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* 古いインストールメディアを使っている場合、ミラーリストが古くなっているかもしれません。そのために Arch Linux のアップデート時に問題を引き起こす可能性があります。({{Bug|22510}} を参照)。上で述べたようにして最新のミラー情報を入手するべきです。}} |
* 古いインストールメディアを使っている場合、ミラーリストが古くなっているかもしれません。そのために Arch Linux のアップデート時に問題を引き起こす可能性があります。({{Bug|22510}} を参照)。上で述べたようにして最新のミラー情報を入手するべきです。}} |
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2015年4月22日 (水) 22:36時点における版
この文章では Arch Install Scripts を使って Arch Linux をインストールする方法を解説します。インストールする前に、FAQ を一読することをおすすめします。
コミュニティによって管理されている ArchWiki は有用な資料であり、問題が発生したらまず wiki を読んでみましょう。wiki で答えが見つからないときは、IRC チャンネル (irc://irc.freenode.net/#archlinux) やフォーラムを使って下さい。また、Arch Way に従って、知らないコマンドの man
ページを見るようにしましょう。man コマンド
で見ることができます。
目次
- 1 動作環境
- 2 最新のインストールメディアを準備する
- 3 インストールメディアの起動
- 4 言語の選択
- 5 インターネット接続の確立
- 6 ドライブの準備
- 7 ミラーの選択
- 8 ベースシステムのインストール
- 9 fstab の生成
- 10 Chroot とベースシステムの設定
- 11 パーティションのアンマウントと再起動
- 12 インストールのその先
動作環境
Arch Linux は i686 互換の、最低 64MB の RAM を積んだマシンで動作します。また、基本的なインストールに必要な base グループに含まれる全てのパッケージをインストールするには約 800MB のディスク容量が必要です。使える容量が少ない場合、この数値をかなり切り詰めることが可能ですが、どうやるかは調べる必要があります。
最新のインストールメディアを準備する
最新の Arch の公式インストールメディアはダウンロードページから入手できます。ひとつの ISO で32ビットと64ビット両方のアーキテクチャをサポートしています。出来るだけ一番新しい ISO を使って下さい。
USB と光学ドライブ
光学ディスクドライブ#焼き込み (CD/DVD) や USB インストールメディア (USB) を見て下さい。
ネットワーク経由でのインストール
PXE の記事を参照してください。
既存の Linux 環境からインストール
既存の Linux からインストールを見て下さい。VNC や SSH を使って Arch をリモートでインストールするときに特に便利です。SSH からインストールも参照。
仮想マシンへのインストール
現在使用しているオペレーティングシステムを残したまま、仮想マシン上でインストール手順を実行することで、ストレージのパーティションを行う必要なく Arch Linux に慣れることができます。また、ブラウザでこのビギナーズガイドを開いたままインストールが可能です。独立した Arch Linux システムを使用できるということは、テストを行いたいという一部のユーザーにとって有益なことでしょう。
仮想化ソフトウェアの例としては、VirtualBox, VMware, QEMU, Xen, Parallels があります。
仮想マシンを準備するための正確な手順は、ソフトウェアによって異なりますが、一般的に次の手順に従います:
- オペレーティングシステムのホストにて、仮想ディスクイメージを作成します。
- 仮想マシンの設定を最適化します。
- 仮想 CD ドライブでダウンロードした ISO イメージを起動します。
- インストールメディアの起動に進みます。
次の記事が役に立つかもしれません:
- VirtualBox のゲスト OS として Arch Linux をインストール
- Arch Linux as VirtualBox guest on a physical drive
- VMware のゲストとして Arch Linux をインストール
- 既存のインストール環境を仮想マシンから移動
インストールメディアの起動
最初に、あなたのコンピュータの BIOS セットアップで起動順序を変更する必要があるかもしれません。それには、POST (Power On Self-Test) の間にキー (多くの場合 Delete
、F1
、F2
、F11
や F12
) を押します。これで BIOS の設定画面が表示されるので、ここでシステムが起動するデバイスを探す順番を設定できます。"Save & Exit" (もしくはそれに準ずるもの) を選択すればコンピュータは通常通り起動するはずです。
Arch のメニューが表示されたら、インストールを行うライブ環境を開始するために "Boot Arch Linux" をメニューから選択し、 Enter
キーを押します (UEFI ブートディスクから起動された場合は、オプションは次のように表示されます: "Arch Linux archiso x86_64 UEFI")。
UEFI モードでブートしているかどうかのテスト
UEFI マザーボードを使用していて、UEFI ブートモードが有効になっている (そしてそれが BIOS/Legacy モードよりも優先されている) 場合、CD/USB のインストールメディアは自動で Gummiboot を使って Arch Linux カーネルを起動します。そして以下のメニューが表示されます (黒地に白字)、最初のアイテムがハイライトされます:
Arch Linux archiso x86_64 UEFI USB UEFI Shell x86_64 v1 UEFI Shell x86_64 v2 EFI Default Loader
起動時のメニューを覚えていない場合、または UEFI モードで起動しているのか確認したい場合は、次を実行:
