「インストールガイド」の版間の差分

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[[Category:日本語]]
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[[Category:Arch の入手とインストール]]
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[[bg:Installation guide]]
[[Category:About Arch (日本語)]]
 
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[[cs:Installation guide]]
[[Category:Getting and installing Arch (日本語)]]
 
[[cs:Installation Guide]]
 
 
[[de:Arch Install Scripts]]
 
[[de:Arch Install Scripts]]
[[el:Installation Guide]]
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[[el:Installation guide]]
[[en:Installation Guide]]
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[[en:Installation guide]]
[[es:Installation Guide]]
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[[es:Installation guide]]
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[[fa:راهنمای تازه‌کاران]]
[[fr:Arch_install_scripts]]
 
[[it:Installation Guide]]
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[[fi:Installation guide]]
[[ko:Installation Guide]]
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[[fr:Installation guide]]
[[pl:Installation Guide]]
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[[it:Installation guide]]
[[pt:Installation Guide]]
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[[ko:Installation guide]]
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[[pl:Installation guide]]
[[ro:Ghid de instalare]]
 
[[ru:Installation Guide]]
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[[pt:Installation guide]]
[[uk:Installation Guide]]
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[[ru:Installation guide]]
[[zh-CN:Installation Guide]]
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[[sv:Installation guide]]
[[zh-TW:Installation Guide]]
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[[th:Installation guide]]
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[[tr:Installation guide]]
このドキュメントは、[https://github.com/falconindy/arch-install-scripts Arch Install Scripts] を使って [[Arch Linux (日本語)]] をインストールする過程を案内するものです。インストールの前に、[[FAQ (日本語)]] に目を通しておくことをお勧めします。初心者は [[Beginners' Guide (日本語)]] を見て下さい。
 
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[[uk:Installation guide]]
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[[zh-hans:Installation guide]]
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[[zh-hant:Installation guide]]
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このドキュメントは、公式のインストールイメージから作られたインストールメディアから起動したライブ環境を使って [[Arch Linux]] をインストールする過程を案内するものです。インストールメディアが提供するアクセシビリティ機能は [[アクセシビリティ機能を使って Arch Linux をインストール]] ページで説明されています。他のインストール方法については、[[:カテゴリ:Arch の入手とインストール]] を参照してください。
   
  +
インストールの前に、[[FAQ]] に目を通しておくことをお勧めします。使用されている用語については、[[ヘルプ:読み方]]を見てください。コードの例にはプレースホルダ ({{ic|''斜体''}} の文字) を含んでいる場合があり、手動で置き換える必要があります。
コミュニティによって管理されている [[Main Page (日本語)|Arch wiki]] には様々な情報が記載されており、問題が起こった時はまず wiki を参照してください。答えが見つけられない場合には、[[Wikipedia:IRC|IRC]] チャンネル (irc://irc.freenode.net/#archlinux) や、[https://bbs.archlinux.org/ フォーラム]を使って下さい。また、使い慣れていないコマンドは {{ic|man ''command''}} で man ページを参照しましょう。
 
   
  +
より詳しい情報は、対応する [[メインページ|Arch Wiki]] の記事や、プログラムの [[man ページ]] を見てください。両方ともこのガイドからリンクされています。対話的な助けが必要であれば、[https://slack.archlinux.jp/ Slack] や、[https://bbs.archlinux.jp/ フォーラム] を使うこともできます。
== ダウンロード ==
 
Arch Linux の ISO を [https://www.archlinux.org/download/ Arch Linux download page] からダウンロードしてください。
 
* ひとつのイメージで i686 と x86_64 両方の環境に対応しており、インターネットを介して Arch Linux をインストールします。現在 ISO には [core] レポジトリは含まれていません。
 
* インストールイメージは署名されています。ISO を使用する前に、署名の検証をすることを推奨します。Arch Linux からは、{{bc|pacman-key -v <iso-file>.sig}} で検証できます。
 
* イメージファイルは CD に焼いて、ISO ファイルとしてマウントするか、{{ic|dd}} のようなユーティリティを使用し USB スティックに直接書き込みます。新しいインストールの時だけに使われることが意図されています。既にインストール済みの Arch Linux は {{ic|pacman -Syu}} でいつでもアップデートできます。
 
   
  +
Arch Linux は 512 MiB 以上のメモリが搭載された [[wikipedia:ja:x64|x86_64]] 互換のマシンで動作します。ただし、インストールのためにライブシステムを起動するためにはより多くのメモリが必要です。[https://lists.archlinux.org/archives/list/arch-releng@lists.archlinux.org/message/D5HSGOFTPGYI6IZUEB3ZNAX4D3F3ID37/] 基本的なインストールで使用するディスク容量は 2 GiB 以下です。インストールする際はリモートリポジトリからパッケージを取得する必要があるため、このガイドはインターネットに接続できる環境を前提としています。
==インストール==
 
   
  +
==インストールの準備==
=== キーボードレイアウト ===
 
   
  +
=== インストールメディアの入手 ===
ほとんどの国のキーボードに対応したキーマップが利用できます。{{ic|loadkeys uk}} のようなコマンドであなたのキーボードが正しく動作するようになります。対応しているキーマップのファイルは {{ic|/usr/share/kbd/keymaps/}} で見ることができます (loadkeys を使うときはパスや拡張子を省略可能)。
 
   
  +
[https://archlinux.jp/download/ ダウンロード] ページを開いて、希望する起動方法に応じて ISO ファイルやネットブートイメージ、さらに対応する [[GnuPG]] 署名を入手してください。
=== パーティション ===
 
[[Partitioning (日本語)]] を参照して下さい。
 
   
  +
=== 署名の検証 ===
[[lvm|LVM]], [[Dm-crypt_with_LUKS|LUKS]], [[RAID|RAID]] などの環境では、スタック化されたブロックデバイスを忘れずに用意して下さい。
 
   
  +
イメージは使用する前に署名を検証することを推奨します。特に「HTTP ミラー」からイメージをダウンロードした場合、[https://www2.cs.arizona.edu/stork/packagemanagersecurity/attacks-on-package-managers.html 悪意のあるイメージ] に差し替えられる可能性があるため検証を行ってください。
=== パーティションのフォーマット ===
 
[[File Systems (日本語)#Step 2: 新しいファイルシステムを作る|ファイルシステム]]を参照して下さい。
 
   
  +
[[GnuPG]] がインストールされている場合、ISO イメージのあるディレクトリに ([https://archlinux.jp/download/#checksums ダウンロードページの中の "チェックサム" の下にある]) "PGP 署名" をダウンロードして、以下のコマンドを実行すれば[[GnuPG#署名の検証|検証]]できます:
(U)EFI を使うには、ほとんどの場合 UEFI System partition のためのパーティションが必要になります。[[Unified Extensible Firmware Interface (日本語)#Linux で UEFI システムパーティションを作る|Linux で UEFI システムパーティションを作る]]を参照。
 
