパーティションには2
を設定するか、チェックを無効化する0
を設定するべきです。
スタートアップ時や、noauto
オプションが指定されていないデバイスに対して mount(8) コマンドを -a
フラグ付きで実行した時に、/etc/fstab
内で指定されたすべてのデバイスは自動的にマウントされます。リストにあるが存在しないデバイスは、nofail
オプションが使用されている場合を除き、エラーとなります。
詳細は fstab(5) § DESCRIPTION を見てください。
ファイルシステムの識別
/etc/fstab
でファイルシステムを識別する方法がいくつか存在します: カーネルの名前記述子、ファイルシステムのラベルや UUID、GPT パーティションのラベルや UUID です。カーネルの名前記述子は使用すべきではありません。ラベルよりも UUID や PARTUUID を優先して使用すべきです。詳細は 永続的なブロックデバイスの命名 を見てください。この記事を読み進める前に、その記事を先に読むことをおすすめします。
このセクションでは、ファイルシステムをマウントするいくつかの方法を例を通して説明します。以下の例で使用されるコマンド lsblk -f
と blkid
の出力は、永続的なブロックデバイスの命名 で見られます。
カーネルの名前記述子を使うには、fstab の最初の列で /dev/sdxy
を使ってください。
カーネルの名前記述子
lsblk -f
を実行してパーティションの一覧を出力し、NAME 列の値の前に /dev/
を付け加えてください。
/etc/fstab
# <device> <dir> <type> <options> <dump> <fsck> /dev/sda1 /boot vfat defaults 0 2 /dev/sda2 / ext4 defaults 0 1 /dev/sda3 /home ext4 defaults 0 2 /dev/sda4 none swap defaults 0 0
ファイルシステムラベル
lsblk -f
を実行してパーティションの一覧を出力し、LABEL 列の値の前に LABEL=
を付け加えてください。あるいは、blkid
を実行し、LABEL の値を引用符無しで使ってください:
/etc/fstab
# <device> <dir> <type> <options> <dump> <fsck> LABEL=ESP /boot vfat defaults 0 2 LABEL=System / ext4 defaults 0 1 LABEL=Data /home ext4 defaults 0 2 LABEL=Swap none swap defaults 0 0
ファイルシステム UUID
lsblk -f
を実行してパーティションの一覧を出力し、UUID 列の値の前に UUID=
を付け加えてください。あるいは、blkid
を実行し、UUID の値を引用符無しで使ってください:
/etc/fstab
# <device> <dir> <type> <options> <dump> <fsck> UUID=CBB6-24F2 /boot vfat defaults 0 2 UUID=0a3407de-014b-458b-b5c1-848e92a327a3 / ext4 defaults 0 1 UUID=b411dc99-f0a0-4c87-9e05-184977be8539 /home ext4 defaults 0 2 UUID=f9fe0b69-a280-415d-a03a-a32752370dee none swap defaults 0 0
GPT パーティションラベル
blkid
を実行してパーティションの一覧を出力し、PARTLABEL の値を引用符無しで使ってください:
/etc/fstab
# <device> <dir> <type> <options> <dump> <fsck> PARTLABEL=EFI\040system\040partition /boot vfat defaults 0 2 PARTLABEL=GNU/Linux / ext4 defaults 0 1 PARTLABEL=Home /home ext4 defaults 0 2 PARTLABEL=Swap none swap defaults 0 0
GPT パーティション UUID
blkid
を実行してパーティションの一覧を出力し、PARTUUID の値を引用符無しで使ってください:
/etc/fstab
# <device> <dir> <type> <options> <dump> <fsck> PARTUUID=d0d0d110-0a71-4ed6-936a-304969ea36af /boot vfat defaults 0 2 PARTUUID=98a81274-10f7-40db-872a-03df048df366 / ext4 defaults 0 1 PARTUUID=7280201c-fc5d-40f2-a9b2-466611d3d49e /home ext4 defaults 0 2 PARTUUID=039b6c1c-7553-4455-9537-1befbc9fbc5b none swap defaults 0 0
ヒントとテクニック
systemd による自動マウント
詳細は systemd.automount(5) にあります。
ローカルパーティション
巨大な /home
パーティションが存在する場合、fsck によって /home
がチェックされている間に、/home
を使わないサービスを起動できるようにすると良いかもしれません。/home
パーティションの /etc/fstab
エントリに以下のオプションを追加することでそのように設定できます:
noauto,x-systemd.automount
/home
に最初にアクセスしたときに fsck とマウントを行うようになり、パーティションの準備が出来るまでカーネルが /home
へのファイルアクセスを全てバッファします。
リモートファイルシステム
同じ設定はリモートファイルシステムのマウントにも適用できます。アクセスしたときにだけリモートファイルシステムをマウントしたい場合、noauto,x-systemd.automount
パラメータを使って下さい。さらに、x-systemd.device-timeout=
オプションを使うことでネットワークに接続できないときのタイムアウトを指定できます。また、_netdev
オプションで systemd がネットワークに依存するマウントであることを認識してネットワークがオンラインになった後に順番を入れ替えます。
noauto,x-systemd.automount,x-systemd.device-timeout=30,_netdev
暗号化ファイルシステム
キーファイルによって暗号化したファイルシステムがある場合も、noauto
パラメータを /etc/crypttab
の適当なエントリに追加することができます。設定することで systemd は起動時に暗号化デバイスを開かないようになり、実際にアクセスされたときになってから指定したキーファイルを使ってファイルシステムを開いてマウントします。デバイスが利用可能になるのを systemd が待機しないようになるので、暗号化 RAID デバイスなどを使っている場合、起動時間が数秒間短くなるかもしれません。例:
/etc/crypttab
data /dev/md0 /root/key noauto
自動マウント解除
x-systemd.idle-timeout
フラグを使うことで一定時間アイドル状態のときにタイムアウトするのを指定できます。例:
noauto,x-systemd.automount,x-systemd.idle-timeout=1min
上記の設定の場合、1分間操作がないと systemd によってアンマウントされます。
スワップの UUID
スワップパーティションが UUID を持っていない場合、手動で追加することが可能です。これは lsblk -f
コマンドでスワップの UUID が表示されないときに発生します。スワップに UUID を指定する手順は以下になります:
スワップパーティションを確認:
# swapon -s
スワップを無効化:
# swapoff /dev/sda7
新しく UUID を指定してスワップを再作成:
# mkswap -U random /dev/sda7
スワップを有効化:
# swapon /dev/sda7
ファイルパスのスペース(空白)
マウントポイントにスペース(空白)が含まれている場合、エスケープ文字 \
と3文字の8進数コード 040
を使ってスペースの代わりにしてください:
/etc/fstab
UUID=47FA-4071 /home/username/Camera\040Pictures vfat defaults,noatime 0 0 /dev/sda7 /media/100\040GB\040(Storage) ext4 defaults,noatime,user 0 2
外部デバイス
存在するときに外部デバイスをマウントして、無い時は無視するには nofail
オプションが必要です。このオプションは起動時にエラーが報告されるのを防止します。
/etc/fstab
/dev/sdg1 /media/backup jfs defaults,nofail,x-systemd.device-timeout=1 0 2
systemd 219 から、nofail
オプションを使う時は x-systemd.device-timeout
オプションも使用することが推奨されます。デフォルトのデバイスタイムアウトが90秒になったため、nofail
しか指定しない場合、外部デバイスを切断したときに起動が90秒伸びることになるからです。上記のようにタイムアウトを再設定して上げて下さい。タイムアウトを0に設定してはいけません。永遠にタイムアウトしなくなります。
また、外部デバイスを扱うのに他の systemd ユニットをロードする必要がある場合 (例えばネットワークで共有する場合など)、x-systemd.requires=x
と x-systemd.automount
を組み合わせて使うことで、ユニットが起動してから自動マウントさせることができます。例:
/etc/fstab
/host/share /net/share cifs noauto,nofail,x-systemd.automount,x-systemd.requires=network-online.target,x-systemd.device-timeout=10,workgroup=workgroup,credentials=/foo/credentials 0 0
また、NetworkManager-wait-online や systemd-networkd-wait-online を有効化する方法もあります。
atime オプション
noatime
, nodiratime
, relatime
を使用するとドライブのパフォーマンスが改善します。Linux は読み込まれるたびに記録する(ドライブに書き込む) atime
をデフォルトで使っています。これは Linux をサーバーに使っている時は理にかなっていますが、デスクトップとして利用する場合はそれほど意味がありません。atime
オプションの最悪な点は、ページキャッシュからファイルを読み込む(ドライブではなくメモリから読み込む)ときでさえ書き込みを行ってしまうことです!noatime
オプションはファイルを読み込むたびにドライブにファイルのアクセス日時を書き込むのを完全に無効にします。これはほとんど全てのアプリケーションでうまくいきますが、そのような情報が必要な Mutt などの例外がわずかに存在します。mutt のために、relatime
オプションを使うほうがいいでしょう。relatime
オプションはファイルが変更されたときだけファイルアクセス日時の書き込みを有効にします (noatime
はアクセス日時が変更日時より古い場合でもアクセス日時を変更しません)。nodiratime
オプションはファイルアクセス日時の書き込みをディレクトリでだけ無効化し、その他のファイルではアクセス日時の書き込みが行われます。Mutt などのプログラムを動作させるために妥協として relatime
を使うのがベストだと思われます。
逆に strictatime
オプションはファイルにアクセスするたびにアクセス日時を更新します。サーバーとして Linux を使っている場合には意味がありますが、デスクトップ用途ではあまり有意義ではありません。strictatime
オプションの欠点として、たとえ (ドライブではなくメモリから読み込む) ページキャッシュからファイルを読み込んだ場合でも、ディスクに書き込みが発生してしまいます。
カーネル 4.0 から lazytime
という新しいオプションが追加されました。lazytime
は inode タイムスタンプ (アクセス・変更・作成日時) の変更をメモリ上に保存することでディスクへの書き込みを減らします。ディスク上のタイムスタンプが更新されるのは次の場合に限られます。(1) ファイルのタイムスタンプとは関係ない変更によってファイルの inode を更新する必要があるとき。(2) ディスクへの同期が発生したとき。(3) 削除されていない inode がメモリから追い出されたとき。(4) メモリ上のコピーがディスクに最後に書き込まれてから24時間以上経ったとき。
lazytime
オプションは前述の *atime
オプションと一緒に使うことが可能です。
FAT32 に標準ユーザーとして書き込み
FAT#FAT32 に標準ユーザーとして書き込みを参照してください。
root パーティションの再マウント
何らかの理由で誤って root パーティションを読み込み専用でマウントしてしまった場合は、次のコマンドで root パーティションを再マウントしてください:
# mount -o remount,rw /
バインドマウント
権限がないために特定のディレクトリにプログラムやユーザーがアクセスできない場合、プログラムがアクセスできる場所にディレクトリをバインドマウントすることでアクセスさせることができます。プログラムがあるディレクトリ bar にはアクセスできるがディレクトリ foo にはアクセスできないとき、/etc/fstab
にエントリを追加することで特にパーミッションを弄らないでもアクセス権限を与えられます:
/etc/fstab
/<path to foo> /<path to bar> none bind 0 0