# efivar -l
efivar が UEFI 変数を正しく表示したら、UEFI モードで起動されています。表示されない場合は Unified Extensible Firmware Interface#UEFI 変数のサポートを正しく動作させるための必要条件 に記載されている全ての要件が満たされているか確認してください。
起動時の問題のトラブルシューティング
- Intel のビデオチップセットを使用していて、ブート中にブランクスクリーン (画面が黒くなる) になった場合、おそらく Kernel Mode Setting (KMS) に問題があります。回避策は、パソコンを再起動し、起動しようとしている項目 (i686 または x86_64) の上で、
Tab
キーを押します。末尾にnomodeset
を追加し、Enter
キーを押します。またはvideo=SVIDEO-1:d
(KMS は無効にされません) を設定します。もしくは、i915.modeset=0
を試して下さい。詳細は Intel ページを参照してください。
- ブランクスクリーンにならず、カーネルのロード中に固まる場合は、
Tab
キーをメニューの項目上で押し、末尾にacpi=off
を追加し、Enter
キーを押します。
言語の選択
シェルプロンプトが表示され、root として自動的にログインが行われます。シェルは Zsh です。高度なタブ補完など、grml の設定 の機能が使用できます。テキストファイルを編集する時は、コンソールエディタの nano を例として使います。使い方をよく知らない場合は、nano#nano の使用方法 を見て下さい。Windows とのデュアルブートをする(もしくはそうすることを計画している)場合、Windows と Arch のデュアルブートを見て下さい。
標準で、キーボードのレイアウトは us
に設定されています。もし、US キーボード以外のレイアウトを使用している場合は、
# loadkeys レイアウト名
で変更できます。レイアウト名の部分は jp106
、fr
、uk
、be-latin1
などに置き換えます。ここから一般的なレイアウトのリストを見ることができます。利用可能なキーマップを表示するには localectl list-keymaps
コマンドを使って下さい。
フォントも変える必要があるかもしれません。ほとんどの言語はアルファベットの26字よりも多くの文字を使っているからです。さもなければ文字が□(豆腐)になったり全く異なって表示されることがあります。フォントの名前は大文字・小文字を区別するので、正確に入力してください:
# setfont lat9w-16
標準では、言語は英語 (US) に設定されています。インストール中の言語を変更したい場合 (例: 日本語)、/etc/locale.gen
内のあなたの設定したいロケールの行と、英語 (US) の行から行頭の #
を削除します。UTF-8
を選択してください。
シンプルな Nano エディタで編集するには、nano /etc/locale.gen
と入力してください。Ctrl+X
で終了し、変更を保存するか聞かれたら Y
と、 Enter
を押せば同じファイル名で上書き保存します。
# nano /etc/locale.gen
en_US.UTF-8 UTF-8 ja_JP.UTF-8 UTF-8
# locale-gen # export LANG=ja_JP.UTF-8
インターネット接続の確立
dhcpcd
ネットワークデーモンはブート時に自動で起動して、可能であれば有線での接続を試みます。接続できているかウェブサイトに ping をして確かめて下さい。例えば Google のサーバーに ping します:
# ping -c 3 www.google.com
PING www.l.google.com (74.125.132.105) 56(84) bytes of data. 64 bytes from wb-in-f105.1e100.net (74.125.132.105): icmp_req=1 ttl=50 time=17.0 ms 64 bytes from wb-in-f105.1e100.net (74.125.132.105): icmp_req=2 ttl=50 time=18.2 ms 64 bytes from wb-in-f105.1e100.net (74.125.132.105): icmp_req=3 ttl=50 time=16.6 ms --- www.l.google.com ping statistics --- 3 packets transmitted, 3 received, 0% packet loss, time 2003ms rtt min/avg/max/mdev = 16.660/17.320/18.254/0.678 ms
ping: unknown host
のエラーが出た場合は下に記述されている方法を試して手動で接続をセットアップする必要があります。ネットワークへの接続が問題ないようでしたら、ドライブの準備へ進んでください。
有線
固定 IP アドレスを使用して有線の接続をセットアップする場合は次の手順に従ってください。
あなたのイーサネットインターフェースの名前を確かめて下さい:
# ip link
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN mode DEFAULT link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00 2: enp2s0f0: <BROADCAST,MULTICAST> mtu 1500 qdisc noop state DOWN mode DEFAULT qlen 1000 link/ether 00:11:25:31:69:20 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff 3: wlp3s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc mq state UP mode DORMANT qlen 1000 link/ether 01:02:03:04:05:06 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