   
  +
$ gpg --keyserver-options auto-key-retrieve --verify archlinux-''version''-x86_64.iso.sig
=== パーティションのマウント ===
 
{{ic|/mnt}} に root パーティションをマウントします。{{ic|genfstab}} によって他のパーティション ({{ic|/mnt/boot}}, {{ic|/mnt/home}}, ...) を検知させたいときには、ディレクトリを作ってマウントする必要があります。
 
   
  +
もしくは、既存の Arch Linux 環境から以下のコマンドを実行してください:
=== インターネットへの接続 ===
 
デバイスを利用するための DHCP サービスが既に有効になっています。固定 IP をセットアップしたり [[Netcfg (日本語)#設定|Netcfg]] のような接続ツールを使う必要があるときは、初めに、サービスを止める必要があります: {{ic|systemctl stop dhcpcd.service}}。詳しくは [[Network Configuration (日本語)]] を読んで下さい。
 
   
  +
$ pacman-key -v archlinux-''version''-x86_64.iso.sig
==== 無線 ====
 
{{ic|wifi-menu}} を起動しワイヤレスネットワークを設定します。詳細は、[[Wireless Setup (日本語)]] や [[Netcfg (日本語)#設定|Netcfg]] を見て下さい。
 
   
  +
{{Note|
=== ベースシステムのインストール ===
 
  +
* 上記の [https://www.archlinux.jp/download/ archlinux.jp] ではなくミラーサイトから署名をダウンロードした場合、署名も改変されている可能性があります。その場合、署名をデコードするのに使用する公開鍵が他の信用できる鍵によって署名されていることを確認してください。{{ic|gpg}} コマンドで公開鍵のフィンガープリントが出力されます。
インストールの前に、{{ic|/etc/pacman.d/mirrorlist}} を編集してミラーを選択することができます。設定したミラーリストが {{ic|pacstrap}} によってインストール時にコピーされます。
 
  +
* 署名を検証する他の方法として ISO ファイルに署名している [https://archlinux.org/people/developers/ Arch Linux の開発者] のフィンガープリントと公開鍵のフィンガープリントが一致していることを確認することでも検証できます。公開鍵認証について詳しくは [[Wikipedia:ja:公開鍵暗号]] を見てください。
  +
}}
   
  +
=== インストールメディアの準備 ===
[https://github.com/falconindy/arch-install-scripts/blob/master/pacstrap.in pacstrap] スクリプトを使って、ベースシステムをインストールします。[[Arch User Repository (日本語)|AUR]] からソフトウェアをコンパイルしたり [[ABS]] を使うつもりであれば、''base-devel'' パッケージグループもインストールするべきです。
 
 
# pacstrap /mnt base base-devel
 
   
  +
インストールメディアは対象のマシンに、[[USB インストールメディア|USB メモリ]]、[[光学ディスクドライブ#焼き込み|光ディスク]] やネットワーク経由の [[PXE]]により提供することができます。適切なページに従って、選択したイメージからインストールメディアを準備してください。
上のコマンドに名前を追加(スペースで区切る)すれば、ブートローダに含まれている他のパッケージも必要に応じてインストールできます。
 
   
=== ブートローダーインストール ===
+
=== ライ環境起動 ===
==== [[GRUB2|GRUB]] ====
 
   
  +
{{Note|Arch Linux インストールイメージはセキュアブートをサポートしません。インストールメディアから起動するには、[[セキュアブート#セキュアブートを無効化する|セキュアブートを無効化]] する必要があります。インストールが完了した後に [[セキュアブート]] をセットアップすることもできます。}}
* BIOS:
 
   
  +
# Arch インストールメディアが含まれているデバイスから起動するように指定してください。大抵の場合、起動時の [[w:Power-on self test|POST]] フェイズで起動画面に書かれたキーを押すことで指定できます。詳しくは使用しているマザーボードのマニュアルを見てください。
# arch-chroot /mnt pacman -S grub-bios
 
  +
# インストールメディアのブートローダーのメニューが表示されたら、''Arch Linux install medium'' を選択して {{ic|Enter}} を押すことでインストール環境が開きます。{{Tip|インストールイメージは UEFI での起動に [[GRUB]] を、BIOS での起動に [[syslinux]] を使います。[[カーネルパラメータ#設定|ブートパラメータ]]の一覧については [https://gitlab.archlinux.org/archlinux/mkinitcpio/mkinitcpio-archiso/blob/master/docs/README.bootparams README.bootparams] を参照してください。}}
  +
# 最初に[[Wikipedia:Virtual console|仮想コンソール]]に root ユーザーでログインされ、[[Zsh]] のシェルプロンプトが表示されます。
   
  +
{{ic|Alt+''arrow''}} [[キーボードショートカット|ショートカット]]を使用することでコンソールを切り替えることができます (例えば [https://lynx.invisible-island.net/lynx_help/Lynx_users_guide.html Lynx] でガイドを見ながら操作できます)。設定ファイルを[[ヘルプ:読み方#追加, 作成, 編集 そして source|編集]]するときは {{man|1|mcedit}}、[[nano#nano の使用方法|nano]]、[[vim#使用方法|vim]] が使えます。インストールメディアに含まれているパッケージの一覧は [https://geo.mirror.pkgbuild.com/iso/latest/arch/pkglist.x86_64.txt pkglist.x86_64.txt] を参照してください。
* EFI (代わりの {{ic|grub-efi-i386}} が必要になる稀なケースの場合):
 
   
  +
=== コンソールのキーボードレイアウト ===
# arch-chroot /mnt pacman -S grub-efi-x86_64
 
   
  +
デフォルトの[[コンソールでのキーボード設定|キーボードレイアウト]]は [[Wikipedia:File:KB United States-NoAltGr.svg|US]] キーボードです。利用可能なキーマップは以下のコマンドで確認できます:
* chroot (詳しくは[[#システムの設定]]) した後に GRUB をインストールします。
 
   
  +
# ls /usr/share/kbd/keymaps/**/*.map.gz
==== [[Syslinux|Syslinux]] ====
 
 
# arch-chroot /mnt pacman -S syslinux
 
   
  +
キーボードレイアウトを指定するには使用したいファイルの名前を指定して {{man|1|loadkeys}} を実行してください。パスや拡張子は省略可能です。例えば、日本語キーボードレイアウトに設定するには:
=== システムの設定 ===
 
