Tor
Tor は第2世代オニオンルーティングのオープンソース実装で、匿名プロキシネットワークへのアクセスを提供します。Tor の目標はトラフィック解析攻撃を防いでネットワークの匿名性を守ることです。
目次
イントロダクション
Tor ネットワークのユーザーはマシン上でオニオンプロキシを実行します。このソフトウェアは Tor に接続し、定期的に Tor ネットワークの仮想回線を構築します。Tor は層状の (つまり 'タマネギ' のような) 暗号化をすることで、ルーター間の完全な匿名性を保証しています。同時に、オニオンプロキシソフトウェアにはクライアントのために SOCKS インターフェースがあります。つまり SOCKS を利用できるアプリケーションは Tor に接続可能で、多様な通信が Tor 仮想回線を利用することができます。
上記のプロセスを通すことで、オニオンプロキシはネットワークトラフィックを管理してエンドユーザーの匿名性を守ります。通信を暗号化して、Tor ネットワークの他のノードを通して送信し、通信を受信した末端のノードで復号化してから指定されたサーバーに転送することで、ユーザーが匿名化されます。Tor によって匿名性が得られる代わりに、トラフィックのルート変更が何度も行われるため、通常の直接接続よりも通信速度が著しく遅くなります。さらに、Tor はトラフィックの解析に対する防護をしますが、Tor ネットワークの境界 (ネットワークに出入りするトラフィック) でトラフィックを確認することは防げません。
インストール
arm (Anonymizing Relay Monitor) パッケージには帯域使用量や接続の詳細などをターミナルに表示するモニタが含まれています。
さらに、Tor の Qt フロントエンドである vidaliaAUR が利用できます。Tor プロセスの操作に加えて、Vidalia では Tor の状態の回覧・設定、利用帯域の監視、ログメッセージの回覧・フィルター・検索が可能です。
設定
Tor をより深く理解するために、設定ファイルの /etc/tor/torrc
をよく見て下さい。設定オプションの説明は man tor
や Tor website で見られます。ほとんどの場合はデフォルト設定で問題なく Tor は動作します。
torrc
の設定と tor.service
の設定で衝突が発生する可能性があります:
torrc
では、RunAsDaemon
はデフォルトどおりに0
に設定してください。tor.service
の[Service]
セクションでType=simple
が設定されているためです。torrc
では、User
は設定しないでください。tor.service
の[Service]
セクションでUser=
がroot
に設定されているためです。
リレー設定
Tor から開くことができるファイル記述子の最大数は tor.service
の LimitNOFILE
で設定できます。リレーを高速化したいときはこの数値を上げて下さい。
あなたのコンピュータでウェブサーバーを実行していない場合、AccountingMax
を設定する必要はありません。ORPort
を 443
にしたり DirPort
を 80
にすると良いでしょう。多くの Tor ユーザーはファイアウォールによって足止めされており、ウェブブラウズしかできないようになっていますが、この変更によってあなたの Tor リレーに到達できるようになります。既にポート 80 と 443 を使っている場合、他のポートとしては 22, 110, 143 などが候補に挙げられています [1]。ただしこれらは特権が与えられたポートなので、tor.service
の User=root
と torrc
の User tor
を設定して、Tor を root で起動する必要があります。
詳しくは Tor ドキュメントの Lifecycle of a New Relay を読むことを推奨します。
Tor を Chroot で実行する
セキュリティを高めるために、chroot で Tor を実行するのが望ましい場合があります。以下のスクリプトは /opt/torchroot
に適切な chroot を作成します:
~/torchroot-setup.sh
#!/bin/bash export TORCHROOT=/opt/torchroot mkdir -p $TORCHROOT mkdir -p $TORCHROOT/etc/tor mkdir -p $TORCHROOT/dev mkdir -p $TORCHROOT/usr/bin mkdir -p $TORCHROOT/usr/lib mkdir -p $TORCHROOT/usr/share/tor mkdir -p $TORCHROOT/var/lib ln -s /usr/lib $TORCHROOT/lib cp /etc/hosts $TORCHROOT/etc/ cp /etc/host.conf $TORCHROOT/etc/ cp /etc/localtime $TORCHROOT/etc/ cp /etc/nsswitch.conf $TORCHROOT/etc/ cp /etc/resolv.conf $TORCHROOT/etc/ cp /etc/tor/torrc $TORCHROOT/etc/tor/ cp /usr/bin/tor $TORCHROOT/usr/bin/ cp /usr/share/tor/geoip* $TORCHROOT/usr/share/tor/ cp /lib/libnss* /lib/libnsl* /lib/ld-linux-*.so* /lib/libresolv* /lib/libgcc_s.so* $TORCHROOT/usr/lib/ cp $(ldd /usr/bin/tor | awk '{print }'|grep --color=never "^/") $TORCHROOT/usr/lib/ cp -r /var/lib/tor $TORCHROOT/var/lib/ chown -R tor:tor $TORCHROOT/var/lib/tor sh -c "grep --color=never ^tor /etc/passwd > $TORCHROOT/etc/passwd" sh -c "grep --color=never ^tor /etc/group > $TORCHROOT/etc/group" mknod -m 644 $TORCHROOT/dev/random c 1 8 mknod -m 644 $TORCHROOT/dev/urandom c 1 9 mknod -m 666 $TORCHROOT/dev/null c 1 3 if [[ "$(uname -m)" == "x86_64" ]]; then cp /usr/lib/ld-linux-x86-64.so* $TORCHROOT/usr/lib/. ln -sr /usr/lib64 $TORCHROOT/lib64 ln -s $TORCHROOT/usr/lib ${TORCHROOT}/usr/lib64 fi