上記の例の場合、イーサネットインターフェースは enp2s0f0
です。よくわからない場合、あなたのイーサネットインターフェースはおそらく "e" から始まっているインターフェイスです。"w" で始まっているものや "lo" ではないということです。
ネットワーク設定#固定 IP アドレスを見て必要な設定を確認してください。/etc/dhcpcd.conf
に以下のような設定を使って、dhcpcd の static プロファイルを設定します:
interface enp2s0f0 static ip_address=192.168.0.10/24 static routers=192.168.0.1 static domain_name_servers=192.168.0.1 8.8.8.8
dhcpcd.service
を再起動してください:
# systemctl restart dhcpcd.service
これでネットワークに接続されるはずです。されない場合は、ネットワーク設定のページを見て下さい。
無線
netctl の wifi-menu
を使いネットワークに接続します:
# wifi-menu
コンピュータに接続されている Wi-Fi デバイスが一つしかない (ノートパソコンなど) 場合は wifi ネットワークのメニューが表示されます。
コンピュータに複数の Wi-Fi デバイスが存在するときは、そのどれか一つを選択して wifi-menu にインターフェイスの名前を指定する必要があります。まず、インターフェイスの名前を確かめて下さい:
# iw dev
phy#0 Interface wlp3s0 ifindex 3 wdev 0x1 addr 00:11:22:33:44:55 type managed
上の例では、wlp3s0
が有効なワイヤレスインターフェースです。どれかわからないときは、おそらく "w" から始まるのがあなたのワイヤレスインターフェースです。"lo" や "e" から始まるインターフェースは違います。
インターフェイスの名前がわかったら、インターフェイスの名前を指定して wifi-menu を起動します:
# wifi-menu wlp3s0
ユーザー名やパスワードの設定を必要とするネットワークを使う場合は WPA2 Enterprise#netctl にあるサンプル設定を見て下さい。
これでネットワークは有効になるはずです。接続されないときは、下の wifi-menu を使わない方法や、詳しい説明が載っているワイヤレス設定を見て下さい。
インターフェースを立ち上げます:
# ip link set wlp3s0 up
インターフェイスが立ち上がっているか確認するには、次のコマンドの出力を見て下さい:
# ip link show wlp3s0
3: wlp3s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc mq state DOWN mode DORMANT group default qlen 1000 link/ether 00:11:22:33:44:55 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
<BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP>
の中にある UP
がインターフェイスが立ち上がっている印です。後ろの state DOWN
は違います。
ほとんどのワイヤレスチップセットには、対応するドライバに加えて、ファームウェアが必要です。カーネルが自動で検知してロードを試みます。SIOCSIFFLAGS: No such file or directory
のようなエラーが出た場合、ファームウェアを手動でロードする必要があることを意味しています。必要なファームウェアがわからないときは、dmesg
を使いカーネルログからワイヤレスチップセットのファームウェア要求をさがします。例えば、カーネルの起動時に Intel チップセットが出力するファームウェア要求の例:
# dmesg | grep firmware
firmware: requesting iwlwifi-5000-1.ucode
なにも表示されないなら、あなたのワイヤレスチップセットにはファームウェアが要らないと判断できます。
iw dev wlp3s0 scan | grep SSID
を使って利用可能なネットワークをスキャンして、それからネットワークに接続してください:
# wpa_supplicant -B -i wlp3s0 -c <(wpa_passphrase "ssid" "psk")
ssid はネットワークの名前に (例: "Linksys etc...")、psk はパスワードに置き換える必要があります (ネットワークの名前とパスワードを囲っているダブルクォートは消さないで下さい, 例: ネットワークのパスワードが dog の場合、"dog" と入力)。
最後に、インターフェースに IP アドレスを与える必要があります。手動で設定するか dhcp を使ってこれを行なって下さい:
# dhcpcd wlp3s0
上のコマンドでうまくいかない場合、以下のコマンドを実行してください:
# echo 'ctrl_interface=DIR=/run/wpa_supplicant' > /etc/wpa_supplicant.conf # wpa_passphrase <ssid> <passphrase> >> /etc/wpa_supplicant.conf # ip link set <interface> up # May not be needed, but does no harm in any case # wpa_supplicant -B -D nl80211 -c /etc/wpa_supplicant.conf -i <interface name> # dhcpcd -A <interface name>
アナログモデム, ISDN, PPPoE DSL
xDSL・ダイアルアップ・ISDN接続については、直接モデム接続を見て下さい。
プロクシサーバを使う
プロクシサーバを使うには、http_proxy
, ftp_proxy
環境変数を設定しなくてはなりません。詳しい情報はプロクシ設定を見て下さい。
ドライブの準備