次のコマンドで [[fstab (日本語)]] を生成します(UUID やラベル (label) を使いたいときは、それぞれ、{{ic|-U}} や {{ic|-L}} オプションを加えて下さい):
 
# genfstab -p /mnt >> /mnt/etc/fstab
 
次にシステムに [[Change Root (日本語)|chroot]] します:
 
# arch-chroot /mnt
 
   
  +
# loadkeys jp106
* ホストネームを {{ic|/etc/hostname}} に書いて下さい。
 
* {{ic|/etc/localtime}} から {{ic|/usr/share/zoneinfo/Zone/SubZone}}にシンボリックリンクを貼ります。{{ic|Zone}} と {{ic|Subzone}} は各々あなたの時間にあわせて書き換えてください。例:
 
   
  +
[[コンソールフォント]]は {{ic|/usr/share/kbd/consolefonts/}} に存在し、{{man|8|setfont}} で設定ができます。
# ln -s /usr/share/zoneinfo/Europe/Athens /etc/localtime
 
   
  +
=== 起動モードの確認 ===
* [[Locale (日本語)#システム全体のロケールを設定する|ロケール]]を {{ic|/etc/locale.conf}} で設定します。
 
* [[KEYMAP (日本語)|コンソールキーマップとフォント]]の設定を {{ic|/etc/vconsole.conf}} に書きます。
 
* {{ic|/etc/locale.gen}} で選んだ locale をアンコメントして {{ic|locale-gen}} で locale を生成します。
 
* 必要があれば {{ic|/etc/mkinitcpio.conf}} を設定 ([[mkinitcpio (日本語)]]) し、イニシャル RAM ディスクを作ります:
 
 
# mkinitcpio -p linux
 
   
  +
起動モードを確認するには、[[efivars]] ディレクトリの一覧を表示してください:
* ブートローダの設定: ブートローダーのインストールのところにあるリンクをたどって設定してください。
 
   
  +
# ls /sys/firmware/efi/efivars
* {{ic|passwd}} で root パスワードを設定します。
 
   
  +
もし正しく表示されれば、システムは UEFI モードで起動しています。ディレクトリが存在しない場合、[[Wikipedia:ja:Basic_Input/Output_System|BIOS]] (または [[Wikipedia:ja:Unified_Extensible_Firmware_Interface#Intel_Platform_Innovation_Framework_for_EFI|CSM]]) モードで起動しています。希望するモードでシステムが起動しなかった場合は、使用しているマザーボードのマニュアルを読んでください。
=== アンマウントとリブート ===
 
chroot 環境から抜けるには、{{ic|exit}} と打つか、{{keypress|Ctrl+D}} を押します。
 
先に {{ic|/mnt}} の下のパーティションをアンマウントします:
 
# umount /mnt/{boot,home,}
 
   
  +
=== インターネットへの接続 ===
そして一度再起動してから root アカウントでログインします。
 
   
  +
ライブ環境上でネットワーク接続を確立するために、以下の手順に従ってください:
== インストール後 ==
 
   
  +
* [[ネットワークインターフェイス]]が認識・有効化されていることを確認してください、例えば {{man|8|ip-link}} を使って確認: {{bc|# ip link}}
=== ユーザー管理 ===
 
  +
* 無線接続と無線WANのために、カードが [[rfkill]] にブロックされていないか確認してください。
  +
* ネットワークに接続してください:
  +
** 有線 — イーサネットケーブルを接続する。
  +
** Wi-Fi — [[Iwd#iwctl|iwctl]] を使って無線ネットワークに認証してください。
  +
** モバイルブロードバンドモデム — [[mmcli]] ユーティリティを使ってモバイルネットワークに接続してください。
  +
* ネットワーク接続を設定してください:
  +
** [[DHCP]]: イーサネット、無線 LAN と無線 WAN ネットワークインターフェースでの、動的な IP アドレスと DNS サーバーの割り当て ([[systemd-networkd]] と [[systemd-resolved]] により提供) は設定不要でそのまま使えるはずです。
  +
** 固定 IP アドレス: [[ネットワーク設定#固定 IP アドレス|固定 IP アドレス]] に従ってください。
  +
* [[ping]] で接続を確認できます: {{bc|# ping archlinux.jp}}
   
  +
{{Note|インストールイメージで、[[systemd-networkd]]、[[systemd-resolved]]、[[iwd]] と [[ModemManager]] は事前に設定されていて、デフォルトで有効化されています。インストールされたシステムではそうではありません。}}
[[Users and Groups (日本語)#ユーザー管理|ユーザー管理]]で記述されているようにして必要なユーザーアカウントを追加してください。通常の利用に root アカウントを使ったり、サーバーの [[SSH]] から root が見えるのは得策とは言えません。root アカウントは管理業務だけに使われるべきです。
 
   
=== ケージ管理 ===
+
=== システムクロクの更新 ===
   
  +
ライブ環境では、systemd-timesyncd はデフォルトで有効になっており、インターネットへの接続が確立されると自動的に時刻が同期されるようになっています。
[[pacman (日本語)]] や [[FAQ (日本語)#パッケージ管理]] を見て、インストール・アップデート・パッケージ管理について学んで下さい。
 
   
  +
{{man|1|timedatectl}} を使ってシステムクロックを正確にしてください:
=== サービス管理===
 
Arch Linux はシステムとサービスの管理に [[systemd (日本語)|systemd]] を init として使っています。あなたの Arch Linux をメンテナンスするのに、systemd について基本的なことを知っておくべきです。systemd を使うときには {{ic|systemctl}} コマンドを使います。 [[systemd (日本語)#systemctl の基本的な使い方]] を読んで下さい。
 
   
  +
# timedatectl status
=== サウンド ===
 
   
  +
=== パーティション ===
[[Advanced Linux Sound Architecture (日本語)|ALSA]] は箱から出してすぐ使える状態になっています。アンミュートするだけです。{{Pkg|alsa-utils}} をインストール ({{ic|alsamixer}} が入っています)して[[Advanced Linux Sound Architecture (日本語)#チャンネルのミュートを解除する|この記事]]を読んで下さい。
 
   
  +
ライブ環境によって認識されたディスクには {{ic|/dev/sda}} や {{ic|/dev/nvme0n1}}、{{ic|/dev/mmcblk0}} などのように''ブロックデバイス''が割り当てられます。デバイスを確認するには、[[lsblk]] または [[fdisk]] を使ってください:
最初にカーネルに含まれている ALSA を試すことをおすすめします。もし、ALSA が動かないときは [[OSS]] を代わりに使うことができます。より上級者向けのオーディを求めるならば、[[Sound system (日本語)]] を見て様々な記事の概要を一読しましょう。
 
