MTP
メディア転送プロトコル (Media Transfer Protocol, MTP) は、多くの携帯電話 (全 Windows Phone 7/8/10 デバイスやほとんどの新しい Android デバイス) やメディアプレイヤ (例: Creative Zen) との間でメディアファイルの転送を行うために使用できます。
目次
接続
MTP を介してコンピュータをデバイスに接続するには:
- 対象デバイスがあなたのコンピュータと USB で接続されている必要があります
- MTP が対象デバイスで有効化されている必要があります
- デバイスのスクリーンがアンロックされている必要があります (セキュリティ上の理由により)
FUSE ファイルシステム
以下のプログラムは、FUSE ファイルシステムを介して MTP デバイスにアクセスできるようにします。
FUSE ベースのファイルシステムを使用する場合、まず先にマウントポイントのディレクトリを作成する必要があるかもしれません。以下の例では ~/mnt
ディレクトリが使われています。
通常、FUSE のマウントは fusermount -u マウントポイント
を使ってアンマウントできます。
Android File Transfer
Android File Transfer — CLI、Qt UI、カスタムの MTP 実装を使用する FUSE ラッパを搭載している MTP クライアント
~/mnt
にデバイスをマウントするには:
$ aft-mtp-mount ~/mnt
アルバムアートを表示させたい場合は、albumart.xxx
という名前にし、一番最初にマウント先のフォルダに配置しておかなければなりません。その後で、他のファイルをコピーしてください。また、fuse は ui/cli のファイル転送よりも 7~8 倍遅くなる可能性があることに注意してください。
コマンドラインインターフェイスでデバイスと対話したい場合は、以下のコマンドを実行してください:
$ aft-mtp-cli
help と入力すると、利用可能な全コマンドが一覧表示されます。exit と入力すると終了します。
グラフィカルユーザインターフェイスでデバイスと対話したい場合は、android-file-transfer アプリケーションを起動し、マウント先フォルダを選択して、ツールバーの任意のボタンを押してください。利用可能なオプションは、Upload Album、Upload Directory、Upload Files です。最後の2つは自明です。Upload album は、ソースディレクトリからアルバムカバーを検索し、利用可能な最も良いカバーを設定します。
MTPfs
MTPfs — libmtp ベース。任意の MTP デバイスに対して読み書きをサポートする FUSE ファイルシステムです
まず、/etc/fuse.conf
を編集して、以下の行をアンコメントしてください:
user_allow_other
~/mnt
にデバイスをマウントします:
$ mtpfs -o allow_other ~/mnt
jmtpfs
jmtpfs — libmtp ベース。MTP (Media Transfer Protocol) デバイスにアクセスします。
~/mnt
にデバイスをマウントします:
$ jmtpfs ~/mnt
2つのステップを行うことにより、Linux の残りの部分と一致させます (通常の mount/umount コマンドを使用する):
$# ln -s <実際の mount コマンドのパス/名前> <Linux の mount 規則と一致する名前> $ ln -s /sbin/jmtpfs /sbin/mount.jmtpfs
以下の行を /etc/fstab
に追加してください:
#jmtpfs <mount path> fuse nodev,allow_other,<other options> 0 0 jmtpfs /home/sam/run/motog fuse nodev,allow_other,rw,user,noauto,noatime,uid=1000,gid=1000 0 0
そして、デバイスをマウントし、オプションが渡されていることを確認してください:
$ mount /home/sam/run/motog Device 0 (VID=22b8 and PID=2e82) is a Motorola Moto G (ID2). Android device detected, assigning default bug flags $ mount ... jmtpfs on /home/sam/run/motog type fuse.jmtpfs (rw,nosuid,nodev,noexec,noatime,user_id=1000,group_id=1000,allow_other,user=sam)
SIMPLE-MTPFS
SIMPLE-MTPFS — libmtp ベース。Simple Media Transfer Protocol FileSystem は、USB でローカルマシンに接続された MTP デバイス上のファイルを操作できるファイルシステムです
検出されたデバイスを一覧表示するには simple-mtpfs -l
を実行してください。
リストの最初のデバイスを ~/mnt
にマウントするには、simple-mtpfs --device 1 ~/mnt
を実行してください。
go-mtpfs
go-mtpfs — カスタムの MTP 実装を持つ、Go で書かれた FUSE ファイルシステム
android-udev をインストールしてください。これは、/etc/udev/rules.d/51-android.rules
を編集して、(mtp-detect を実行後に見られる) idVendor
と idProduct
に適用できるようにします。行の最後にはあなたのユーザ OWNER="<user>"
を追加してください。
~/mnt
上にデバイスをマウントします:
$ go-mtpfs ~/mnt
libmtp
libmtp はライブラリ MTP 実装です。いくつかのコマンドラインツールの例も付属しています (pacman -Ql libmtp
でリストアップできます)。
デバイスを検出するには mtp-detect
を実行してください。
エラーが返ってくる場合、あなたのユーザが adbusers
ユーザグループに属していることを確認してください。
mtp-connect
コマンドでファイルを転送できます。
フロントエンド
gMTP — libmtp のためのグラフィカルフロントエンド。デスクトップに依存しない GUI で Android デバイスに接続し、ファイルを管理できます。
メディアプレイヤー
Amarok などの音楽プレイヤーで MTP デバイスを使うこともできます。これには /etc/udev/rules.d/51-android.rules
を編集する必要があります (以下では MTP デバイスの例として Galaxy Nexus を使っています):
次を実行してください:
$ lsusb
あなたのデバイスを探してください。以下のように出力されるはずです:
Bus 003 Device 011: ID 04e8:6860 Samsung Electronics Co., Ltd GT-I9100 Phone [Galaxy S II], GT-P7500 [Galaxy Tab 10.1]
/etc/udev/rules.d/51-android.rules
へのエントリは以下のようになります:
SUBSYSTEM=="usb", ATTR{idVendor}=="04e8", ATTR{idProduct}=="6860", MODE="0666", OWNER="[username]"
udev ルールをリロードしてください:
# udevadm control --reload
トラブルシューティング
libmtp
未知のデバイス
以下のようなメッセージが表示される場合:
Device 0 (VID=XXXX and PID=XXXX) is UNKNOWN. Please report this VID/PID and the device model to the libmtp development team
デバイスが次のリストに含まれているか確認する必要があります: Supported devices list。リストに入っていない場合は、開発チームに報告してください。リストに含まれている場合は、libmtp が少しだけ旧式になっている可能性があります。libmtp によって適切に使用されるように、デバイスを次のファイルに追加することが可能です:
/usr/lib/udev/rules.d/69-libmtp.rules
Unable to enumerate USB device
システムログ (journalctl
) に以下のようなメッセージが表示される場合:
usb usb4-port2: unable to enumerate USB device
以下のコマンドを実行してみてください [1]:
# modprobe -vr uhci_hcd # modprobe -va ohci_hcd # modprobe -va uhci_hcd
上記のコマンドで直る場合、以下の内容で /etc/modprobe.d/usb_hci_order.conf
を作成してください:
# create a dependency on ohci for uhci, which fixes problems # with external usb devices not showing up # softdep uhci_hcd pre: ohci_hcd
gvfs-mtp
gvfs-mtp パッケージをインストールしても、デバイスがファイルマネージャに表示されない場合、デバイスが自動マウントされるように udev ルールを書く必要があるかもしれません。
デバイスを接続して、vendor-id と product-id をそれぞれ取得してください:
$ lsusb Bus 001 Device 007: ID 0421:0661 Nokia Mobile Phones Lumia 920 (...)
ID の文字の後の2つの数字が vendorID : productID です。
ID がわかったら udev ルールを作成します。例:
# nano /etc/udev/rules.d/51-android.rules
ルールの中身は以下のようにしてください:
ATTR{idVendor}=="YOUR VENDOR ID HERE", ATTR{idProduct}=="YOUR PRODUCT ID HERE", SYMLINK+="libmtp", MODE="660", ENV{ID_MTP_DEVICE}="1"
udev ルールをリロードします:
# udevadm control --reload
そしてシステムを再起動してください。これで (Thunar などの) ファイルマネージャは MTP デバイスを自動でマウントできるようになったはずです [2]。
jmtpfs
jmtpfs でマウントは成功するがデバイス上のファイルにアクセスしようとすると以下のエラーが表示される場合:
cannot access <mount-point>: Input/output error
上記のエラーはセキュリティ機能が原因です。スマートフォンがロック画面でロックされているときに MTP は使用できません。ロックを解除してもういちど試してみてください。
kio-mtp
"ファイルマネージャで開く"が使えない場合は、/usr/share/apps/solid/actions/solid_mtp.desktop
ファイルを編集することで問題を解決できます。
次の行を:
Exec=kioclient exec mtp:udi=%i/
以下のように変更してください:
Exec=dolphin "mtp:/"