GNOME/Keyring

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GNOME Keyring はパスワード・鍵・証明書などを保存してアプリケーションから利用できるようにする GNOME のコンポーネントです。

インストール

GNOME を使用している場合、gnome-keyringgnome グループの一つとして自動的にインストールされます。GNOME を使っていない場合は、公式リポジトリから gnome-keyring をインストールしてください。

便利なユーティリティ:

  • secret-tool — コマンドラインから GNOME Keyring (や DBus Secret Service API が実装された他のサービス) にアクセス。
https://wiki.gnome.org/Projects/Libsecret || libsecret
  • gnome-keyring-query — GNOME Keyring に保存したパスワードを確認するためのシンプルなコマンドラインツール。
http://www.gentoo-wiki.info/HOWTO_Use_gnome-keyring_to_store_SSH_passphrases || gnome-keyring-queryAUR
  • gkeyring — コマンドラインからパスワードを確認する。Git バージョンではアイテムの名前や id を知らなくても全てのパスワードを確認可能。
https://github.com/kparal/gkeyring || gkeyringAUR, gkeyring-gitAUR

GUI で管理

GNOME Keyring は Seahorse を使って管理することができます。公式リポジトリから seahorse パッケージをインストールしてください。

GNOME Keyring のパスワードを空にしたり変更することが可能です。Seahorse を開いて、ドロップダウンメニューの "View" から "By Keyring" を選択してください。Passwords タブを開いて、"Passwords: login" を右クリックして "Change password" を選択してください。旧パスワードを入力してから新しいパスワードを入力します。暗号化されていないストレージを使用しているという警告が表示されるので "Use Unsafe Storage" を押して下さい。

GNOME 以外でキーリングを使用する

ディスプレイマネージャを使わない

自動ログイン

自動ログインを使っている場合、ログインキーリングに空のパスワードを設定することでキーリングマネージャを無効化することができます。

ノート: この場合はパスワードは暗号化されていない状態で保存されます。

コンソールログイン

コンソールによるログインを使っている場合、PAMxinitrc を使ってキーリングデーモンを起動することができます。PAM ではログイン時に自動的にキーリングのロックを解除することもできます。

PAM を使う

/etc/pam.d/login から gnome-keyring-daemon を起動:

auth セクションの最後に auth optional pam_gnome_keyring.so を追加して session セクションの最後に session optional pam_gnome_keyring.so auto_start を追加してください。

/etc/pam.d/login
#%PAM-1.0

auth       required     pam_securetty.so
auth       requisite    pam_nologin.so
auth       include      system-local-login
auth       optional     pam_gnome_keyring.so
account    include      system-local-login
session    include      system-local-login
session    optional     pam_gnome_keyring.so        auto_start

次に、/etc/pam.d/passwd の最後に password optional pam_gnome_keyring.so を追加してください。

/etc/pam.d/passwd
#%PAM-1.0

#password	required	pam_cracklib.so difok=2 minlen=8 dcredit=2 ocredit=2 retry=3
#password	required	pam_unix.so sha512 shadow use_authtok
password	required	pam_unix.so sha512 shadow nullok
password	optional	pam_gnome_keyring.so
ノート:
  • 自動でロックを解除したい場合、ユーザーアカウントとキーリングに同一のパスワードを設定する必要があります。
  • 上記の設定だけでは不十分で ~/.xinitrc に以下のコードを記述して環境変数をエクスポートする必要があります。
xinitrc を使う

xinitrc から gnome-keyring-daemon を起動:

~/.xinitrc
eval $(/usr/bin/gnome-keyring-daemon --start --components=pkcs11,secrets,ssh)
export SSH_AUTH_SOCK

スケルトンの .xinitrc では D-Bus セッションが起動します。詳しくは FS#13986 を参照。

ノート: GNOME_KEYRING_PID は削除されました。XDG_RUNTIME_DIR が設定されている場合 GNOME_KEYRING_CONTROL は書き込まれません。[1] を参照。

キーリングからの情報の取得に問題が発生する場合、問題の環境で DBUS_SESSION_BUS_ADDRESS がエクスポートされていることを確認してください (DBUS_SESSION_BUS_PID はエクスポートされません)。

Xfce で使う場合 SSH エージェントを参照。

ディスプレイマネージャを使う

ディスプレイマネージャを使う場合、ほとんどの場合、何も設定しなくてもキーリングは動作します。以下のディスプレイマネージャはログイン時にキーリングのロックを自動的に解除します:

ノート: libgnome-keyring をインストールする必要があるかもしれません。

KDM については、KDM#KDM と Gnome-keyring を見て下さい。

SDDM の場合、KDM のガイドラインに従ってください。ただし /etc/pam.d/kde/etc/pam.d/sddm に変更してください。

SSH などのターミナルから動作させるアプリケーションからキーリングを使えるようにするには、以下を ~/.bash_profile~/.zshenv に追加してください:

~/.zshenv
if [ -n "$DESKTOP_SESSION" ];then
    eval $(gnome-keyring-daemon --start)
    export SSH_AUTH_SOCK
fi
ノート: GNOME Keyring デーモンは GNOME_KEYRING_PID をもはや使いません。[2] を参照。

SSH 鍵

SSH 鍵を追加するには:

$ ssh-add ~/.ssh/id_dsa
Enter passphrase for /home/mith/.ssh/id_dsa:

自動でロードされている鍵を確認するには:

$ ssh-add -L

全ての鍵を無効化するには:

$ ssh-add -D

サーバーに接続するときに、鍵が使われてパスフレーズの入力を求めるダイアログがポップアップするようになります。ログイン時に自動的にロックを解除するオプションもあります。このオプションにチェックを入れている場合、もうパスフレーズを入力する必要はなくなります。

もしくは、キーリングにパスフレーズを永続的に保存したい場合、seahorse パッケージの seahorse-ssh-askpass を使います:

/usr/lib/seahorse/seahorse-ssh-askpass my_key
ノート: 秘密鍵と同じディレクトリ (上記の例では ~/.ssh/id_dsa.pub) に対応する .pub ファイルが必要です。また、公開鍵のファイル名が秘密鍵に .pub を付けた名前になっていることを確認してください (例: my_key.pub)。

キーリングデーモンの無効化

別の SSH エージェントを使いたい場合 (例: ssh-agent)、GNOME Keyring デーモンの SSH コンポーネントを無効化する必要があります:

# ln -sf /dev/null /etc/xdg/autostart/gnome-keyring-ssh.desktop

ログアウトすることで変更が適用されます。

ヒントとテクニック

アプリケーションとの統合

パスフレーズの消去

$ gnome-keyring-daemon -r -d

上記のコマンドで、実行中のインスタンスが終了して、新しい gnome-keyring-daemon が起動します。

GNOME Keyring と Git

HTTPS でプッシュするときに Git と GNOME Keyring を組み合わせると便利です。

まず公式リポジトリから libgnome-keyring パッケージをインストールしてください。

そしてヘルパーをコンパイルします:

$ cd /usr/share/git/credential/gnome-keyring
# make

ヘルパーを使うように Git を設定:

$ git config --global credential.helper /usr/lib/git-core/git-credential-gnome-keyring

これで git push を実行したときに、キーリングのロックが解除されていなかった場合、解除するように要求されます。

トラブルシューティング

パスワードが保存されない

ログイン時に毎回パスワードプロンプトが表示され、パスワードが保存されない場合は、デフォルトのキーリングを作成・設定する必要があります。

seahorse パッケージをインストールして、システム設定から "パスワードと秘密鍵" を開いて View > By Keyring を選択してください。左カラムにキーリングが存在しない場合 (鍵のアイコン)、File > New > Password Keyring とたどって名前を付けて下さい。パスワードの入力を求められます。パスワードを入力しないと自動的にパスワード解除されるようになります (自動ログインを使っている場合も)、ただしパスワードは安全に保存されません。最後に、作成したキーリングを右クリックして "Set as default" を選択してください。

キーリングデーモンの SSH と Secrets コンポーネントの起動

ディスプレイマネージャや上に書かれている PAM で GNOME Keyring を起動していて、デスクトップに GNOME や Unity、MATE を使っていない場合、SSH と Secrets コンポーネントが自動的に起動しない場合があります。/etc/xdg/autostart/ にあるデスクトップファイル gnome-keyring-ssh.desktopgnome-keyring-secrets.desktop~/.config/autostart/ にコピーして OnlyShowIn という行を削除すれば問題は解決します。

$ cp /etc/xdg/autostart/{gnome-keyring-secrets.desktop,gnome-keyring-ssh.desktop} ~/.config/autostart/
$ sed -i '/^OnlyShowIn.*$/d' ~/.config/autostart/gnome-keyring-secrets.desktop
$ sed -i '/^OnlyShowIn.*$/d' ~/.config/autostart/gnome-keyring-ssh.desktop