   
  +
# fdisk -l
=== ビデオドライバ ===
 
   
  +
{{ic|rom}}, {{ic|loop}}, {{ic|airoot}} などで終わるデバイスは無視してかまいません。
Linux カーネルにはオープンソースのビデオドライバが含まれておりハードウェアアクセラレーションされたフレームバッファをサポートしています。しかし、X11 での OpenGL や 2D アクセラレーションをするにはユーザーランドでのサポートが必要です。
 
   
  +
Arch Linux をインストールするデバイスには以下の[[パーティション]]が必要です:
あなたのマシンにどのビデオ・チップセットが載っているのかわからないときは:
 
   
  +
* [[Wikipedia:Root directory|ルートディレクトリ]] {{ic|/}} のパーティション。
$ lspci | grep VGA
 
  +
* [[UEFI]] モードで起動するために: [[EFI システムパーティション]]。
   
  +
[[LVM]], [[dm-crypt|システム暗号化]], [[RAID]] などを使う場合は、この段階で用意をします。
オープンソース・ビデオドライバ全ての一覧を見るために、パッケージ・データベースを検索:
 
   
  +
[[fdisk]] や [[parted]] を使って、パーティションテーブルを変更します。例:
$ pacman -Ss xf86-video | less
 
   
  +
# fdisk ''/dev/the_disk_to_be_partitioned''
{{ic|vesa}} は一般的な mode-setting ドライバです。ほとんどの GPU で動きますが、2D 又は 3D アクセラレーションは全くありません。より良いドライバが見つからなかったり、ロードできなかった場合、Xorg は vesa ドライバに戻ります。インストールするには:
 
   
  +
{{Note|
# pacman -S xf86-video-vesa
 
  +
* ディスクが表示されない場合は、[[パーティショニング#ファームウェア RAID が有効なときにドライブが表示されない|ディスクコントローラが RAID モードになっていないことを確認してください]]。
  +
* 起動に使いたいディスクに [[EFI システムパーティション|既に EFI システムパーティションが存在する]] 場合、新しく作らずに、代わりに既に存在するパーティションを使用してください。
  +
* [[スワップ|スワップ領域]]は、ファイルシステムがサポートしている場合は[[スワップ#スワップファイル|スワップファイル]]で設定することもできます。
  +
}}
   
  +
==== レイアウト例 ====
GPU が持っているビデオアクセラレーション機能を働かせるには、正しいビデオドライバが必要です:
 
   
{| class="wikitable" style="text-align:center"
+
{| class="wikitable"
  +
|+ UEFI と [[GPT]]
 
|-
 
|-
  +
! マウントポイント
! ブランド !! 種別 !! ドライバ !! [[Multilib (日本語)|Multilib]] パッケージ<br><span style="font-weight: normal;">(Arch x86_64 環境の32ビットアプリ用)</span> !! ドキュメント
 
  +
! パーティション
  +
! [[GUID Partition Table|パーティションタイプ]]
  +
! 容量
 
|-
 
|-
  +
| {{ic|/mnt/boot}}<sup>1</sup>
| rowspan="2" bgcolor=#f7e3e3| '''<span style="color: #e62c2c;">AMD/ATI</span>'''
 
  +
| {{ic|/dev/''efi_system_partition''}}
| オープンソース || {{Pkg|xf86-video-ati}} || {{Pkg|lib32-ati-dri}} || [[ATI]]
 
  +
| [[EFI システムパーティション]]
  +
| 最低 300 MiB。複数のカーネルをインストールする場合は、最低 1 GiB。
 
|-
 
|-
  +
| {{ic|[スワップ]}}
| プロプライエタリ || {{Pkg|catalyst-dkms}} || {{Pkg|lib32-catalyst-utils}} || [[AMD Catalyst]]
 
  +
| {{ic|/dev/''swap_partition''}}
  +
| Linux swap
  +
| 512 MiB 以上
 
|-
 
|-
  +
| {{ic|/mnt}}
| bgcolor=#e3ecf7| '''<span style="color: #2a6dc8;">Intel</span>'''
 
  +
| {{ic|/dev/''root_partition''}}
| オープンソース
 
  +
| Linux x86-64 root (/)
| {{Pkg|xf86-video-intel}} || {{Pkg|lib32-intel-dri}} || [[Intel Graphics (日本語)|Intel]]
 
  +
| デバイスの残り容量全て
 
|-
 
|-
  +
|}
| rowspan="4" bgcolor=#e3f7e6| '''<span style="color: #409044;">Nvidia</span>'''
 
  +
| rowspan="2"| オープンソース
 
  +
# {{ic|/mnt/efi}} のような [[EFI システムパーティション#典型的なマウントポイント|他のマウントポイント]] は、使用しているブートローダーがカーネルと initramfs イメージを root ボリュームから読み込むことができるときに限って可能です。[[Arch ブートプロセス#ブートローダー]] の警告も参照してください。
| {{Pkg|xf86-video-nouveau}} || {{Pkg|lib32-nouveau-dri}} || [[Nouveau]]
 
  +
  +
{| class="wikitable"
  +
|+ BIOS と [[MBR]]
 
|-
 
|-
  +
! マウントポイント
| {{Pkg|xf86-video-nv}} || – || (legacy driver)
 
  +
! パーティション
  +
! [[Wikipedia:Partition type|パーティションタイプ]]
  +
! 容量
 
|-
 
|-
  +
| {{ic|[スワップ]}}
| rowspan="2"| プロプライエタリ || {{Pkg|nvidia}} || {{Pkg|lib32-nvidia-utils}} || rowspan="2"| [[NVIDIA]]
 
  +
| {{ic|/dev/''swap_partition''}}
  +
| Linux swap
  +
| 512 MiB 以上
 
|-
 
|-
  +
| {{ic|/mnt}}
| {{Pkg|nvidia-304xx}} || {{Pkg|lib32-nvidia-304xx-utils}}
 
  +
| {{ic|/dev/''root_partition''}}
  +
| Linux
  +
| デバイスの残り容量全て
 
|}
 
|}
   
  +
詳しくは[[パーティショニング]]を見てください。
=== ディスプレイサーバ ===
 
   
  +
=== パーティションのフォーマット ===
X Window System (X11, X) はネットワーク・ディスプレイプロトコルでありビットマップディスプレイでのウィンドウ機能を提供します。グラフィカルユーザーインターフェースを実現するためのデファクトスタンダードです。詳しくは [[Xorg (日本語)]] を見て下さい。
 