このスクリプトを root で実行した後、次のコマンドで chroot に Tor を起動できます: # chroot --userspec=tor:tor /opt/torchroot /usr/bin/tor
使用方法
systemd を使って tor.service
を起動・有効にしてください。
もしくは、vidalia インターフェースからも tor を起動出来ます。
プログラムに Tor を通すには、SOCKS5 プロキシとして 127.0.0.1 か localhost をポート 9050 (tor の標準設定) 又は 9051 (vidalia の標準設定) で使うようにプログラムを設定してください。 Tor が正しく機能しているか確認するために Tor , Harvard , Xenobite.eu などのウェブサイトを開いてみましょう。
ウェブブラウズ
Tor プロジェクトは現在 tor を使ったウェブブラウズは Tor Browser Bundle だけサポートしています。このブラウザは AUR からダウンロード可能です (Tor Browser Bundle)。Firefox にパッチをあてたバージョンにサポートを拡張して作られています。普通の Firefox や Chromium など他のブラウザで Tor を使うこともできますが、Tor プロジェクトからは推奨されていません。
Firefox
設定 > 詳細 > ネットワークタブ > 接続設定 から SOCKS の localhost
ポート 9050
を使うように手動で Firefox を設定してください。そしてアドレスバーに about:config
と入力してください。network.proxy.socks_remote_dns
を true
に変更してブラウザを再起動してください。これで、全ての DNS リクエストは TOR の socks プロキシを通過するようになります。
Chromium
次のコマンドで chromium を起動してください:
$ chromium --proxy-server="socks://localhost:9050"
Firefox と同じように Proxy SwitchySharp を使うことで高速な切り替えをすることができます。
インストールしたら設定ページを開いて下さい。Proxy Profiles タブから新しいプロファイル Tor を追加します。Use the same proxy server for all protocols オプションのチェックが入っている場合はチェックを外してください。それから SOCKS ホストに localhost、ポートに 9050 を追加して SOCKS v5 を選択します。
任意で General タブからクイック切り替えを有効化することができ、Proxy SwitchySharp のアイコンを左クリックするだけで通常のブラウズと Tor ネットワークを切り替えることができるようになります。
Luakit
次を実行:
$ torify luakit
HTTP プロキシ
Tor は Polipo や Privoxy などの HTTP プロキシと一緒に使うことができますが、Tor の開発チームはブラウザが直接サポートしている SOCKS5 ライブラリを使うことを推奨しています。
Firefox
FoxyProxy アドオンを使うことで URL に合わせて複数のプロキシを指定したりすることができます。Firefox を再起動したら手動で Firefox を Polipo や Privoxy が動作しているポート 8118
の localhost
に設定してください。これらの設定は Add > Standard proxy type から設定できます。プロキシのラベル (例: Tor) を選択してポートとホストを HTTP Proxy と SSL Proxy フィールドに入力してください。Tor が正しく機能しているかどうかは Tor Check ウェブサイトを開くことで確認できます。
Polipo
Tor Project は Polipo の問題を回避して匿名性を上げるためにカスタマイズされた Polipo 設定ファイル を作成しています。
SOCKS 5 プロキシが使える場合、Tor は自動的にポート 9050 で起動するので、Polipo は必須ではないことを覚えておいて下さい。Tor で Chromium を使いたい場合、Polipo パッケージは必要ありません (参照: #Chromium)。
Privoxy
メッセンジャーなど (例: Jabber, IRC) 他のアプリケーションでセットアップを使うこともできます。アプリケーションが HTTP プロキシをサポートしていれば Privoxy に接続することができます (127.0.0.1:8118
)。直接 SOCKS プロキシを使うには、アプリケーションから Tor を指定します (127.0.0.1:9050
)。この方法の問題はアプリケーションが DNS 解決を独自に行うような場合、情報が漏洩する可能性があるということです。代わりに (Privoxy なおで) Socks4A を使用してください。
インスタントメッセージ
IM クライアントで tor を使う場合、polipo/privoxy などの http プロキシは必要ありません。デフォルトでポート 9050 を listen する tor のデーモンを直接使用します。
Pidgin
You can set up Pidgin to use Tor globally, or per account. To use Tor globally, go to Tools -> Preferences -> Proxy. To use Tor for specific accounts, go to Accounts > Manage Accounts, select the desired account, click Modify, then go to the Proxy tab. The proxy settings are as follows:
Proxy type SOCKS5 Host 127.0.0.1 Port 9150
Note that some time in 2013 the Port has changed from 9050 to 9150 if you use the Tor Browser Bundle. Try the other value if you receive a "Connection refused" message.