このステップでは、新しいシステムをインストールするためにストレージデバイスの準備を行います。詳しい情報はパーティショニングを見て下さい。
デバイスの確認
まず新しいシステムをインストールするデバイスを確認します。次のコマンドを実行すると全てのデバイスが表示されます:
# lsblk
このコマンドはシステムに接続されたデバイスとパーティションを表示しますが、Arch インストールメディアを起動するのに使われているデバイスも含まれています。したがって、どのデバイスでもインストールが行えるというわけではありません。不必要なデバイスを表示しないようにするには、以下のようにコマンドを実行します:
# lsblk | grep -v "rom\|loop\|airoot"
デバイス (ハードディスク) は sdx
と示されます。x
は a
から始まる小文字のアルファベットで、一番目のデバイスは sda
、二番目のデバイスは sdb
と割り当てられます。既存のパーティションは sdxY
と示され、Y
は 1
から始まる数字です。一番目のパーティションは 1
、二番目のパーティションは 2
と続きます。下の例では、一つのデバイスが存在し (sda
)、一つのパーティションが使われています (sda1
):
NAME MAJ:MIN RM SIZE RO TYPE MOUNTPOINT sda 8:0 0 80G 0 disk └─sda1 8:1 0 80G 0 part
パーティションテーブル、パーティション、ファイルシステムでは sdxY
という名前を例として使います。あくまでこの名前は例なので、実際にコマンドを実行したりするときは、デバイスの名前とパーティションの番号を変える必要があります。コマンドをコピーしてそのまま貼り付けても動作しません。
パーティションをそのまま変更しない場合は、ファイルシステムの作成まで進んでください。パーティショニングを行う場合は、次のセクションを読んで下さい。
パーティションテーブルのタイプの選択
既に何らかの OS がインストールされているところに Arch をインストールする場合、既存のパーティションテーブルを使用します。デバイスがパーティショニングされてなかったり、現在のパーティションテーブルを変更する必要があるときは、まず使用されているパーティションテーブルを確認しなくてはなりません。
パーティションテーブルには2種類あります:
既存のパーティションテーブルは、次のコマンドを実行することで確認できます:
# parted /dev/sdx print
パーティショニングツール
デバイスをパーティショニングするには、使用されるパーティションテーブルにあわせて適切なツールを選ぶ必要があります。Arch のインストールメディアには複数のパーティショニングツールが入っています:
インタラクティブモードの parted を使用する
以下で示す例では BIOS/MBR と UEFI/GPT の両方で用いることができる parted を使っています。parted はインタラクティブモードで起動して、指定したデバイスに全てのパーティショニングコマンドを自動的に適用することで、不必要な繰り返しを避けます。
デバイスの操作を開始するには、次を実行:
# parted /dev/sdx
コマンドラインプロンプトがハッシュ (#
) から (parted)
に変わります。
利用できるコマンドのリストを表示するには、次を入力:
(parted) help
パーティションの操作が完了した場合は、次のコマンドで parted を終了します:
(parted) quit
終了後、コマンドラインプロンプトは #
に戻ります。
新しいパーティションテーブルの作成
パーティションテーブルのタイプを変更したい場合や、デバイスがまだパーティションされていない場合、パーティションテーブルの(再)作成が必要です。デバイスのパーティションテーブルの再作成はパーティションスキームを最初からやり直したい場合にも有用です。
パーティションテーブルを(再)作成するデバイスを次のコマンドで開いてください:
# parted /dev/sdx
そして BIOS 環境の場合、MBR/msdos パーティションテーブルを新しく作成するために、次のコマンドを実行します:
(parted) mklabel msdos
UEFI 環境で GPT パーティションテーブルを新しく作成するには、次のコマンドを使います:
(parted) mklabel gpt
パーティションスキーム
ディスクをいくつのパーティションに分けるか決めて、それぞれのパーティションにシステム上のディレクトリを割り振ることができます。パーティションからディレクトリへのマッピング (しばしば 'マウントポイント' と呼ばれます) がパーティションスキームになります。パーティションスキームは以下の要件を満たさなければなりません:
- 少なくとも
/
(root) ディレクトリのパーティションは必ず作成する必要があります。 - マザーボードのファームウェアインターフェイスや、選択したパーティションテーブルのタイプによって、また、時には選択したブートローダーにあわせて、以下のパーティションを追加で作成する必要が出てきます:
- BIOS/MBR: 追加のパーティションは必要ありません。
- BIOS/GPT:
- Syslinux を使用する場合: 追加のパーティションは必要ありません。
- GRUB を使用する場合: タイプが
EF02
で容量が 1MiB または 2MiB の BIOS Boot Partition。
- UEFI/GPT: EFI System Partition。
- UEFI/MBR: EFI System Partition。
以下の例では、新しい、連続するパーティションスキームを1つのデバイスに適用します。任意の /boot
や /home
ディレクトリのパーティションも作成しています。それぞれのディレクトリの目的については Arch ファイルシステム階層を見て下さい。/boot
や /home
などのディレクトリのパーティションを別に作成しない場合、/
パーティションに含まれることになります。また、スワップ領域用のパーティションについても説明します。
parted のインタラクティブセッションをまだ開いてない場合は、パーティションするデバイスを指定して起動してください:
# parted /dev/sdx
次のコマンドを使用してパーティションを作成します:
(parted) mkpart part-type fs-type start end