   
  +
パーティションを作成したら、それぞれの新しく作成されたパーティションは適切な[[ファイルシステム]]でフォーマットされる必要があります。詳しくは[[ファイルシステム#ファイルシステムを作成する]]を参照して下さい。
[[Wayland (日本語)]] は新しいディスプレイサーバープロトコルであり、リファレンス実装として Weston が利用できます。開発が初期段階のためアプリケーションのサポートは限られています。
 
   
  +
例えば、[[ext4]] ファイルシステムを {{ic|/dev/''root_partition''}} に作成するには、以下のコマンドを実行:
=== フォント ===
 
   
  +
# mkfs.ext4 /dev/''root_partition''
初めから入っている、スケールしないビットマップフォントだけでは飽きたらず、TrueType フォントのセットをインストールしたくなったかもしれません。DejaVu はハイクオリティな一般用途向けのフォントセットで、[[Wikipedia:ja:Unicode|Unicode]] をほぼカバーしています:
 
   
  +
[[スワップ]] 用のパーティションを作成した場合は、{{man|8|mkswap}} で初期化してください:
# pacman -S ttf-dejavu
 
   
  +
# mkswap /dev/''swap_partition''
フォントレンダリングの設定やフォントのインストールについては [[Font Configuration]] や [[Fonts (日本語)]] を参照してください。
 
  +
  +
{{Note|スタックされたブロックデバイスでは、{{ic|/dev/''*_partition''}} を適切なブロックデバイスのパスに置き換えてください。}}
  +
  +
EFI システムパーティションを作成した場合、{{man|8|mkfs.fat}} を使って FAT32 に [[EFI システムパーティション#パーティションのフォーマット|フォーマット]] してください。
  +
  +
{{Warning|パーティショニングのステップで EFI システムパーティションを作った場合にのみフォーマットを行ってください。インストール前から EFI システムパーティションがディスクに存在する場合、再フォーマットを行うことで他のインストールされているオペレーティングシステムのブートローダーが破壊される可能性があります。}}
  +
  +
# mkfs.fat -F 32 /dev/''efi_system_partition''
  +
  +
=== ファイルシステムのマウント ===
  +
ルートボリュームを {{ic|/mnt}} に[[マウント]]してください。例えば、ルートボリュームが {{ic|/dev/''root_partition''}} の場合:
  +
  +
# mount /dev/''root_partition'' /mnt
  +
  +
他のパーティション(例えば {{ic|/mnt/efi}})については、マウントポイントを作成して、それぞれ対応するボリュームをマウントしてください。
  +
  +
{{Tip|{{man|8|mount}} を {{ic|--mkdir}} オプションを付けて実行して、指定したマウントポイントを作成することができます。あるいは、{{man|1|mkdir}} を使って事前に作成してください。}}
  +
  +
UEFI システムでは、EFI システムパーティションをマウントしてください。
  +
  +
# mount --mkdir /dev/''efi_system_partition'' /mnt/boot
  +
  +
[[スワップ]] ボリュームを作成した場合、{{man|8|swapon}} で有効化してください:
  +
  +
# swapon /dev/''swap_partition''
  +
  +
後で実行する {{man|8|genfstab}} は、マウントされているファイルシステムやスワップ領域を認識します。
  +
  +
== インストール ==
  +
  +
=== ミラーの選択 ===
  +
  +
インストールされるパッケージは、 {{ic|/etc/pacman.d/mirrorlist}} に定義されている[[ミラー]]からダウンロードされます。ライブ環境では、インターネットに接続した後に、[[reflector]] が 20 個の最も最近同期された HTTPS ミラーを選択し、ダウンロード速度で並べ替えを行ってミラーリストを更新します。
  +
  +
上の方に書かれているミラーほど、パッケージのダウンロードで優先されます。ファイルを確認して満足のいく内容か確認するとよいでしょう。もし不満があれば、ファイルを [[編集]] して、位置的に一番近いミラーをリストの一番上に移動することができますが、他の判断基準も考慮に入れるべきです。
  +
  +
設定したミラーリストが {{ic|pacstrap}} によって後のインストール時にコピーされます。そのため、正しく設定しておいた方がよいでしょう。
  +
  +
=== 必須パッケージのインストール ===
  +
  +
{{man|8|pacstrap}} スクリプトを使用して {{Pkg|base}} パッケージと Linux [[カーネル]]、一般的なハードウェアのためのファームウェアをインストールしてください:
  +
  +
# pacstrap -K /mnt base linux linux-firmware
  +
  +
{{Tip|
  +
* {{Pkg|linux}} は他の[[カーネル]]パッケージに置き換えることも、[[Wikipedia:Container (virtualization)|コンテナ]] にインストールする場合には完全に省略することもできます。
  +
* 仮想マシンまたはコンテナにインストールする場合、ファームウェアパッケージのインストールを省略できます。}}
  +
  +
{{Pkg|base}} パッケージにはライブ環境に含まれているツールが全て含まれているわけではありません。したがって、ベースシステムを機能させるには別途以下のようなパッケージをインストールする必要があるかもしれません。
  +
  +
* システムで使用する[[ファイルシステム]]のユーザースペースユーティリティ
  +
* [[RAID]] や [[LVM]] パーティションにアクセスするためのユーティリティ
  +
* {{Pkg|linux-firmware}} に含まれていないデバイスを動かすためのファームウェアファイル (例: [[Advanced Linux Sound Architecture#ALSA ファームウェア|サウンドカード]] のための {{Pkg|sof-firmware}})
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* [[ネットワーク]]を設定するのに必要なソフトウェア (例: ネットワークマネージャーや DHCP クライアント)
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* [[テキストエディタ]]
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* [[man]] や [[GNU|info]] ページのドキュメントを読むためのパッケージ: {{Pkg|man-db}}, {{Pkg|man-pages}}, {{Pkg|texinfo}}
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他のパッケージやグループを [[インストール]] したい場合、上記の ''pacstrap'' コマンドの後ろに(スペースで区切って)パッケージ名を追加してください。また、[[#chroot|chroot]] を実行した後に [[pacman]] コマンドでインストールすることも可能です。ライブ環境に含まれているパッケージと比較するには [https://geo.mirror.pkgbuild.com/iso/latest/arch/pkglist.x86_64.txt pkglist.x86_64.txt] を見てください。
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== システムの設定 ==
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=== fstab の生成 ===
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以下のコマンドを実行して [[fstab]] を生成してください ([[永続的なブロックデバイスの命名#by-uuid|UUID]] を使う場合は {{ic|-U}} オプション、ラベルを使う場合は {{ic|-L}} オプションのどちらかを指定します):
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# genfstab -U /mnt >> /mnt/etc/fstab
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作成された {{ic|/mnt/etc/fstab}} を確認して、問題があれば [[編集]] してください。
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=== chroot ===
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以下のコマンドを実行して、新しくインストールしたシステムに [[Change Root|chroot]] します:
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# arch-chroot /mnt
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=== タイムゾーン ===
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以下のコマンドを実行して、[[時刻#タイムゾーン|タイムゾーン]]を設定してください(例えば、日本の場合は {{ic|''Region''/''City''}} を {{ic|Asia/Tokyo}} で置き換えてください):
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# ln -sf /usr/share/zoneinfo/''Region''/''City'' /etc/localtime
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{{man|8|hwclock}} を実行して {{ic|/etc/adjtime}} を生成してください。
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# hwclock --systohc
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このコマンドは、ハードウェアクロックが UTC に設定されていると仮定します。詳しくは[[時刻#時刻系]]を見てください。
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=== ローカリゼーション ===
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{{ic|/etc/locale.gen}} を [[編集]] して、{{ic|en_US.UTF-8 UTF-8}} と他の使用する [[ロケール]] (例: {{ic|ja_JP.UTF-8 UTF-8}}) をアンコメントします。次のコマンドを実行してロケールを生成してください:
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# locale-gen
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{{man|5|locale.conf}} ファイルを [[作成]] して、同じように {{ic|LANG}} [[ロケール#システム全体のロケールを設定する|環境変数を設定]] します:
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{{hc|1=/etc/locale.conf|2=
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LANG=''en_US.UTF-8''
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[[コンソールでのキーボード設定|コンソールキーマップ]]を設定している場合は、{{man|5|vconsole.conf}} に変更を永続化します:
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{{hc|1=/etc/vconsole.conf|2=
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KEYMAP=''de-latin1''
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}}
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=== ネットワーク設定 ===
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[[ホストネーム]]ファイルを [[作成]] してください:
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{{hc|1=/etc/hostname|2=
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''myhostname''
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}}
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新しくインストールされた環境で[[ネットワーク設定]]を完了させてください。必要に応じて、適切なネットワーク管理ソフトウェアをインストールする必要があります。
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=== Initramfs ===
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''pacstrap'' で[[カーネル]]パッケージをインストールしたときに [[mkinitcpio]] が実行されているため、普通は新しい ''initramfs'' の作成は必要ありません。
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[[LVM に Arch Linux をインストールする#mkinitcpio フックを追加する|LVM]], [[dm-crypt|システム暗号化]], [[RAID#mdadm フックを mkinitcpio.conf に追加する|RAID]] 環境などであれば、 {{man|5|mkinitcpio.conf}} を編集して以下のコマンドで initramfs を再生成してください:
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# mkinitcpio -P
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=== Root パスワード ===
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root [[ユーザーとグループ#ユーザーデータベース|パスワード]]を設定します:
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# passwd
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=== ブートローダー ===
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Linux に対応している[[ブートローダー]]を選択してインストールしてください。Intel または AMD の CPU を使っている場合は[[マイクロコード]]のアップデートを有効にしてください。
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== 再起動 ==
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chroot 環境から抜けるには、{{ic|exit}} と打つか、{{ic|Ctrl+d}} を押します。
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また、任意で {{ic|/mnt}} にマウントした全てのパーティションを手動でアンマウントするには、 {{ic|umount -R /mnt}} を実行します。「ビジー」状態のパーティションを見つけて、 {{man|1|fuser}} で原因を探すことができます。
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  +
そして {{ic|reboot}} と入力してマシンを再起動してください。まだマウントされている全てのパーティションは ''systemd'' によって自動でアンマウントされます。忘れずにインストールメディアを取り除いて、root アカウントで新しいシステムにログインします。
  +
  +
== インストール後 ==
   