Irssi
Freenode は .onion
に直接接続することを推奨しています。接続時に nickserv で認証するには charybdis と ircd-seven の SASL が必要です。Irssi#SASL で認証 を参照してください。irssi を起動:
$ torsocks irssi
Set your identification to nickserv, which will be read when connecting. Supported mechanisms are ECDSA-NIST256P-CHALLENGE (see ecdsatool) and PLAIN. DH-BLOWFISH is no longer supported.
/sasl set network username password mechanism
Disable CTCP and DCC and set a different hostname to prevent information disclosure: [2]
/ignore * CTCPS /ignore * DCC /set hostname fake_host
Freenode に接続:
/connect -network network frxleqtzgvwkv7oz.onion
詳しくは Accessing freenode Via Tor, SASL README, IRC/SILC Wiki article を見て下さい。
Pacman
Pacman のダウンロード操作 (リポジトリ DB, パッケージ, パブリックキー) を Tor ネットワークを通して行うことが可能です。やや大げさですが、もしあなたに (LAN やミラーなどに) 敵がいる場合、インストールしたパッケージが何なのか知られることがなくなります。ただし遅延がひどくなり、スループットが遅くなり、気づかれる可能性があり、(現在の接続で Tor がフィルタリングされている場合) インストールができない可能性があります。
/etc/pacman.conf
... XferCommand = /usr/bin/curl --socks5-hostname localhost:9050 -C - -f %u > %o ...
SOCKS プロキシを別のPCから使う
以下を追加してください。
/etc/tor/torrc
... SOCKSPort local_ip_address:9050 ...
local_ip_addressは ip a
コマンドなどで確認できるローカルIPを設定してください。
iptables -A INPUT -p tcp --dport 9050 -j ACCEPT
のようにiptablesでパケットを通過するよう設定してください。
Tor サーバーを実行する
Tor ネットワークは人々が提供する帯域に頼っています。ネットワークに貢献する方法は複数あります。
Tor ブリッジの実行
Tor ブリッジは Tor のパブリックディレクトリに記載されない Tor リレーです。政府や ISP によって Tor のパブリックリレーが全てブロックされたときでも Tor ネットワークに接続することを可能にします。
設定
https://www.torproject.org/docs/bridges によれば、torrc に以下の4行を設定してください:
SocksPort 0 ORPort 443 BridgeRelay 1 Exitpolicy reject *:*
トラブルシューティング
If you get "Could not bind to 0.0.0.0:443: Permission denied" errors on startup, you'll need to pick a higher ORPort (e.g. 8080), or perhaps forward the port in your router.
Tor リレーの実行
あなたのマシンを (リレーのオンライン時間によって) エントリーノードや転送リレーとして動作させます。ブリッジリレーとは違って、Tor のパブリックディレクトリに記載されます。誰でも Tor のディレクトリからあなたの IP アドレスを見ることができるようになりますが、このリレーは他のリレーや Tor 出口ノードに転送するだけで、インターネットに直接転送することはありません。
設定
最低でも 20KiB/s は共有してください:
Nickname tornickname ORPort 9001 BandwidthRate 20 KB # Throttle traffic to 20KB/s BandwidthBurst 50 KB # But allow bursts up to 50KB/s
リレーからの退出を拒否する:
ExitPolicy reject *:*
Tor 出口ノードの実行
Any requests from a Tor user to the regular internet obviously need to exit the network somewhere, and exit nodes provide this vital service. To the accessed host, the request will appear as having originated from your machine. This means that running an exit node is generally considered more legally onerous than running other forms of Tor relays. Before becoming an exit relay, you may want to read Tips for Running an Exit Node With Minimal Harrasment.