part-type
はprimary
,extended
,logical
のうちどれか一つから選びます。MBR パーティションテーブルでのみ意味があります。fs-type
は マニュアル に記載されているサポートがあるファイルシステムの中から選びます。パーティションはファイルシステム作成でフォーマットします。start
はデバイスの先頭からのパーティションの開始位置です。単位 をつけた数値で指定し、例えば1M
なら 1MiB が開始位置になります。end
はデバイスの先頭からのパーティションの終末位置です (start
から計算するわけではありません)。start
と同じ構文を使うことができ、例えば100%
と指定するとデバイスの終端を意味します (残り領域全てを使う)。
/boot
ディレクトリを含むパーティションが起動できるようにフラグを立てるには次のコマンドを使います:
(parted) set partition boot on
partition
はフラグを立てるパーティションの番号に置き換えて下さい (print
コマンドの出力を参照しましょう)。
UEFI/GPT の例
どんなふうにパーティショニングするにせよ、特別な EFI System Partition が必要になります。
新しく EFI System Partition を作成する場合は、以下のコマンドを使って下さい (推奨される容量は 512MiB です):
(parted) mkpart ESP fat32 1M 513M (parted) set 1 boot on
あとのパーティションスキームはあなたが自由に決めて下さい。残りのスペースを全て使用する単一のパーティションを作るには:
(parted) mkpart primary ext3 513M 100%
/
(20GiB) と /home
(残り容量全てを使用) パーティションを作るには:
(parted) mkpart primary ext3 513M 20.5G (parted) mkpart primary ext3 20.5G 100%
/
(20GiB), スワップ (4Gib), /home
(残り容量全てを使用) パーティションを作成するには:
(parted) mkpart primary ext3 513M 20.5G (parted) mkpart primary linux-swap 20.5G 24.5G (parted) mkpart primary ext3 24.5G 100%
BIOS/MBR の例
ディスク容量を全て使用する単一のプライマリパーティションを作成するには、以下のコマンドを使用します:
(parted) mkpart primary ext3 1M 100% (parted) set 1 boot on
以下の例では、20Gib の /
パーティションを作成してから、残り容量を全て使用する /home
パーティションを作成します:
(parted) mkpart primary ext3 1M 20G (parted) set 1 boot on (parted) mkpart primary ext3 20G 100%
以下の例では /boot
(100MiB), /
(20Gib), スワップ (4GiB), /home
(残り容量全てを使用) パーティションを作成します:
(parted) mkpart primary ext3 1M 100M (parted) set 1 boot on (parted) mkpart primary ext3 100M 20G (parted) mkpart primary linux-swap 20G 24G (parted) mkpart primary ext3 24G 100%
ファイルシステムの作成
パーティショニングはまだ終わっていません。パーティションにはファイルシステムが必要です(ただしスワップパーティションには要りません)。インストール先のデバイスに存在するパーティションを確認するには次のコマンドを使用:
# lsblk /dev/sdx
下に書かれている注意点を除いて、基本的には ext4
ファイルシステムを使うことを推奨します:
# mkfs.ext4 /dev/sdxY
スワップの有効化
スワップパーティションを作成した場合は、以下のコマンドで有効化する必要があります:
# mkswap /dev/sdxY # swapon /dev/sdxY
パーティションのマウント
まず最初に /
(root) パーティションをマウントしてください。/boot
や /home
などのディレクトリは root ファイルシステムに作成する必要があるためです。ライブ環境の /mnt
ディレクトリを使用して root パーティションをマウントします。他のパーティションはそこをベースにします。root パーティションの名前が sdxR
なら、次のコマンドを実行:
# mount /dev/sdxR /mnt
/
パーティションをマウントしたら、他のパーティションをマウントすることができます。順番は気にしなくて結構です。手順としてはまずマウントポイントを作成し、それからパーティションをそのマウントポイントにマウントします。/boot
パーティションを作成していたのならば:
# mkdir -p /mnt/boot # mount /dev/sdxB /mnt/boot
/home
パーティションを使用する場合:
# mkdir -p /mnt/home # mount /dev/sdxH /mnt/home
全てのパーティションをマウントしたら、デバイスの準備は完了で Arch をインストールできます。
ミラーの選択
インストールの前に、mirrorlist
ファイルを編集し、あなたに相応しいミラーを一番上に置きましょう。このファイルのコピーが pacstrap
によってインストールされ、新しいシステム上でも選択したミラーが使われます。
# nano /etc/pacman.d/mirrorlist
## ## Arch Linux repository mirrorlist ## Sorted by mirror score from mirror status page ## Generated on YYYY-MM-DD ## Server = http://ftp.jaist.ac.jp/pub/Linux/ArchLinux/$repo/os/$arch ...