  +
システム管理の方法やインストール後のチュートリアルは[[一般的な推奨事項]]を参照 (非特権ユーザーアカウントの作成、グラフィカルユーザーインターフェイス、サウンド、タッチパッドなど)。
== 付録 ==
 
   
あなたの興味を引くであろうアプリケーションの一覧は、[[List of Applications (日本語)]] を参照。
+
あなたの興味を引くであろうアプリケーションの一覧は、[[アプリケーション一覧]]を参照。
   
  +
{{TranslationStatus|Installation guide|2023-02-08|766087}}
タッチパッドやフォントレンダリングの設定のようなインストール後のチュートリアルは [[General Recommendations (日本語)]] を参照。
 

2023年8月3日 (木) 19:25時点における最新版

このドキュメントは、公式のインストールイメージから作られたインストールメディアから起動したライブ環境を使って Arch Linux をインストールする過程を案内するものです。インストールメディアが提供するアクセシビリティ機能は アクセシビリティ機能を使って Arch Linux をインストール ページで説明されています。他のインストール方法については、カテゴリ:Arch の入手とインストール を参照してください。

インストールの前に、FAQ に目を通しておくことをお勧めします。使用されている用語については、ヘルプ:読み方を見てください。コードの例にはプレースホルダ (斜体 の文字) を含んでいる場合があり、手動で置き換える必要があります。

より詳しい情報は、対応する Arch Wiki の記事や、プログラムの man ページ を見てください。両方ともこのガイドからリンクされています。対話的な助けが必要であれば、Slack や、フォーラム を使うこともできます。

Arch Linux は 512 MiB 以上のメモリが搭載された x86_64 互換のマシンで動作します。ただし、インストールのためにライブシステムを起動するためにはより多くのメモリが必要です。[1] 基本的なインストールで使用するディスク容量は 2 GiB 以下です。インストールする際はリモートリポジトリからパッケージを取得する必要があるため、このガイドはインターネットに接続できる環境を前提としています。

インストールの準備

インストールメディアの入手

ダウンロード ページを開いて、希望する起動方法に応じて ISO ファイルやネットブートイメージ、さらに対応する GnuPG 署名を入手してください。

署名の検証

イメージは使用する前に署名を検証することを推奨します。特に「HTTP ミラー」からイメージをダウンロードした場合、悪意のあるイメージ に差し替えられる可能性があるため検証を行ってください。

GnuPG がインストールされている場合、ISO イメージのあるディレクトリに (ダウンロードページの中の "チェックサム" の下にある) "PGP 署名" をダウンロードして、以下のコマンドを実行すれば検証できます:

$ gpg --keyserver-options auto-key-retrieve --verify archlinux-version-x86_64.iso.sig

もしくは、既存の Arch Linux 環境から以下のコマンドを実行してください:

$ pacman-key -v archlinux-version-x86_64.iso.sig
ノート:
  • 上記の archlinux.jp ではなくミラーサイトから署名をダウンロードした場合、署名も改変されている可能性があります。その場合、署名をデコードするのに使用する公開鍵が他の信用できる鍵によって署名されていることを確認してください。gpg コマンドで公開鍵のフィンガープリントが出力されます。
  • 署名を検証する他の方法として ISO ファイルに署名している Arch Linux の開発者 のフィンガープリントと公開鍵のフィンガープリントが一致していることを確認することでも検証できます。公開鍵認証について詳しくは Wikipedia:ja:公開鍵暗号 を見てください。

インストールメディアの準備

インストールメディアは対象のマシンに、USB メモリ光ディスク やネットワーク経由の PXEにより提供することができます。適切なページに従って、選択したイメージからインストールメディアを準備してください。

ライブ環境の起動

ノート: Arch Linux インストールイメージはセキュアブートをサポートしません。インストールメディアから起動するには、セキュアブートを無効化 する必要があります。インストールが完了した後に セキュアブート をセットアップすることもできます。
  1. Arch インストールメディアが含まれているデバイスから起動するように指定してください。大抵の場合、起動時の POST フェイズで起動画面に書かれたキーを押すことで指定できます。詳しくは使用しているマザーボードのマニュアルを見てください。
  2. インストールメディアのブートローダーのメニューが表示されたら、Arch Linux install medium を選択して Enter を押すことでインストール環境が開きます。
    ヒント: インストールイメージは UEFI での起動に GRUB を、BIOS での起動に syslinux を使います。ブートパラメータの一覧については README.bootparams を参照してください。
  3. 最初に仮想コンソールに root ユーザーでログインされ、Zsh のシェルプロンプトが表示されます。

Alt+arrow ショートカットを使用することでコンソールを切り替えることができます (例えば Lynx でガイドを見ながら操作できます)。設定ファイルを編集するときは mcedit(1)nanovim が使えます。インストールメディアに含まれているパッケージの一覧は pkglist.x86_64.txt を参照してください。

コンソールのキーボードレイアウト

デフォルトのキーボードレイアウトUS キーボードです。利用可能なキーマップは以下のコマンドで確認できます:

# ls /usr/share/kbd/keymaps/**/*.map.gz

キーボードレイアウトを指定するには使用したいファイルの名前を指定して loadkeys(1) を実行してください。パスや拡張子は省略可能です。例えば、日本語キーボードレイアウトに設定するには:

# loadkeys jp106

コンソールフォント/usr/share/kbd/consolefonts/ に存在し、setfont(8) で設定ができます。

起動モードの確認

起動モードを確認するには、efivars ディレクトリの一覧を表示してください:

# ls /sys/firmware/efi/efivars

もし正しく表示されれば、システムは UEFI モードで起動しています。ディレクトリが存在しない場合、BIOS (または CSM) モードで起動しています。希望するモードでシステムが起動しなかった場合は、使用しているマザーボードのマニュアルを読んでください。

インターネットへの接続

ライブ環境上でネットワーク接続を確立するために、以下の手順に従ってください:

  • ネットワークインターフェイスが認識・有効化されていることを確認してください、例えば ip-link(8) を使って確認:
    # ip link
  • 無線接続と無線WANのために、カードが rfkill にブロックされていないか確認してください。
  • ネットワークに接続してください:
    • 有線 — イーサネットケーブルを接続する。
    • Wi-Fi — iwctl を使って無線ネットワークに認証してください。
    • モバイルブロードバンドモデム — mmcli ユーティリティを使ってモバイルネットワークに接続してください。
  • ネットワーク接続を設定してください:
    • DHCP: イーサネット、無線 LAN と無線 WAN ネットワークインターフェースでの、動的な IP アドレスと DNS サーバーの割り当て (systemd-networkdsystemd-resolved により提供) は設定不要でそのまま使えるはずです。
    • 固定 IP アドレス: 固定 IP アドレス に従ってください。
  • ping で接続を確認できます:
    # ping archlinux.jp
ノート: インストールイメージで、systemd-networkdsystemd-resolvediwdModemManager は事前に設定されていて、デフォルトで有効化されています。インストールされたシステムではそうではありません。

システムクロックの更新

ライブ環境では、systemd-timesyncd はデフォルトで有効になっており、インターネットへの接続が確立されると自動的に時刻が同期されるようになっています。

timedatectl(1) を使ってシステムクロックを正確にしてください:

# timedatectl status

パーティション

ライブ環境によって認識されたディスクには /dev/sda/dev/nvme0n1/dev/mmcblk0 などのようにブロックデバイスが割り当てられます。デバイスを確認するには、lsblk または fdisk を使ってください:

# fdisk -l

rom, loop, airoot などで終わるデバイスは無視してかまいません。

Arch Linux をインストールするデバイスには以下のパーティションが必要です:

LVM, システム暗号化, RAID などを使う場合は、この段階で用意をします。

fdiskparted を使って、パーティションテーブルを変更します。例:

# fdisk /dev/the_disk_to_be_partitioned
ノート:

レイアウト例

UEFI と GPT
マウントポイント パーティション パーティションタイプ 容量
/mnt/boot1 /dev/efi_system_partition EFI システムパーティション 最低 300 MiB。複数のカーネルをインストールする場合は、最低 1 GiB。
[スワップ] /dev/swap_partition Linux swap 512 MiB 以上
/mnt /dev/root_partition Linux x86-64 root (/) デバイスの残り容量全て
  1. /mnt/efi のような 他のマウントポイント は、使用しているブートローダーがカーネルと initramfs イメージを root ボリュームから読み込むことができるときに限って可能です。Arch ブートプロセス#ブートローダー の警告も参照してください。
BIOS と MBR
マウントポイント パーティション パーティションタイプ 容量
[スワップ] /dev/swap_partition Linux swap 512 MiB 以上
/mnt /dev/root_partition Linux デバイスの残り容量全て

詳しくはパーティショニングを見てください。

パーティションのフォーマット

パーティションを作成したら、それぞれの新しく作成されたパーティションは適切なファイルシステムでフォーマットされる必要があります。詳しくはファイルシステム#ファイルシステムを作成するを参照して下さい。

例えば、ext4 ファイルシステムを /dev/root_partition に作成するには、以下のコマンドを実行:

# mkfs.ext4 /dev/root_partition

スワップ 用のパーティションを作成した場合は、mkswap(8) で初期化してください:

# mkswap /dev/swap_partition
ノート: スタックされたブロックデバイスでは、/dev/*_partition を適切なブロックデバイスのパスに置き換えてください。

EFI システムパーティションを作成した場合、mkfs.fat(8) を使って FAT32 に フォーマット してください。

警告: パーティショニングのステップで EFI システムパーティションを作った場合にのみフォーマットを行ってください。インストール前から EFI システムパーティションがディスクに存在する場合、再フォーマットを行うことで他のインストールされているオペレーティングシステムのブートローダーが破壊される可能性があります。
# mkfs.fat -F 32 /dev/efi_system_partition

ファイルシステムのマウント

ルートボリュームを /mntマウントしてください。例えば、ルートボリュームが /dev/root_partition の場合:

# mount /dev/root_partition /mnt

他のパーティション(例えば /mnt/efi)については、マウントポイントを作成して、それぞれ対応するボリュームをマウントしてください。

ヒント: mount(8)--mkdir オプションを付けて実行して、指定したマウントポイントを作成することができます。あるいは、mkdir(1) を使って事前に作成してください。

UEFI システムでは、EFI システムパーティションをマウントしてください。

# mount --mkdir /dev/efi_system_partition /mnt/boot

スワップ ボリュームを作成した場合、swapon(8) で有効化してください:

# swapon /dev/swap_partition

後で実行する genfstab(8) は、マウントされているファイルシステムやスワップ領域を認識します。

インストール

ミラーの選択

インストールされるパッケージは、 /etc/pacman.d/mirrorlist に定義されているミラーからダウンロードされます。ライブ環境では、インターネットに接続した後に、reflector が 20 個の最も最近同期された HTTPS ミラーを選択し、ダウンロード速度で並べ替えを行ってミラーリストを更新します。

上の方に書かれているミラーほど、パッケージのダウンロードで優先されます。ファイルを確認して満足のいく内容か確認するとよいでしょう。もし不満があれば、ファイルを 編集 して、位置的に一番近いミラーをリストの一番上に移動することができますが、他の判断基準も考慮に入れるべきです。

設定したミラーリストが pacstrap によって後のインストール時にコピーされます。そのため、正しく設定しておいた方がよいでしょう。

必須パッケージのインストール

pacstrap(8) スクリプトを使用して base パッケージと Linux カーネル、一般的なハードウェアのためのファームウェアをインストールしてください:

# pacstrap -K /mnt base linux linux-firmware
ヒント:
  • linux は他のカーネルパッケージに置き換えることも、コンテナ にインストールする場合には完全に省略することもできます。
  • 仮想マシンまたはコンテナにインストールする場合、ファームウェアパッケージのインストールを省略できます。

base パッケージにはライブ環境に含まれているツールが全て含まれているわけではありません。したがって、ベースシステムを機能させるには別途以下のようなパッケージをインストールする必要があるかもしれません。

他のパッケージやグループを インストール したい場合、上記の pacstrap コマンドの後ろに(スペースで区切って)パッケージ名を追加してください。また、chroot を実行した後に pacman コマンドでインストールすることも可能です。ライブ環境に含まれているパッケージと比較するには pkglist.x86_64.txt を見てください。

システムの設定

fstab の生成

以下のコマンドを実行して fstab を生成してください (UUID を使う場合は -U オプション、ラベルを使う場合は -L オプションのどちらかを指定します):

# genfstab -U /mnt >> /mnt/etc/fstab

作成された /mnt/etc/fstab を確認して、問題があれば 編集 してください。

chroot

以下のコマンドを実行して、新しくインストールしたシステムに chroot します:

# arch-chroot /mnt

タイムゾーン

以下のコマンドを実行して、タイムゾーンを設定してください(例えば、日本の場合は Region/CityAsia/Tokyo で置き換えてください):

# ln -sf /usr/share/zoneinfo/Region/City /etc/localtime

hwclock(8) を実行して /etc/adjtime を生成してください。

# hwclock --systohc

このコマンドは、ハードウェアクロックが UTC に設定されていると仮定します。詳しくは時刻#時刻系を見てください。

ローカリゼーション

/etc/locale.gen編集 して、en_US.UTF-8 UTF-8 と他の使用する ロケール (例: ja_JP.UTF-8 UTF-8) をアンコメントします。次のコマンドを実行してロケールを生成してください:

# locale-gen

locale.conf(5) ファイルを 作成 して、同じように LANG 環境変数を設定 します:

/etc/locale.conf
LANG=en_US.UTF-8

コンソールキーマップを設定している場合は、vconsole.conf(5) に変更を永続化します:

/etc/vconsole.conf
KEYMAP=de-latin1

ネットワーク設定

ホストネームファイルを 作成 してください:

/etc/hostname
myhostname

新しくインストールされた環境でネットワーク設定を完了させてください。必要に応じて、適切なネットワーク管理ソフトウェアをインストールする必要があります。

Initramfs

pacstrapカーネルパッケージをインストールしたときに mkinitcpio が実行されているため、普通は新しい initramfs の作成は必要ありません。

LVM, システム暗号化, RAID 環境などであれば、 mkinitcpio.conf(5) を編集して以下のコマンドで initramfs を再生成してください:

# mkinitcpio -P

Root パスワード

root パスワードを設定します:

# passwd

ブートローダー

Linux に対応しているブートローダーを選択してインストールしてください。Intel または AMD の CPU を使っている場合はマイクロコードのアップデートを有効にしてください。

再起動

chroot 環境から抜けるには、exit と打つか、Ctrl+d を押します。

また、任意で /mnt にマウントした全てのパーティションを手動でアンマウントするには、 umount -R /mnt を実行します。「ビジー」状態のパーティションを見つけて、 fuser(1) で原因を探すことができます。

そして reboot と入力してマシンを再起動してください。まだマウントされている全てのパーティションは systemd によって自動でアンマウントされます。忘れずにインストールメディアを取り除いて、root アカウントで新しいシステムにログインします。

インストール後

システム管理の方法やインストール後のチュートリアルは一般的な推奨事項を参照 (非特権ユーザーアカウントの作成、グラフィカルユーザーインターフェイス、サウンド、タッチパッドなど)。

あなたの興味を引くであろうアプリケーションの一覧は、アプリケーション一覧を参照。

翻訳ステータス: このページは en:Installation guide の翻訳バージョンです。最後の翻訳日は 2023-02-08 です。もし英語版に 変更 があれば、翻訳の同期を手伝うことができます。