設定
torrc を使うことで、出口ノードを通過できるサービスを設定することができます。
全てのトラフィックを許可:
ExitPolicy accept *:*
irc ポート 6660-6667 だけがノードから退出することを許可する:
ExitPolicy accept *:6660-6667,reject *:* # Allow irc ports but no more
デフォルトでは、Tor は特定のポートをブロックします。torrc を使うことで上書きすることが可能です:
ExitPolicy accept *:119 # Accept nntp as well as default exit policy
TorDNS
Tor 0.2.x シリーズには DNS フォワーダが組み込まれています。有効化するには、以下の行を Tor の設定ファイルに追加してデーモンを再起動してください:
/etc/tor/torrc
DNSPort 9053 AutomapHostsOnResolve 1 AutomapHostsSuffixes .exit,.onion
This will allow Tor to accept DNS requests (listening on port 9053 in this example) like a regular DNS server, and resolve the domain via the Tor network. A downside is that it's only able to resolve DNS queries for A-records; MX and NS queries are never answered. For more information see this Debian-based introduction.
DNS queries can also be performed through a command line interface by using tor-resolve
. For example:
$ tor-resolve archlinux.org 66.211.214.131
全ての DNS クエリで TorDNS を使う
It is possible to configure your system, if so desired, to use TorDNS for all queries your system makes, regardless of whether or not you eventually use Tor to connect to your final destination. To do this, configure your system to use 127.0.0.1 as its DNS server and edit the 'DNSPort' line in /etc/tor/torrc
to show:
DNSPort 53
Alternatively, you can use a local caching DNS server, such as dnsmasq or pdnsd, which will also compensate for TorDNS being a little slower than traditional DNS servers. The following instructions will show how to set up dnsmasq for this purpose.
Change the tor setting to listen for the DNS request in port 9053 and install dnsmasq.
Modify its configuration file so that it contains:
/etc/dnsmasq.conf
no-resolv server=127.0.0.1#9053 listen-address=127.0.0.1
These configurations set dnsmasq to listen only for requests from the local computer, and to use TorDNS at its sole upstream provider. It is now neccessary to edit /etc/resolv.conf
so that your system will query only the dnsmasq server.
/etc/resolv.conf
nameserver 127.0.0.1
Start the dnsmasq daemon.
Finally if you use dhcpd you would need to change its settings to that it does not alter the resolv configuration file. Just add this line in the configuration file:
/etc/dhcpcd.conf
nohook resolv.conf
If you already have an nohook line, just add resolv.conf separated with a comma.
Torify
torify を利用すると、アプリケーションの設定を変更することなく、Tor ネットワークを介してアプリケーションを使うことができるようになります。man ページより:
torify is a simple wrapper that attempts to find the best underlying Tor wrapper available on a system. It calls torsocks with a tor specific configuration file.
使用例:
$ torify elinks checkip.dyndns.org $ torify wget -qO- https://check.torproject.org/ | grep -i congratulations
Torify will not, however, perform DNS lookups through the Tor network. A workaround is to use it in conjunction with tor-resolve
(described above). In this case, the procedure for the first of the above examples would look like this:
$ tor-resolve checkip.dyndns.org
208.78.69.70
$ torify elinks 208.78.69.70
トラブルシューティング
Problem with user value
tor デーモンが起動しない場合、root で次のコマンドを実行してください (もしくは sudo を使用):
# tor
以下のエラーが表示される場合:
May 23 00:27:24.624 [warn] Error setting groups to gid 43: "Operation not permitted". May 23 00:27:24.624 [warn] If you set the "User" option, you must start Tor as root. May 23 00:27:24.624 [warn] Failed to parse/validate config: Problem with User value. See logs for details. May 23 00:27:24.624 [err] Reading config failed--see warnings above.
Then it means that the problem is with the User value, which likely means that one or more files or directories in your /var/lib/tor
directory is not owned by tor. This can be determined by using the following find command:
find /var/lib/tor/ ! -user tor
Any files or directories listed in the output from this command needs to have its ownership changed. This can be done individually for each file like so:
chown tor:tor /var/lib/tor/filename
Or to change everything listed by the above find example, modify the command to this:
find /var/lib/tor/ ! -user tor -exec chown tor:tor {} \;
Tor should now start up correctly.
Still if you cannot start the tor service, run the service using root (this will switch back to the tor user). To do this, change the user name in the /etc/tor/torrc
file:
User tor
Now modify the systemd's tor service file /usr/lib/systemd/system/tor.service
as follows
[Service] User=root Group=root Type=simple
The process will be run as tor user. For this purpose change user and group ID to tor and also make it writable:
# chown -R tor:tor /var/lib/tor/ # chmod -R 755 /var/lib/tor
Now save changes and run the daemon:
# systemctl --system daemon-reload # systemctl start tor.service