Alt+6
でServer
行をコピー。PageUp
キーで上にスクロール。Ctrl+U
でリストの一番上にペースト。Ctrl+X
で終了、保存するか聞かれたら、Y
を押しEnter
で上書き保存。
他のミラーを消去 (Ctrl+K
を使う) してミラーをひとつだけに絞ることもできますが、そのミラーがオフラインになったときのことを考え、ミラーを複数使用するほうが良いでしょう。
ベースシステムのインストール
pacstrap スクリプトを使ってベースシステムをインストールします。インストールするパッケージを選択せず、base の全てのパッケージをインストールするときは、-i
スイッチを省いて下さい。AUR や ABS でパッケージをビルドするときのために、base-devel グループも必要になります。
# pacstrap -i /mnt base base-devel
他のパッケージは後で pacman を使ってインストールできます。
fstab の生成
以下のコマンドで fstab ファイルを生成します。いくつか有利な点がある UUID が使われます (fstab#ファイルシステムの識別 を参照)。UUID ではなくラベルを使いたいときは、-U
オプションを -L
に置き換えましょう。
# genfstab -U -p /mnt >> /mnt/etc/fstab # nano /mnt/etc/fstab
最後のフィールドには起動時にチェックするパーティションの順番を設定します: (btrfs
以外では) root パーティションに 1
を使って下さい、最初にチェックされます。起動時にチェックしたい他のパーティションには 2
を使って下さい、0
はチェックされません (fstab#フィールドの定義 を参照)。btrfs のパーティションには全て 0
を使う必要があります。スワップパーティションも 0
に設定してください。
Chroot とベースシステムの設定
次に、chroot を使って新しくインストールされたシステムに入ります:
# arch-chroot /mnt /bin/bash
この段階では、Arch Linux ベースシステムの重要な設定ファイルを作ります。ファイルが存在していないときや、デフォルト設定を使いたくないときは、その都度ファイルを作成したり編集してください。
正確に、手順をよく踏まえてから設定してください。システムを正しく設定するのにとても重要なステップです。
ロケール
ロケールを設定することによって、glibc やその他のロケールを使うプログラムやライブラリで、テキストのレンダリング、正しい通貨単位の表示、時間と月日のフォーマット、アルファベットの特有表現、地域特有の単位の表示などができるようになります。
2つのファイルを編集する必要があります: 使用可能なロケールを記述する locale.gen
と実際に使用するロケールを定義する locale.conf
。
locale.gen
ファイルはデフォルトでは全てコメントアウト (#
で無効化) されています。en_US.UTF-8 UTF-8
の行と、必要なロケールをアンコメント (行の前の #
を削除) してください。選択肢がいくつかある場合 UTF-8
を推奨します。
# nano /etc/locale.gen
... #en_SG ISO-8859-1 en_US.UTF-8 UTF-8 #en_US ISO-8859-1 ... #ja_JP.EUC-JP EUC-JP ja_JP.UTF-8 UTF-8 #ka_GE.UTF-8 UTF-8 ...
ロケールは有効にする前に、生成する必要があります:
# locale-gen
locale.conf
ファイルはデフォルトで存在しません。ファイルを作成して、他の全ての変数のデフォルト値として扱われる LANG
のみ設定してください。LANG
変数に指定するロケールは /etc/locale.gen
でアンコメントされている必要があります:
# echo LANG=en_US.UTF-8 > /etc/locale.conf
ロケールを export してください:
# export LANG=en_US.UTF-8
コンソールフォントとキーマップ
言語の選択でデフォルトのキーマップとフォントを変更していた場合、再起動後もキーマップ設定が適用されるように、/etc/vconsole.conf
を編集 (ファイルがなかったら作成) してください:
# nano /etc/vconsole.conf
KEYMAP=jp106 FONT=lat9w-16
詳しくはコンソールフォントや man vconsole.conf
を参照。
以上の設定は仮想端末においてのみ適用されます。Xorg ではまた異なる設定をする必要があります。詳しくはフォント#コンソールフォントを見て下さい。
タイムゾーン
利用可能なタイムゾーンとサブゾーンは /usr/share/zoneinfo/ゾーン/サブゾーン
ディレクトリで見つかります。ls
コマンドでゾーンの一覧を表示できます。/etc/localtime
から適切なゾーンファイル /usr/share/zoneinfo/ゾーン/サブゾーン
へのシンボリックリンクを作って下さい:
# ln -s /usr/share/zoneinfo/ゾーン/サブゾーン /etc/localtime
例:
# ln -s /usr/share/zoneinfo/Asia/Tokyo /etc/localtime
ln: failed to create symbolic link '/etc/localtime': File exists
と表示される場合は、ls -l /etc/localtime
で既存のファイルを確認してから、ln コマンドに -f
オプションを追加して上書きしてください。
ハードウェアクロック
ハードウェアクロックモードを全ての OS で同じになるように設定します。さもないと、ハードウェアクロックが上書きされ時刻がずれてしまう可能性があります。hwclock コマンドは /etc/adjtime
ファイルを生成します。UTC に設定するには、次を実行:
# hwclock --systohc --utc
カーネルモジュール
必要なカーネルモジュールは基本的に udev によって自動ロードされるため、手動でモジュールをロードする必要があるのは稀です。詳しくはカーネルモジュールを見て下さい。
ホスト名
お好きな名前をホスト名に設定してください (例: arch):
# echo ホスト名 > /etc/hostname
同じホスト名を /etc/hosts
に追加します:
#<ip-address> <hostname.domain.org> <hostname> 127.0.0.1 localhost.localdomain localhost ホスト名 ::1 localhost.localdomain localhost ホスト名
ネットワークの設定
ネットワークの設定をもう一度行います。今回は新しくインストールされる環境のネットワーク設定です。上で説明したのと方法はほとんど同じですが、今回の設定では、設定が消えないように、ブート時に自動的に起動するように設定します。
まず最初に、ip link
で接続を設定するネットワークインターフェイスの名前を確認してください。
有線
動的 IP
- dhcpcd を使う
固定された有線ネットワーク接続が1つだけあるという環境の場合、ネットワーク管理サービスを使う必要はなく、単純に dhcpcd
サービスを有効にするだけで足ります:
# systemctl enable dhcpcd@インターフェイス名.service
- netctl を使う
/etc/netctl/examples
からサンプルプロファイルを /etc/netctl/
にコピーしてください:
# cd /etc/netctl # cp examples/ethernet-dhcp my_network
プロファイルを編集して下さい (Interface
を eth0
から ip link
を実行したときに確認したインターフェイス名に修正する):
# nano my_network
my_network
プロファイルを有効にしてください:
# netctl enable my_network
- netctl-ifplugd を使う
netctl の netctl-ifplugd
を使って動的に接続を管理することもできます。
まず ifplugd をインストールしてください、netctl-ifplugd
を使うために必要なパッケージです:
# pacman -S ifplugd
そしてサービスを有効にしてください:
# systemctl enable netctl-ifplugd@インターフェイス名.service
固定 IP
- netctl を使う
/etc/network.d/examples
から /etc/netctl
にサンプルプロファイルをコピーします:
# cd /etc/netctl # cp examples/ethernet-static my_network
必要に応じてプロファイルを編集 (Interface
, Address
, Gateway
, DNS
を修正):
# nano my_network
Address
の中の /24
は 255.255.255.0
ネットマスクの CIDR notation です。
そして作成したプロファイルを有効にしてください:
# netctl enable my_network
- systemd-networkd を使う
systemd-networkd を参照してください。
無線
ネットワークに接続するために iw と wpa_supplicant をインストールしてください:
# pacman -S iw wpa_supplicant
無線ネットワークの追加
- wifi-menu を使う
wifi-menu
に必要な dialog をインストールしてください:
# pacman -S dialog
このインストールと再起動が終わった後 wifi-menu インターフェイス名
(インターフェイス名
はあなたの無線インターフェースに置き換えてください) でネットワークに接続することができます。
# wifi-menu インターフェイス名
- 手動の netctl プロファイルを使う
ネットワークプロファイルを /etc/netctl/examples
から /etc/netctl
にコピーしてください:
# cd /etc/netctl # cp examples/wireless-wpa my_network
接続するネットワークにあわせてプロファイルを編集してください (Interface
, ESSID
, Key
を修正):
# nano my_network
作成したプロファイルがブート毎に実行されるよう有効にしてください:
# netctl enable my_network
既知のネットワークに自動で接続する
netctl-auto
に必要な wpa_actiond をインストールしてください:
# pacman -S wpa_actiond
netctl-auto
サービスを有効にすれば、既知のネットワークに接続しローミングや切断を管理します:
# systemctl enable netctl-auto@インターフェイス名.service
xDSL (PPPoE), アナログモデム, ISDN
xDSL、ダイアルアップ・ISDN 接続は、Direct Modem Connection を見て下さい。
Initial ramdisk 環境の作成
root が USB ドライブにあったり、RAID や LVM を使っていたり、/usr
が分割されたパーティション上にある場合は、ここで正しい hooks を設定しなくてはなりません。
必要に応じて /etc/mkinitcpio.conf
を編集し、initramfs イメージを再形成します:
# mkinitcpio -p linux
root パスワードの設定
root パスワードを設定します:
# passwd
ブートローダのインストールと設定
BIOS マザーボードの場合
BIOS システムでは、複数のブートローダが使えます。ブートローダの完全なリストはブートローダーにあります。あなたの都合に合わせてどれか一つを選んで下さい。よく使われるブートローダーは:
- Syslinux は現在 Syslinux がインストールされたパーティションのファイルのみをロードするように制限されています。設定ファイルはわかりやすいものになっています。設定サンプルは Syslinux の記事にあります。
- GRUB はより多くの機能を備えた複雑なブートローダです。設定ファイルはスクリプト言語 (sh) に似ていて、初心者が手動で設定するには難しいかもしれません。自動で設定を生成するのが推奨されます。
ここからは、GRUB と MBR の組み合わせでのインストールを説明します。grub パッケージをインストールしてから grub-install
を実行してブートローダをインストールしてください:
# pacman -S grub # grub-install --target=i386-pc --recheck /dev/sda
次に grub.cfg
を作ります。手動で作る方が細かい設定ができますが、初心者は自動で生成するのが推奨されています:
# grub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
GRUB の使用・設定の詳しい情報は、GRUB を参照。
UEFI マザーボードの場合
UEFI システムでも、複数のブートローダが使えます。利用できるブートローダの完全なリストはブートローダーにあります。あなたの都合にあわせて選んで下さい。ここでは、2つのブートローダを例として提示します:
- gummiboot は最小主義の UEFI ブートマネージャで、EFISTUB カーネルや他の UEFI アプリケーションのためのメニューを提供します。初心者、特に Windows 8 などの別のオペレーティングシステムとデュアルブートをしたいユーザーに推奨です。
- GRUB は完全なブートローダーで、gummiboot で問題が起きた時に役に立ちます。
ここからは gummiboot のインストールを説明します。まず、インストール後に EFI System Partition を操作するための dosfstools パッケージと、(ブートマネージャのインストールスクリプトで使われる) .efi
ブータブルスタブを作成するための efibootmgr をインストールしてください:
# pacman -S dosfstools efibootmgr
gummiboot パッケージをインストールして、gummiboot install
を実行してブートローダを EFI System Partition にインストールしてください ($esp
は EFI System Partiton の場所に置き換えて下さい、通常は /boot
です):
# pacman -S gummiboot # gummiboot --path=$esp install
Gummiboot はファームウェアによって自動で検出され、bootx64.efi
ブータブルスタブが $esp/EFI/boot
にあることを必要とします。そして .efi
スタブを使ってインストールされている別のオペレーティングシステムを自動で検出します。ただし、Gummiboot の設定ファイルは手動で作成する必要があります。
まず、$esp/loader/entries/arch.conf
を作成して以下を記述します、/dev/sdaX
は root パーティションに置き換えて下さい (例: /dev/sda2
):
# nano $esp/loader/entries/arch.conf
title Arch Linux linux /vmlinuz-linux initrd /initramfs-linux.img options root=/dev/sdaX rw
次に、$esp/loader/loader.conf
を作成して以下を記述します、timeout の値は自由に変更できます (秒数):
# nano $esp/loader/loader.conf
default arch timeout 5
Gummiboot の設定と使用方法の詳細は Gummiboot を見て下さい。
パーティションのアンマウントと再起動
chroot 環境を脱出します:
# exit
コンピュータを再起動:
# reboot
インストールのその先
あなたの新しい Arch Linux ベースシステムは今、あなたの目的や希望のために必要な全てを入れる準備ができた GNU/Linux になっています。ここからは一般的な推奨事項のページを見ることを推奨します。特に最初の2つのセクションは必読です。また、他のセクションには、グラフィカルユーザーインターフェイス (GUI) やサウンド、タッチパッドの設定などのチュートリアルが書かれたページヘのリンクが載っています。
あなたの興味を引くであろうアプリケーションの一覧は、アプリケーション一覧を参照。